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政治ではなく、物語と言葉の松下村塾のよう... |
05月04日 (月) |
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4月19日東京中央地区発表会へ向けて、日本最古の歴史書『古事記』より『国生み』に、主に小学生以上のメンバー約50名で取り組み、英語と日本語で発表しました。ラボは、英語教室でありながら、こうした歴史書にも触れ味わうことができる場でもあります。河合隼雄も、世界の人々とつき合う上において、「日本のみ相当に異なる物語をもつという事実は、しっかりと認識しておいた方がよい」(『神話と日本人の心』)と述べ、日本人の深層心理の原点が神話にあると解いています。子ども達にとって、今は面白い「物語」との出会いだったかもしれませんが、いつか日本人の代表として活躍する時に、「異文化を理解する拠り所」になるかもしれないと感じています。
昨年暮れに、中高大生が企画し実施した「日本の神話」合宿に始まり、未知の世界を子ども達といっしょに探ってきました。真っ暗な宇宙空間に少しずつ「想い」を浮き上がらせて、少しずつ形になっていく世界を、心をひとつにして表すという、これまでのテーマ活動とは大きく異なる壮大なチャレンジでした。
子ども達の「疑問、気づき、想像、発見、ことば、絵」は、模造紙7枚の上にたくさんの紙が貼られ、どの言葉も宝物となりました。(下記は2月時点。この後さらに増えます)、
   
自由に意見を出し合って熱く議論している様は、ラボルームが、物語と言葉(日本語、英語)の松下村塾のように化したかと感じたこともありました。
ただラボの場合は、十分に言葉と想像力を耕し、ひとりひとりの思いを大切にすることはできても、これを、見ている人に伝わる『国生み』の世界へと創り上げていくことも一つの目標であり、その過程は、試行錯誤の連続でした。作ろうと思えばいろいろできてしまう「形」を、作っては、「違う」「おかしい」「どうしよう」・・・その過程を経て、最後はシンプルに「ひとりひとりの気持ち」で表すというところに落ち着いていきました。
プログラムのテーマのコメント「・・・光があれば、闇があるように、何かが生まれるということは、必ずそこに物語がある。テーマ活動の原点に挑戦します」という文を表した大学生の言葉通り、まさしく「原点」に挑戦できたのではないかと感じました。この体験は、子ども達にも貴重なものとなり、私自身、多くを学ぶことができました。

発表の過程で、嬉しかったことは、たくさんあります。
★見えないものを体で表すことが初めての経験かと思われる入会して1年未満の小学生の男の子達が、当初、まったく動くことができなかったのですが、蛭子の「ぶよぶよ」になってみたあたりから、どんどん溶けて、気持ちよさそうに漂い始めたこと。←こういう感性で動く体験が、今の子ども達には必要と感じています!
★イザナキ、イザナミに、積極的にチャレンジした小学生達。役が決まる前から語っていた好きな言葉を、舞台の上で堂々と語れたこと。
★発表会前に『国生み』ってどんな話だろうと、あらためて投げかけた時に、小4の男の子が「感動...日本がこうやって生まれたっていう感動」と語ってくれたこと。さらにある大学生は、世界は「たくましい心とやさしい気持」でできあがっている、自分の中にも、この二つがあり、この両面で物事を見ていかなければいけないと自分に引き寄せて物語と出会ってくれたこと。
★新小1の子も、役ではないが、イザナミの英語の台詞を覚えてしまって、舞台上で『国生み』の世界を思いっきり楽しめていたこと。
その他、子ども達ひとりひとりにも、物語があり、感動しました。。。

まだ回収中ですが、発表した子ども達の感想文と印象に残った言葉を一部、ご紹介します。
・「わたしがいいと思ったセリフは、二つあります。一つ目は、一番最後のセリフの『遠い遠い昔、自分たちの国が、こんなふうにしてできたと語り伝えている人々があった』のところで、このセリフを作った人が、あなたたちの国がこんなふうにして、できたんだよと語り伝えている人たちがとっても、とってもすごかったので、見習いたい気持ちと、すごいという気持ちをいつか伝えて、私が大きくなっても、こんな言葉をいとう先生やラボのみんな、家族に、ぜひぜひ教えてあげられたら、とっても、とっても嬉しいので、その日がくるまで、とってもとっても楽しみです。・・・」(小2)
・「今回のお話は、今まで発表した話よりも、難しい作品で、表現するのも、難しかったです。がらんどうという何もない空間から、自然、ゆたかな大地をつくったイザナキ、イザナミはすごいなとあらためて思いました。だからイザナキ、イザナミたちのことを忘れずに過ごしていきたい。・・・(会場の)感想文に『国生みの話がよくわかった』などが書いてあり、観客にも伝わったので嬉しかったです!」印象に残った英文:There was void.The earth did not yet exist./What should we make next?/What indeed is this thing that is lacking?/In the meantime, do wait. You must not come in./But because it was taking so long, he got impatient.(中3)
たしかに、会場の方々には、物語がしっかりと伝わった様子で、「神話に立ち会っているようで感動!」「全員に物語を通して神話が脈々と生きている。英語も本当に質が高く圧倒された。大きい子の中で育っていく小さな子がいい。」「語りにすごく力が入っているなという印象」など、貴重なご感想をたくさんいただくことができました。
子ども達の素晴らしい発表に心より拍手を送りたい気持ちです!まだまだ『国生み』を聞きたい、そんな気持ちになっています。
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