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035
風のかよい路、〔がの〕さんの庭にて。
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がのさんの掲示板 [全2358件] 801件~810件 表示 << 前の10件 | 次の10件 >>
Re:Re:Re:Re:Re:Re:★チピヤクカムイの世界/萬葉の恋 [ 関連の日記 ]
がのさん (2006年09月18日 21時36分)

dorothyさん 【その2】

汗ぐっしょりになっていろいろ操作してみてもどうにもなりません。数
日はそればっかり。パソコンに詳しい友人の何人にも復活を期してトラ
イしてもらいましたが、もう、パアでした。いろいろいじりまわしたの
が却っていけない、なんていわれたりして。ばかですよねぇ、バックア
ップをとっておけばよかったのに、まずは書き進めること、書きためる
こと、すでに書いた部分を思い出しては修正加筆を繰り返す作業でもあ
りましたので、あとでいいや、という油断があったんですね。
400字の原稿用紙にして220~230枚くらいだったはず。マッキントッシュ
のアップルでしたよ。だいたいあのパソコンはむこうのものですから、
日本語のほうはかなりいい加減な部分があり、内容からして古語による
表現を避けるのは難しく、文字変換には苦労したんですよね。損害賠償
を請求するわけにもいかず、安い中古パソコンを使ったのを悔いたり、
バックアップさえとっておけば、とわが身の迂闊を悔いたりしてもすべ
てはあとの祭り、もう、最後にはそのパソコンを頭のうえ高くにかか
げ、力いっぱいコンクリートの地面にたたきつけましたよ。
 以来、そのショックから立ち直れず、萬葉集のことはすっぱりと忘れ
ることにしました。関係の図書資料のすべても文庫活動をしている知人
にもらってもらい、ようやく萬葉集の縛めからも解放されたというわ
け。マッキントッシュなんて見たらツバをかけたくなるような心境。よ
うやく心癒えて、4~5年前から近くの大学に本部を置く「萬葉花の
会」というところでちょっと楽しんでいます。これも、ある不純な動機
からなのですが(K.Mという清純派女優さんがいっしょにやっていると
聞いて、うん、それいいかも…、と軽薄にも)。【つづく】
Re:Re:Re:Re:Re:Re:★チピヤクカムイの世界/萬葉の恋 [ 関連の日記 ]
がのさん (2006年09月18日 21時32分)

dorothyさん 【その1】

相聞歌、というと万葉集第二巻、石川郎女と大伴宿禰のやりとり、

  みやびをと われはきけるを やどかさず
    われをかへせり おそのみやびを

  みやびをに われはありけり やどかさず
    かへししわれそ みやびをにはある

(結構遊び人って聞いてたのに、いざとなったら、私と共寝もせずに私
を帰しちゃったでしょ。案外晩熟なのね。……) これ、好きですね。

⇒ へ~ェ、そうなんだぁ! 武門の名家大伴家の跡取り息子、父ゆず
りの詩歌の血を引く若き貴公子、大伴宿祢家持は、一時期のヨンさまみ
たいなものだったでしょうか、もう、どうしようもなく、もてて、もて
て、この美貌の若者に熱烈な恋ごころを寄せる女性はおびただしく、石
川サンもその一人で、萬葉集は彼に寄せる恋の歌にあふれています。
 こんなこと、ここで書いていていいでしょうかねぇ。

