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ことばの贈りもの |
06月14日 (日) |
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少し前のことになってしまいましたが、5月に仙台で東京こども図書館の松岡享子さんの講演会がありました。
タイトルは「ことばの力」。
ことばの力には外から働きかける力と内にある自身のことばの力がある。
外から働きかけられる「これだ!」と思えることばというのはそれほど多くないが、時代を超えて私たちに働きかけてくれることばが本の中にはある。
しかしながら、そのことばを受けとめるには2番目の力、内にある自身のことばの力が必要なのだそうです。
1970年代頃から少しずつ、本を面白がらない子どもが出てきて、ただ手渡すだけではなく、子どもが本から楽しみを得るために育てる力をつけなければならない、こどもたちのことばの力が弱くなってきたのではないか、引っ張り出す力が足りないのではないかと考え始めたそうです。
松岡先生が子どものことばについて多くを教えられたという本が
岡本夏木氏の「子どもとこどば」とのことでした。こどもにとって一番大切なことは、子どもが人(母親)と一体となってまじわりあい、気持ちが通じ合うという体験をするということ。
この本は私が大学生の時に一度出会っていた本です。
私は社会学という立場から子どものことばの獲得は人間関係から、ということをテーマに大学生なりに掘り下げてみました。
大切に思っていたことにまたもう一度出会えた気がして嬉しくなりました。
子どもたちには気持ちとイメージのこもったことばを届ける、そういうことばを届ける必要がある、そして、心の深いところにちゃんと届くことば言い換えれば精神の重心が下に下りるような心の深いところに入ることばを届けてほしい、と強く松岡さんがお話されていました。
松岡先生のお話の中で印象に残ったのは
松岡先生がアメリカの児童図書館で就職した最初の日、そこの館長さんのおっしゃったことばです。
「私たちは、本はよいものだと信じる人のグループに属しています。私たちの仕事は、できるだけ多くの人をこのグループに招き入れることです」
そのことばはその後の松岡先生の人生の信念ともなるのです。
どんなことがあってもそこはゆるがない思いの強さ。
私はそこに自分の思いを重ねました。
私もラボが子どもの人生にとってよいものだと信じるグループに属している。私たちの仕事はできるだけ多くのこどもをこのグループに招き入れること、と。
松岡先生も時には気落ちすることもあるが、その館長さんのことばを確認することで勇気づけられ、励まされるそうです。
私自身も、テューターとなってから、うまくいかなくて落ち込むことも何度もありますしたし、今もわからなくなったり苦しくなることもありますが、やはりラボで育つ力が本物だという思いは私の中で一本の芯となっているように思うのです。
「小さい時にことばの力を育てた人は、人生のどの段階でも健康で豊かな人生を歩んでいける。たとえ老年期になっても。」
「ことばが生涯その子を支え続け、精神的に豊かに過ごせる。」
そんな松岡先生のことばも私をまた元気にしてくれました。
素敵な素敵な講演会でした。
このお話の内容は「ことばの贈りもの」という本の中にも書かれているものです。
もっともっと子どもたちが心を養い、イメージのあることばと出会えるように私自身がことばを大切にする努力をしていきたいと思います。
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