先輩テューターの声/庵原さんの場合

庵原 由美子テューター

2002年11月開設 東京都江戸川区在住

テューターになる前はどんなお仕事をしていましたか?

 結婚前は幼稚園教諭を,結婚後は主人の仕事で2年間アメリカに滞在し,その間にも現地の日本人学校で幼稚園部の講師をしました。日本人学校では半数が現地生まれで日本語が話せない子どもたち,もう半数は日本で生まれてアメリカに来た子どもたちでした。日本から来た場合,子どもが早く英語に慣れるように,家でも親が英語で接することを試みる家庭が多かったようです。ところがそうした場合,かなりの割合で子どもが吃音や赤ちゃん返りなどの問題を生じるのです。私たちは「おうちでは,お母さんはいっさい英語を話さず,日本にいた時と同じ環境をつくってあげてください」と話していました。日本語=母語を,自分を表現することば,そして他者とコミュニケイションするためのことばとして体得したばかりの子どもにとって,いきなり異なる言語に囲まれることは精神的に大きな負担です。家庭で母語の環境さえ整っていれば,子どもたちは外では英語,家庭では日本語という使い分けをしながらじつにタフに英語を習得できるものなのです。

テューターになったきっかけを教えてください。

 わが子が卒園した幼稚園の園長先生から,ラボを紹介され,幼稚園でラボ・パーティを始めないかというお誘いをいただいたことがきっかけです。近頃では「ブックスタート」を母親学級から提唱するなど,絵本が子どもの心の糧になることが社会的にも認められていますが,その園ではもう何十年も前から,絵本を中心においた保育をされていました。園長先生が保育現場への英語の導入を考えた時,名作絵本を英語と日本語で親しむラボ・パーティの方法は理想的だったのです。私はその後ラボ・テューターの研修を受け,テューターとなり,園の正課としてラボ・パーティをスタートしました。
はじめてのクラスはとても緊張しましたが,ラボ・ライブラリー(CD)を流しながら絵本をめくっていくと,子どもたちが驚くほど集中して絵本に見いっていたことがとても印象的でした。一流の語り,美しい音楽に耳を傾けながら見る絵本。子どもたちにはときに絵本の登場人物たちが動いて見える瞬間さえあるように見受けられます。「早く歌をかけてよ~」は,いまも毎回パーティで子どもたちにいわれることばです。歌とはもちろんラボ・ライブラリー,つまり物語CDのこと。ラボ・ライブラリーに流れる音楽はとてもすばらしく,物語とともに彼らの心に響くのでしょう。子どもは本物がわかるということを実感します。
その後,「お母さんが英語を教えているなら,自分も英語をやらないといけない気がする」という生真面目な長男のことばで,自宅でもパーティ(教室)を開設しました。小学校5年生の彼は,歌をうたったり,劇あそびをしたりすることに,最初は戸惑ったようです。いまではたくさんの物語に出会い,友だちもたくさんでき,すっかりラボの活動を楽しむようになりました。

テューターになってよかったこと,たいへんなことはなんですか?

 テューターとしての経験は,自分の子育てにプラスになることばかりです。たとえば,息子も小学校高学年くらいになると,あまり親に話をしなくなり,なにを考えているのかわからず悩んだ時期もありました。でもテューターとしてたくさんの,幅広い年代の子どもたちに接することで,それも成長の一過程だということを知りました。また,子どもが100人いれば,100通りの成長の仕方やペースがあるんだということに気づいたことも,自身の子育てにはとてもよかったと思っています。
 もちろん,パーティの子どもたちの成長は大きな喜びです。たとえば,とても引っ込み思案だったTくん(小5男子)は,"The Tale of the 15 Castaway Boys"(十五少年漂流記)の中で自分とよく似た登場人物,エバンスに出会い,じつに大きく生きいきした声でセリフをいえるようになりました。その後も彼は,あまり口数は多くないが大人っぽくて,いざという時には頼りになるようなタイプの登場人物を選んでは,嬉々として表現しています。また,Nちゃん(年長女子)は,いつも年上の子にお世話されるばかりの甘えん坊でしたが,パーティで開催した交流会で,ネイティブ・スピーカーのラボ・インターン(海外からの研修生)を迎えたとき,一生懸命もてなそうとしていた姿に,成長を感じました。こうした子どもの成長は突然におとずれますが,じつに感動的で一つひとつ忘れることができません。
 テューターになって「たいへんだな」と思うことは時間のやりくりです。自分の英語力のブラッシュアップにもなっていますが,子どもたちの気づきに応えるために,ラボの教材「ラボ・ライブラリー」を,テューターは子ども以上に何度も聴かなければなりません。けれども時間のやりくりはどんな仕事にもいえることです。適当に忙しい仕事などありませんから。ただ「他人にも自分にも甘く」という姿勢で,毎日できるだけ楽しい気分ですごすことは,家事や子育てと両立するコツのひとつかな,と思っています。「笑う門には福来る」とは昔からいわれていることですが,楽しい気分でいると前向きになれますし,笑っていられる心の余裕があるとすべてがうまくまわっていく気がします。

これからラボでしていきたいこと,夢はなんですか?

 パーティの子どもたちがほんとうの意味での国際人に育つお手伝いをしていきたいと思っています。私は英語の力だけでなく,人と交流する力,また英語で語ることのできるもの,たとえば自分の考え・興味や得意なものなどを彼らに身につけてほしいと考えています。ラボではたくさんの物語にふれるなかで,自分と異なる人物や異なる世界について想像をめぐらし,考える力をつけ,また,たくさんの仲間にふれるなかで,コミュニケイションする力を身につけています。そのことの延長として,人は「自分はなにが好きなんだろう? 自分はなにがしたいんだろう? 自分はどういう人間なんだろう?」などと考えていけるのです。
 ほんとうの意味で国際人になるということは,じつは自分とまわりの世界についてよく考えながら生きていくという,人間として基本的なことをいうのだと思います。この部分が現在の日本の教育には足りないように感じられ,ぜひラボで育てていきたいと思っています。

こんな人はぜひラボ・テューターに!

 「できる・できない」の評価で終わる学校の教科のような英語教室,毎日忙しく友だちとの遊びの場で交流する力を育てる時間などほとんどない子どもたちの現状,本や物語に親しまなくなったという子どもの生活のデータ,そういったことがらに疑問を感じている方には,ぜひラボ・テューターとして私たちの仲間になっていただきたいと思います。

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