 萬葉集ということになりますと、わたしには、「苦い」というか、
「痛い」というか、悔やんでも悔やみきれない深い因縁があります。ラ
ボを早期に退職、ラボ・ライブラリー制作の縛めから解放されて最初に
やったのが、それ以前から少しずつやっていた萬葉集、主として東歌、
防人の歌の鑑賞でして、ひとからゆずり受けたセコハンのノート型パソ
コンに、思いつくところからどんどん打ち込む作業を、きわめて快調に
やっておりました。萬葉学者のだれにも書けないことを自分ならやれる
のではないか、とそんなバカな奢りさえもって。全体の構成はあとで考
えてまとめればいい、ということで、寝る間も惜しんで書いていまし
た。
 そのうち、東歌や防人の歌から逸れて、萬葉ですので、どうしても相
聞歌に行きつき、大伴宿祢家持と彼を取り巻く女性たちの歌、とりわけ
笠女郎(かさのいらつめ)の恋のこころの微妙な推移を夢中になって書い
ているとき、パソコンがプツリッ! あれっ! という間に全部消えて
しまいました。【つづく】
Re:Re:Re:Re:Re:★天に帰れなかったオオジシギとヒバリ◇チピヤクカムイの世界(09月12日) [ 関連の日記 ]
dorothyさん (2006年09月18日 04時44分)

がのさん

私は推薦で入った大学に、入学前レポートという宿題を
出され、毎日高校の図書館に通っては万葉集の植物に
ついて取り組んだことがありました。
あのころは、万葉集総索引なるものがあるのも知らず、
一首一首を調べては、植物の多い順に書き込んでいきま
した。ほとんど出来上がったときに、索引の存在をしり、
自分の無知を恥じたものでした。

そんなわけで、万葉集の中で萩の花が一番多く
詠まれていることは、実体験として理解できます。

また、大学一年のときに毎週十首ずつ万葉集を
暗記していく授業があり、(そのほとんどは
忘却の彼方ですが)

  春の苑 くれなゐにほふ桃の花 
     下照る道に 出で立つおとめ  大伴家持

これは、とても心に残っています。
実際に、友人と鎌倉に散策にいった折、丁度
桃の花が咲いていて、その下に立っていた
友人の顔が桃色にそまり、とても雅でした。
このときの風景は今でもこの家持の歌とともに
印象深く残っています。

相聞歌、というと万葉集第二巻
石川郎女と大友宿禰のやりとり、
  みやびをと われはきけるを やどかさず
    われをかへせり おそのみやびを

  みやびをに われはありけり やどかさず
    かへししわれそ みやびをにはある

(結構遊び人って聞いてたのに、いざとなったら
私と共寝もせずに私を帰しちゃったでしょ。案外
晩熟なのね・・・

いやいや、誰とでも共寝するわけじゃない、ちゃんと
相手を選んでいるんだよ。君なんかと共寝するのは
私のプレイボーイとしてのプライドが許さなかった
んだよ。本当の遊び人とは、そういうものさ。)

これ、好きですね。
Re:Re:Re:Re:★天に帰れなかったオオジシギとヒバリ◇チピヤクカムイの世界(09月12日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2006年09月16日 13時32分)

dorothyさん

【その2】
ところで、悠仁親王お誕生のめでたさに沸くわが国ですが、そのオシル
シが「高野槇」だとか。「槇」を詠ったものを萬葉集に探してみまし
た。ありましたよ。

    時雨の雨 間なくし降れば
       真木の葉も争ひかねて色づきにけり  読み人知らず

槇=真木については「日本書紀」の歌謡にこんなのがあります。これがな
かなかいい。

  真木拆(さ)く 桧の板戸を 押し開き 我入り坐(ま)し 
  後取りて 端取りて 頭辺(まくら)取り 端取りて 
  妹が手を 我に纏(ま)かしめ 我が手をば 妹に纏かしめ
  真木葛 手抱き交はり ししくろき 熟睡寝(うまい)し時に 
  庭つ鳥 鶏は鳴く……(略)

 歌垣のなかでオペラのようにして歌われたものでしょうか。ちょっと
刺激が強すぎるかしれませんが、幸せに満ちた恋の夜の歌。あまりつっ
こんで解説すると、問題になりそうですので…。

 萬葉集はその時代の日本の風土と自然につちかわれた人間のこころを
実感のままに技巧なくストレートにあらわしていますが、素朴で、余裕
があってゆたか、自由で平和ですねぇ。歌には見えないだけかもしれま
せんが(歴史的事実とは別に)、この世界には、親殺し・子殺しもない
し、酔っ払いによる車の轢き逃げもないし、拉致も核兵器もテロもあり
ません。平和って、美しいです。戦争のできる美しい国をめざすとい
う、どっかの国の次期宰相もいるようで、困ったものですが。

