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✦ひとの顔のシワに刻まれた生の尊厳 |
12月07日 (金) |
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日展(第44回)を観て来た。12月6日、国立新美術館にて。
このような公募展の常として、おびただしい数の作品と出会うことになる。
ちゃんと観ようと思ったら、疲れてしまい、酔うどころか痲痺しそうにさえなる。
わたしの体力衰退にもよるが、
ああ、もう、どうでもいいや、という気分に。
みなさんはいかがでしょうか、そんなことありませんか。
さて、そんなときのための、わたしなりの秘策があります、
……なんてほどの大仰なことではないのですが。
今回、入選してここに展示された作品の総数は3,143点とか。
日本画、洋画、美術工芸、彫刻、書の五部門にわたる美の競演。
ひとはふつう、美術家ならずとも、ありったけの愛情をこめて
美しいものを美しく描く。可愛いものを可愛いらしく描く、
それぞれの手法や素材はちがっても。
当然ながら今回も、目が眩みそうなほどそういう作品がそろった。
が、わたしの足はそういう作品の前はサッと過ぎて、
わたしなりのテーマを求めて動きます。今回のテーマ、というか
ポイントにしたのは、若いこれからを嘱望される画家たちが
人間の老いをどう描くか、という一点。
戦争もあったろう、地震、津波、水害の破壊にも耐えてきたろう、
近親の死の哀しみに何度も出会ってきたろう。
幾多の苦難を乗り越えてこの日まで頑張って働き、ごまかしなく生きてきた
人間のシワ、いやいや、生がもつそれぞれの尊厳を
若い感性がどう捉え、どう表現してくれるか、という一点。
ただ、それはわたしのごく恣意的な興味、ごく手前勝手な嗜好にすぎず、
そういう作品はきわめて少ない。当たり前ですね。
この場はやはり、湧き立つような美の祝祭のただなかにあり、
シワのもつ尊厳なんて、振り向きもされない。
目立つことなく、もちろん「特選」とか「奨励賞」とかの金札が
貼られようはずもない。
ま、でもいいじゃないですか、生きることの尊さを「美しさ」と比べても
ラチないこと。そう、稀れとはいえ、老いたもののシワを
愛情こめて描き、造形した感性も、まんざら無かったわけじゃないし…。
それに、今回老いのさまを描いた作家たちはそんなつもりで表現したわけではない、
わたしのようなものがいることを意識して描いたわけではない、かもしれないし。
主催者の許可を得ておりますので、何点かご紹介いたします。
大きく表現されているものを小さな画像にしてしまっているので、
その迫真力も雄勁さも消えてしまっていますが。
 



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