「亀も空を飛ぶ」について
岩波ホール
米軍のイラク侵攻前夜。イラク北部クルディスタンで始まる子どもたちの物語
少女が崖を登ってくる
崖のぎりぎりのところに立つ少女
藤色の靴を脱ぐ、はるか下に森林、
足がいきなり崖を飛び降りる
夢のシ-ンなのかと思う
アンテナを建てている人々
サテライトと呼ばれる片言の英語を話す少年が指示している
パラボラアンテナを買いに行き
交渉して値切り
テレビにセットするのも彼だ
衛星放送の通訳をしろと頼まれるがそこまでの英語の力はない
彼は村のこどもたちのリーダーで
地雷ほりをしてそれをブローカーに売って
みんなに貴重なお金を稼いでいる
彼も孤児らしい
みんなのために一生懸命にやっている
近隣の村ではなくてはならない人物となっており
市場での信用もある
自転車も持っているし
村の長老たちは壊れた装甲車を「家」として与え、彼を引き留めている
こどもたちのなかには地雷で手足を亡くしている子も多い
でもこどもたちは元気だ
希望がある
少年はハラブジャから村へやってきた難民の少女を好きになる
少女は多分地雷の事故で両腕のない兄
生まれつきなのか目の見えない幼児と一緒に・・・
ここからこの物語が始まる
映画という枠を超えた映画です
実際は世界が救いがたい不幸に覆われていること
たくさんの不幸な出来事があり、その中で生きている人々と
同じ時間の中で私たちが生きていること
そのことを
ふだんは忘れて、どこかに置いておいて
目をそらして生きている私に
クルドで起こっていること
クルドのこどもたちが今こうして生きていること
この現実を見よと現実を突きつけてくる映画
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