 「桃李」…。「チピヤクカムイ」に、なんでモモ・スモモなんでした
っけ。そうか、「桃源郷」。さて、北海道にはモモ・スモモはあったで
しょうかね。先日引っ張り出して小夜ちゃんに読んでやった松居スーザ
ンさんの『冬ものがたり』、冬がおわって、つららの先からしずくの玉
がポツン、ポツン。そして、春風の精がさまざまな花のあいだをスイー
ッ、スイーッと飛びまわりますが、このオシャレな衣裳持ちの妖精、モ
モ・スモモの花のドレスももっていたかなあ。もっていなかったよう
な…。
Re:Re:Re:Re:★天に帰れなかったオオジシギとヒバリ◇チピヤクカムイの世界(09月12日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2006年09月16日 13時29分)

dorothyさん

【その1】
>「桃李不言下自成蹊」 「桃」というのが不思議な霊力を持つもので
ある、というのは中国の昔から言われていることらしいです。よく調べ
ると、桃の霊力を信奉し、その力を平和への願いが桃にはこめられるの
だ、ということを知りました。

⇒こういうネット環境にあって、中国の古典、日本の古典について、は
なしが通じるというのは、ぐっと奥まで屋敷が開けるようで、なんだか
うれしいです。こんな日常のなかでそれを語り合う機会なんて、まずな
いですので。わたしもつい、いい気になりすぎているかも知れません
が、ま、お許しください。そうそう、dorothyさんをまた口惜しがらせる
ことになりますが、10月初め、今年も狂言を鑑賞することになりまし
た。なんとまあ、今回演じられる曲は「柿山伏」。加えて「水掛婿」
「東西迷(どちはぐれ)」。たのしみにしています。
しかしまあ、早や秋。萩の花がこぼれる季節でもあり、古事記まで言っ
て、萬葉集をいわないのは片手落ちというもの。

   萩の花 尾花 葛花 なでしこの花
     女郎花(おみなへし)また藤袴 朝貌(あさがほ)の花  
                          山上憶良

 朝貌(あさがほ)とは桔梗のこと。高校のころ暗記させられませんでし
たか。秋の七草が詠みこまれた有名な歌。萬葉集4千5百余首の3分の
1に植物が詠み込まれているうち、秋のハギがもっとも多いことはよく
知られていますね。そのつぎに多いのは梅、松、橘。わたしに由縁ある
スゲも50首あります。サクラはそれより少なく40首。さて、モモやスモ
モは…? あります、あります。数は少ないですが、まずよく知られて
いるのは、

   春の苑 くれなゐにほふ桃の花 
     下照る道に 出で立つおとめ  大伴家持

カビによる劣化で問題になっている明日香村の高松塚古墳、そこに描か
れていた明日香美人が想い浮かびます。うん、美人にモモがよく似合
う、…ような。また、

   わが園の李(すもも)の花か庭に散る
     はだれのいまだ残りたるかな   読み人知らず

というのも。【つづく】
Re:Re:Re:★天に帰れなかったオオジシギとヒバリ◇チピヤクカムイの世界(09月12日) [ 関連の日記 ]
dorothyさん (2006年09月16日 07時26分)

がのさん

「桃李不言下自成蹊」

はい、知っていました。ですが、これが成蹊大学の
由来とまでは知りませんでした。驚きです。

「桃」というのが不思議な霊力を持つものである、
というのは中国の昔から言われていることらしいです。

これは、私が大学生時代、母校に教育実習に行った
際、一度だけこの陶淵明の「桃下源記」を扱った
授業をしたときに、生徒から桃について質問
されたのです。

今の日本では、桜が狂おしいほど愛でられるので、
自分としては、漁師が川を遡るときに両岸に咲いている
花は桜しかイメージできない、というのです。

確かに私も知らず知らず、両岸を埋め尽くし
やがて川の行方すら見えなくさせるほどに
生い茂った、花をつけた樹は、桜をイメージ
していました。

ですが、その桜はソメイヨシノ。江戸時代に
染井墓地の近くの植木職人が交配した木が
陶淵明の時代にあるはずもありません。

よく調べると、桃の霊力を信奉し、その力を
平和への願いが桃にはこめられるのだ、という
ことを知りました。
Re:さよちゃんこんにちは♪
がのさん (2006年09月14日 21時45分)

