ラボ言語教育総合研究所は,2006年12月にラボ教育プログラムに関心をもつ各界の専門家,研究者により設立されました。研究員が互いの専門領域を超えて,ラボ教育活動に関心をもち,評価しているのは主に次の5点です。
ラボ言語教育総合研究所は,以上のような特長をもつラボ言語教育活動の教育成果と活動内容を,研究員がそれぞれの専門分野の視点から調査,分析評価し,具体的な研究をすすめるとともに,今後の言語教育の進展に向けての提言を行なっていきます。
この間,2013年3月に「ラボ言語教育総合研究所報 ことばに翼を」Vol.1を,2016年6月に同Vol.2を発刊しました。2019年4月発刊の「ラボ言語教育総合研究所報 ことばに翼を」Vol.3からは,本ウェブサイトで公開いたします。
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ラボの教育理念は世界に羽ばたき,国際社会に貢献する人間の育成である。そのために,子どものときから,異文化に触れ,コミュニケーションに慣れ,感性と知性を磨き,他者を理解し,自己を表現する学習プログラムを提供している。英語教育はその一環に組み込まれている。ここでは,グローバル英語コミュニケーションの観点から,ラボプログラムの育成的評価システムを考える。
ラボ教育センターのテーマ活動は地域における優れた演劇教育の典型であり,「限界芸術」(鶴見俊輔)の一つであるという視点に立って,生き生きとしたテーマ活動を展開している2人のベテラン・テューターのインタヴューからその方法論を探ってみた。
改訂学習指導要領(平成29(2017)年改訂・告示)で,小学校に教科として外国語(英語)が導入された。これは,日本の学校英語教育の画期的な転換である。本論考では,小学校・中学校・高等学校の外国語科(英語)の改訂学習指導要領の方向性を検討する。そのうえで,小学校外国語科(英語)の特徴を抽出し,検討する。最後に,その特徴とテーマ活動との接点を探る。
物語を読みその理解を表現するということは何を意味するのでしょうか。この論文では心理学者のブルーナーの論を基にしながら,「物語とは何か」について整理します。その中で理論社会学者のルーマンと哲学者のアレントの意味理論も導入し,「意味とは何か」という論点についても整理します。物語を理解したり生み出したりする「物語様式」という思考様式は,科学を理解し生み出す「科学規範様式」と共に,近代人にとって必須のものであるということを確認した上で,人工知能によって機械的な作業がどんどん自動化される21世紀では,逆に人間ならではの物語様式に即して考え行動することが重要になってくるという予想を提示します。これらのまとめによって「私たちは物語から何を学ぶのか」について理解を深めることがこの論文のねらいです。
ラボは「豊かな母語」と「生きた英語」の併用をモットーとしている。実際のラボ・パーティにおいて,ラボっ子(ラボ会員)たちはどのように日本語と英語の二言語を用いているのだろうか。また,このような二言語併用は,もう一つのモットーである「ことばへの興味」とどのようにつながっているのだろうか。本論では,特に物語CDとラボ・テューターの英語に触れることが,どのようにラボっ子の英語使用に関わっているのかに注目した。あるラボ・パーティの小学生クラスを10回にわたって観察し,パーティ活動中のテューターとラボっ子の英語発話を取り出して,それぞれの発話の役割を分類した。小学生クラスでは,日本語と英語の役割が分かれていて,二言語間の自由な行き来はまだほとんど見られなかった。しかし,その萌芽的なケースが見られたことは,ラボ・パーティの可能性を広げる教育的示唆となるだろう。
ラボ・パーティによる教育活動の核心は「聞き込む」にある。ラボの子ども達はどのようにしてラボ・ライブラリーを「聞き込む」ようになり,「聞き込む」は子ども達をどのように変化させるのか。枝葉末節の議論に惑わされることなく,テーマ活動誕生の頃の事実に基づき,ラボ教育の本質「聞き込む」を議論するための視点を提示する。
テューターSNSにて関係者に限定公開