|
 |
 |
 |
 |
[一覧] << 前の日記 |
次の日記 >>
|
LNPLNP スコットランドへ |
10月03日 (火) |
|
バグ・パイプに魅せられて
1972年開設 三重地区 中川潤子
2011年9月、スコットランドへは初めての旅。 我が子の留学をきっかけに、英国を旅するようになったのは、20年も前からのこと。 予想外の風の冷たさに、慌てて買い求めたタータン・チェックのマフラーを首に巻き、エジンバラの街を巡る。
キャッスルロックに聳えたつ、難攻不落のエジンバラ城の正面を、 ウイリアム・ウオレスとロバート・ザ・ブルースの像が守っている。 バイキングの侵攻から城を救ったと云うアザミは国花とされ、戴冠式に国王が座る「運命の石」“Scone”は、 スコーンというお菓子の由来だそうだ。
処刑場跡が残るグラスマーケットに立ち寄り、 ラスト・ドロップ(罪人が最期の酒を飲んだという店)でランチ、 ギネスと伝統羊肉料理ハギスを賞味した。 「ハギスは、ハイランドの山中に住む3本足の動物で、 満月の夜、心の清らかな者だけが見ることが出来る」との伝説もある。
城下の公園では、バグ・パイプの演奏を聴きながら、家族が憩い、ゆっくりとした時間が過ぎていく。 ロイヤルマイル沿いに建つセント・ジャイルズ大聖堂。 その司祭ジョン・ノックスは、旧教信者の女王メアリーに対立、 「大グモ」とあだ名が付けられていたそうだ。 メアリーは、「大グモ」に驚く「マフェット嬢ちゃん」というわけだ。 石畳を歩き疲れて、エジンバラの初日が暮れた。
翌日は、ボーダーズへ。『ダビンチ・コード』で話題になったロスリン礼拝堂を経て、 「ロバート・ザ・ブルースの心臓」が安置されているメルローズ修道院を訪ねた。 メルローズは7人制ラグビー発祥の地でもある。 この町の食堂メニュー“Broth with Bread”は、小雨で冷えた私の身体を癒してくれた。 “The Old Woman in a Shoe”の一文を思いだしながら「スープには、やっぱりパンが要るわ!」
『ハリー・ポッター』の舞台、アニウイック城を経由して、国境へ。 2つの国が争いを重ねた長い歴史を見続けてきた、もの言わぬ山や谷。夕陽に照らされた看板の“Welcome to Scotland”の文字を見ながら、 私は“The Lion and The Unicorn”を小声で口ずさんだ。
翌朝、イングリッシュならぬ、スコティッシュ・ブレックファストを食し、 グレート・グレン渓谷、ネス湖を目指す。 「6世紀、聖コロンバが怪獣を宥めながら旅を続けた」と云う道を辿る。 木々の間に湖が見え隠れし始めた時、突然激しい雨が!黒い湖面に水の輪が拡がる。 私はドキドキしていた。水面は神秘的で、不思議な光を宿していたように思えた。
荒涼としたグレンコーの岩山を通り過ぎる時、 バスの中には、スコットランド民謡が流れてきた。その昔、この地に住む一族が虐殺された悲劇を物語る曲。 この谷間も、春になれば、見渡す限りのへザーで覆い尽くされるのだと思った。
バグ・パイプの奏でる“Auld Lang Syne”(蛍の光)にまどろみながら、 バスは、夜のエジンバラに着いた。 大聖堂はライトアップされ、ロイヤルマイルには、たくさんの若者たちが集い、 パブというパブには人々が溢れ、昼間とは全く違う様相を醸し出していた。 私も人混みをかきわけ、パブの一軒へ!過ぎ去った日々とこれからの日々に、スコッチ・ウイスキーで乾杯! シングル・モルトの香りにほろ酔い、バグ・パイプの調べの中で……。
テューター通信掲載

|
|
|
<< 前の日記 |
次の日記 >>
|
|
|
|