Hiromi~さん

>北海道の歴史や、「ピチヤカムイ」のことなどいいお話でしたね。北
海道はお花がきれいで今頃すずらんが咲いているのかしら? おばさん
ちのだんなさまが北海道生まれなので何度か北海道へも行っていま
す。・・ない、ないの付く地名たくさんありますね。北海道へ行ってみた
くなりました。

☞ 行ってみたくなりましたね、ほんと。よく耳にする稚内、歌志内ば
かりでなく、ナイ=川にゆかりある地名がいっぱいだということ、今度知
りました。「ない・ない・ないの国」って、ほんとは北海道のことだっ
たのじゃないかしら。小樽もずっと前は「小樽内」と呼んでいたと、ば
ーばーじゅこんせんせいが教えてくださいました。Hiromi~せんせい
も、それでは北海道のことはお詳しいんですね。いいなぁ。来年の夏ご
ろ、小夜もほんとに行ってみようかな。北海道でスズランを見るなら5
月の末から6月ごろ。「幸せの訪れ」「純潔」が花ことばだとか。で
も、小夜が北海道でいちばん見たい花は、ブルーポピーです。秋の空の
ように青い花びらを見せるヒマラヤのケシの花。横浜・青葉区の“ホワ
イト・ハウス”で一度見て以来、北海道の風に波なして首をゆするその
すがたを、この目で見てみたいです。

 Hiromi~せんせい、支部テーマ活動発表オーディション合格、おめで
とうございます。この夏、せんせいがパリにいっているあいだも、パー
ティのみなさんがとってもがんばっていたみたいでしたね。「幸福な王
子」のちょっとむずかしいテーマを、その深みまで掘り下げてしっかり
とらえた、目を見張るプレゼンテーションだったと聞きました。「テー
マ活動」をほんとうに大事にしてくださるパーティのみなさん全体の気
運が満ちみちた発表だったそうで、そんなことを聞くと、とってもうれ
しいです。テーマに沿って表現をこれからさらにどう深められていくの
か、注目ですね。
さよちゃんこんにちは♪
Hiromi~さん (2006年09月14日 14時44分)

久しぶりに小夜ちゃんとがのおとうさんのお話聴きましたよ。

北海道の歴史や、「ピチヤカムイ」のことなどいいお話でしたね。

北海道はお花がきれいで今頃すずらんが咲いているのかしら??

おばさんちのだんなさまが北海道生まれなので何度か北海道へも行って
います。・・ない、ないの付く地名たくさんありますね。

北海道へ行ってみたくなりました。
Re:Re:★天に帰れなかったオオジシギとヒバリ◇チピヤクカムイの世界(09月12日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2006年09月14日 12時19分)

dorothyさん

【その2】
桃もスモモも、花は美しく、実を食べればうまい。なにもカネやタイコ
で人を集め、声高に自己主張をするまでもなく、いいものには黙ってい
ても人が集まってくるもの。その木の下には、知らないうちによく踏み
ならされた立派な道がつくられるものだ、という。
人徳のある人のところには、知らず識らずのうちに人が慕い寄ってく
る、と。
いいテーマ活動をしているテューターさんのところには、ムダの多い宣
伝をしないでも、人が人を呼び、自然のうちに会員は集まってくる、…
そういうことになる、かな?
これは、司馬遷が李広(リコウ)という名将のことを書いたところに出て
きます。
漢の文帝・景帝・武帝、この三代にわたって仕えた武人で、えらく訥弁
で、ふだんはもの云わず何を考えているかわからず、よく誤解を招くこ
とがあったそうです。しかし、部下への思いやりが深く、行軍中、飢え
ても渇いても、自分は最後にしてまず部下に与えたという徳望の人柄。
とうぜん、部下は一人の例外なく、この人物をシンから愛し、信用して
いたそうです。そんな上司って、いまどきの会社にいないね。

