脚本家、劇作家山田太一の書いた小説『異人たちとの夏』1987年(昭和62年)
は映画化もされている
離婚してマンションでの一人暮らしをはじめた47歳の脚本家
ふと昔すんでいた浅草に出かける
12歳の時に事故で亡くなってしまった父に良く似た男が現れ
アパートに誘われる
そこには母に似た妻がいる
これは衰弱した脳が作り出した幻想であるのか
父母によく似た夫婦ではないかと思いつつもアパートに通い
親密な楽しい時間を過ごす
何回目かの帰りがけにそっと苗字を聞いて母に笑われる
「暑いからぼけたんじゃないの?親の苗字を聞く子供がどこにいるのさ」
出版された時に読んでいるし、映画も見ているが
父母が亡くなっている今読むと
亡くなった父母との再会と別れの物語であることが
静かに深く身にしみてくる
甘く切ない、夢のような物語である
|