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特集連載
第44回
「自分軸」をもつこと

2015/2/3

青山佳世/あおやま かよ

 青山佳世/あおやま かよ
 学校法人立命館職員
 University of British Columbia
(カナダ)勤務

 今月は,カナダのブリティッシュ・コロンビア州で大学の職員として,日本人学生のサポートをしている青山佳世さんに寄稿いただきました。
 青山さんが,海外に関わって生きていきたいと思うようになった原点は,14歳で参加したラボ国際交流だったそうです。
 異文化に出会ったとき,海外で学び,働くときに必要な力についてご自分の経験をもとに書いていただきました。

カナダの大学で日本人学生をサポート

 私は今,カナダ・ブリティッシュコロンビア州にあるUniversity of British Columbia(UBC)で日本人留学生のサポートをしています。私の勤務先は日本の大学なのですが,その大学がUBCと提携プログラムを実施しており,そのOn-site Coordinatorとして派遣され駐在しています。こちらに来て1年半経ちましたが,日本人学生がとまどいやすいことや,勘違いしやすいこと,誤解を与えないようにうまく意見を伝える方法などをワークショップで展開したり,また学生相談などを通して,さまざまな学生と向き合っています。今,日本では,グローバル人材の養成や大学の国際化の必要性が声高に叫ばれています。グローバル人材になるために必要なスキルは何なのか―。約200名の日本人学生を見ていて,また私自身の経験として現時点で思うことは,「自分軸をもつこと」と「突破力」,そして「魅力的に英語,もしくは現地のことばを話せるようになること」ではないかと考えています。

アメリカの大学院へ留学――自分を鍛えなおす時間が今に生きている

 一般的な日本人大学生が,留学先で一番初めに直面する困難は,「自分の意見を持つこと・伝えること」です。相手が何を言っているのか分からない,質問された時,日本ではうまく曖昧に答える術を知っていたけれど,こちらではそうはいかない。また異文化適応のスイッチ切り替えは学生によって度合いが異なり,リスク管理が甘い学生もいます。一方で驚くほどのブロークンイングリッシュで,瞬く間に現地の学生の心をつかむ学生もいます。そのような幅の広い学生たちに,それぞれにあった踏み切り板を用意することは,試行錯誤を要しつつも,やりがいのある仕事です。私は社会人を経験後,アメリカの大学院に留学しました。期待に胸を膨らませ「いざ!」と乗り込んだ私を待っていたものは,それまでの小手先では何も通用せず,ゼロから自分を鍛え直す時間でした。この時の経験が,今,学生支援をするにあたり,彼らの感情に寄り添う一助となっています。

14歳でのラボ国際交流は私の原点

 留学アドバイザーの間では「留学先到着直後は,判断能力が10歳低くなる」と言うことがあります。これはことばの問題だけでなく,異文化に入ることで,それまでの常識が通じなくなることなどに起因するものです。自身の経験や学生対応においては,この説に深くうなずける部分もありますが,ラボで経験した14歳の国際交流だけは特別です。入念に設計されている準備活動の成果もあってか,新しい文化へ飛び込むわくわく感,ホストファミリーの新たな家族として過ごせたこと,ステイ中に面倒を見るよう任された1頭の子牛の世話など,本当に楽しかった思い出しかなく,もっと海外とかかわっていけるようになりたい,とその後の私の原点となりました。

ラボの活動を通して得たもの
――あきらめない力,チャレンジし続けること

 ラボではさまざまな活動をさせていただきました。高校まで所属していたパーティでは,毎年クリスマスに「ロミオとジュリエット」の発表を行っていました。年数・回数を重ねても,毎年違う発見があり,物語の深さを体験として得ることができました。ラボの活動を通して得た,物事の本質を考えること,あきらめない力,チャレンジし続けること,一方で本当にだめだと思った時は固執せず考えを切り替えること,コンフリクト(葛藤)についての考え(パーソナリティの問題なのか,異文化の問題なのか)などは,今,仕事をする上でも私の自分軸の根っこになっています。そしてその自分軸を元に,自分が本当に成し遂げたいことのためには,周りの理解を得つつ,時にはプライドも何もかも捨て力を尽くし,強引に進むこともたいせつなのではないかと思います。またブロークンイングリッシュでも人を魅了する学生に共通することは,いい意味で自分に自信がある,ということです。日本人は謙虚であることが美徳と考える時もあるので,自信を持つのは厚かましい,と思うこともあるかもしれません。しかし,自分に自信のある学生は,ブロークンイングリッシュでもなんでも,試行錯誤を繰り返しながら前に進むことができます。この点ラボっ子は,テーマ活動などを通して,自分の感じたことや意見を,臆さずポジティブに言う・受け取る経験をたくさん積んでいます。また,キャンプや国際交流で,たくさんの人に出会うことを通じて,あっという間に仲良くなるコツのようなものを身につけています。その点からも,ラボに入れ,続けさせてくれた両親に感謝しています。

よくぞ見捨てずにいてくださった

 ラボっ子時代を振り返るに一番思うことは,テューターをはじめ,周りの方々に心から感謝申し上げたい,ということです。ああ,皆さん,よくぞ見捨てずにいてくださった,とつくづく思います。これは今,私が学生と接する際,ぐっとこらえる場面には,頻繁に頭をよぎることです。
 また社会人になってから,ラボをきっかけにご縁が深くなった方がたくさんいます。バンクーバーでも驚くべき再会がありました。ラボ国際交流でいっしょにカレッジリーダー(国際交流の引率に携わる大学生ボランティア)をした友人が,偶然にもUBCの日本語教員になっていたのです! 彼女とはプライベートをはじめ,仕事でもお互いの学生をランゲッジパートナーとして派遣するなど,新たな展開が続いています。彼女との再会は,学生時代の種がこのような花を咲かすこともあるのだ,とあらためてうれしく思っています。

ことばは文化

 現在テクノロジーの発展により,まもなく手軽な自動翻訳機も登場する日も近い,と言われています。ですが私は,例えばフランス語のエスプリのきいたセリフを本当に理解し応えるには,その背景である文化を学ぶ必要があり,そのためにはフランス語のトーンやリズム,単語の原義を理解する必要があると考えています。私の英語は魅力的というにはまだほど遠いのですが,一日に数回はオフィスの仲間が笑ってくれるような会話を心掛けています。笑いはこころをほぐし,距離を縮めてくれるような気がするからです。
 世界では人口の流動性が高まっています。カナダは多文化主義を掲げており,モザイク国家と呼ばれるほど,いろいろな国からの移民がたくさんいます。カナダでは受入れ側,移民側がお互いを尊重し,時間をかけて文化の変容を達成してきたのではないかと感じています。ラボっ子のみなさん,多くの人に出会い,交流し,視野をひろげ,将来自分が住む国を,自分で選べるようになるといいですね。ラボにはそのための土台を養うチャンスが,満ち溢れています。

おはなしをうかがった方
青山佳世
青山佳世(あおやま かよ)
On-site Coordinator,
UBC-Ritsumeikan Academic Exchange Programs
略歴
 中学1年のとき愛知県でラボに入会。ラボ国際交流,シニアメイト(国際交流キャンプのリーダー),大学生活動(大学生コーチ,カレッジリーダー,表現活動,キャラバン活動など)に参加。
 大学卒業後,数年日本で勤務したのち,アメリカの大学院に留学,高等教育・国際教育分野にて修士号を取得。帰国後,総合商社で新卒採用を担当。2007年より学校法人立命館在職。
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