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ダリの「ふしぎの国のアリス」 |
04月03日 (日) |
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ダリって、ダリ(レ)?
…ご存知ない方は、まず、いないですよね。
サルヴァドール・ダリ。20世紀スペインの鬼才、
シュールレアリスムを代表する画家で、
数かずの奇行と逸話で、世界で知らぬ人がないほどの有名人。
その作品はどれも奇想天外、ユーモアと皮肉に満ちています。
ユニークです。びっくりさせられます。
その奇人変人が、
ファンタジーの古典、「ふしぎの国のアリス」の絵本を描いている!
ご存知でしたか?
ダリ「時のプロフィール」
「ふしぎの国のアリス」は、わたしにはたくさんの特別の思いがあります。
そのひとつは、ラボ・ライブラリーの絵本づくりの際の、山本容子さんとの出会い。
あ~、もう20年以上も前のはなしになりますが、
銅板画であのファンタジー作品をラボの絵本に、という挑戦、
彼女にとっては、初めての絵本づくりの挑戦、
(当時はまだ、表現者としてほとんど実績らしい実績はありませんでした)
2~3度、鎌倉・材木座のアトリエにおしかけて交渉、彼女のほうは
なかなか自信がもてないらしく、踏ん切りがつきません。
そうこうしているうち、わたしは夏の国際交流計画で
オーストラリアに1か月出て留守に。催促がましくなく、とにかく
つなぎとめねばとの思いでシドニーから絵葉書を送りました。
帰国してすぐ訪ねたときには、やっと挑戦へこころが動いて、
「アリスって女の子、ほかの絵本やディズニーで見るようには
可愛いくないよね、こまっしゃくれていて」といったような話から、
ずいぶんいろいろ語りあいました。
以後、会うたびに異常なほど気が乗ってきて順調に進められ、
数か所の修正を経てできたのが、あれです。
(残念ながら、現在は版が変わったと聞き及びますが)
余計な話になりますが、あのときは「アリス…」だけではなかったんですよね。
それまでは、絵本作品といえばほとんど福音館さんのものを
使わせてもらっていましたが、「かいじゅうたちのいるところ」「てぶくろ」
といった、ほかの出版社から出ている人気絵本を、どうしても、ということで
版権取得のため海外の出版社や著作者とのやっかいな交渉もあり、
さらに以降の制作のため、これを機会にしっかりその道をつけておこうと
頑張ったときでもありました。
ウサギ穴の世界
いもむし
さて、ダリの「ふしぎの国のアリス」。
この3月末、地方の美術館で偶然出会うことになりました。
下諏訪のハーモ美術館。その4か月前にも行っているところですが、
湖水に跳ね返って揺れる光線にあふれ、やさしい明るさに包まれた美術空間。
なぜか心の休まる、こじんまりとしてこじゃれた、大好きな美術館。
天気さえよければ湖のむこうに富士の秀嶺が見えます。
ここは、アンリ・ルソー、グランマ・モーゼス、カミーユ・ボンボワ
といった、感受性の純粋さを大事にする素朴派の、
ほのぼのとした作品を中心に常設展示しています。
そういう明確なコンセプトを持ちながら、入口を入ってすぐ目の前には
ダリの「時のプロフィール」と題するオブジェが!
(この日は奥に展示されていましたが)
枯れ木にひっかかっている、溶けてふにゃけた時計。
哀れ、“時”がしたたり落ちています。
これが“素朴派”とどこで結びつくのかなぁ、との疑問はさておくとして、
奥の特別コーナーで「ふしぎの国のアリス」の原画展が。
さすがに色あざやかです。迫真力が違います。
そういえば、「時のプロフィール」も「アリス…」から発想を得ていると思われるし、
ファンタジーとシュールレアリスムとの華麗なぶつかりあい!
奔放な想像力の、ガチの頂上決戦!
ちょっとスゴイですね。許可のかぎりで撮ったもので
鑑賞していただくには不十分ですが、何はともかくその一部を見てください。
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