中国のことばかり書いてしまいましたが、日本にあっても桃は古くから
大事にされてきましたよ。古事記は、この実が悪霊を退散させる霊果と
していますし、日本五大昔話の一つ「桃太郎」にその霊力が語られてい
るのはよく知られたこと。三月のひな祭りは「桃の節句」と呼びならわ
されて今に至っています。「桃弧」というのは、桃の木で作った弓で、
災厄を払う宗教の具としてこれを土俗的に使っているところがありま
す。
「桃尻」といったら、ちょっとドキッ! としませんか。これ、性卑し
きわたしなんぞがすぐ想像するイメージとはぜんぜん違うんですね。
『徒然草』にちゃんと出ています。ほら、桃のおしりといったら、まる
っこくてかわいいじゃないですか。撫でてみたくなっちゃう。しかし、
これ、まるっこいので、すわりが悪い。馬に乗る武士で、鞍におしりが
すっぽりおさまらない、なんだかモゾモゾして安定しないでいる人のこ
とを、侮蔑の意をこめてそう呼んだとか。映画やテレビの時代劇などで
は、そういうカッコわるい武士は登場しませんがね。
Re:Re:★天に帰れなかったオオジシギとヒバリ◇チピヤクカムイの世界(09月12日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2006年09月13日 16時13分)

dorothyさん

【その1】
>桃源郷、私はいつもこの言葉に惹かれます。高校時代、漢文の時間で
習ったこの物語。戦乱をさけ、諍いから逃れられる桃源郷は存在するの
でしょうか。もし、存在するなら、私は今のこのささくれだった世界か
ら桃源郷に移りたい。
----------------------------
中国の故事にいう「桃源郷」とは、どんなところなんでしょうか。
『チピヤクカムイ』からは飛躍しますが、オオジシギの急上昇・急降下
の展開もあることだし、話が大きく逸れるのも、この際、ま、いいか。
その伝説の地が実際にある、ということ、ご存知でしたか。
地図を開いてください。中国・湖南(フーナン)省、洞庭湖の西に常徳(チ
ャントー)という小さな町があります。その西南のあたり、沅江(ユワン
川)沿いの小集落がそれですって。ふつうの地図には載っていませんね。
でも、ホントかなあ。
古典の話の通じるdorothy さんですので、ついでに書いてしまいます
が、
これは晋の詩人、陶淵明が「桃花源記」という作品のなかで書いている
美しい別天地のことでしたね。一人の漁夫が道に迷います。探して探し
て迷いこんだのが深い桃の林。そこできたないナリをした老人に出会い
ます。この人は、秦の戦乱につくづくイヤケがさして戦場から逃亡、こ
こに隠れ住むようになった人の子孫。何代にもわたり、その後の社会が
どうなったのか、時代がどう動いたのか、そんなことは知ることもな
く、知ろうともせず、ただひっそりと平穏に、欲も名利も捨てて、人蹟
未踏のこの仙境でこころゆたかな生をいとなんでいた、とか。
中国では、この桃、なかなか評判よろしいようですね。ラボのみなさん
は『西遊記』でよくご存知のはず。わたしにも、日ごろ大事にしている
故事があります。ちょっと恥ずかしいですが、この際、ご披露しましょ
う。『史記』に見られることばです。
  「桃李不言下自成蹊」
読み下してみますと、「トウリものいわざれどもシタおのずからミチを
なす」となりますでしょうか。東京・武蔵野市にある成蹊大学はこの故
事にならってつけられた名だそうです。【つづく】
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