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特集連載
第30回
黒姫の雪の森は、ワンダーランド!

2013/11/1

秋山恵生 /アキヤマ ヨシオ

 秋山恵生 /アキヤマ ヨシオ
森林セラピストとして活躍されている秋山恵生さんは,ラボのキャンプでも野外活動の講師としてご指導いただいています。ネイチャーガイドの草分けとして活動し,くろひめ高原を中心に森林セラピーの研究・実践・啓蒙活動などを続けていらっしゃいます。今回は,とくに冬の森の魅力について寄稿いただきました。ウインターキャンプやスプリングキャンプに参加を希望しているラボっ子の皆さんにとって,冬の野外活動の楽しみ方を知るきっかけにもなると思います。

雪の森の魅力

 私が暮らしているわずか数戸の小さな小さな集落から車で10分ほどの所に、『ラボランドくろひめ』があります。信州の北の端、新潟県との県境に近い黒姫山のふもとに広がる黒姫高原の森の中に、大きなロッジがいくつも点在しています。敷地の広さは、なんと10万uにも及ぶそうです。

 この地域は、世界的に見ても、とても雪が多く積もるエリアで、例年12月から4月の上旬ぐらいまでは、町も森もすっぽりと雪に覆われてしまいます。したがって、年3回行われるラボキャンプの内、黒姫で行われる冬と春のキャンプは、野外活動も雪の中ということになります。

 ところで、皆さんは、『雪の森』ということばを聞くと、どういった思いが浮かんできますか? ひょっとすると、「暗い」とか、「怖い」、または「何もない」といったイメージが浮かんでくる人も多いのではないでしょうか。私は、インタープリター〔自然と人とを結び付ける解説者〕、そして、森林セラピストとして、冬季は雪の森を歩くことが多いのですが、私が持つ『雪の森』のイメージは、上記とは全く逆のものです。

まず、「暗い」ですが、森というのは、夏には葉が茂っていて太陽光線の約8割がカットされるので、以外と暗いものなのです。しかし、雪が多く降る地域の森は、そのほとんどが冬季に葉を落とすため、森の中はとても明るくなり、さらに雪が降り積もると、雪面の反射もあるので、一層明るくなるのです。

次に、「怖い」ですが、確かに夏のように決まった道があるわけではないので、迷ってしまう心配はあります。しかし、それ以上に、道にとらわれることなく自由に歩ける開放感は、何ものにも代えがたいものです。特に雪の森は、ヤブや低木が雪の下になってしまうのでとても歩きやすく、夏場には入ることのできない湿原などにも自由に入って行くことができるのです。

そして、「何もない」ですが、一見そのように思えますが、逆に、夏場ではほとんど見ることのできないキツネやタヌキ、リスやノウサギなどの野生動物の足跡や、その活動の痕跡を、雪面にハッキリと見ることができるのです。また、木々が葉を落とした後の雪の森は、遠くまで見通しがきくため、野鳥たちを観察するには絶好の季節なのです。

そして、私たちを待ってくれているのが、小さな木々の妖精たち。それは、「葉痕」という木々が葉を落とした痕で、水分や養分を通す管の部分が顔のように見える木があるのです。葉痕が顔のように見える木の種類は決まっていて、ラボランドの中では、オニグルミ、サワグルミ、ハルニレ、エゾユズリハ、エゾアジサイなどがあります。このような枝先にある葉痕も、雪があるからこそ見やすいわけで、2mの積雪であれば、2mの空中散歩をしているのと同じことになるのです。

雪の森を歩くときの道具ですが、新雪が降ったばかりの森を歩けば、足がズボズボと埋まってしまいますね。そこで登場するのが「スノーシュー」です。もとは、アラスカや北欧などで、雪原を歩くために使われていた木製のものを、アルミフレームや強化プラスチックなどで現代版にアレンジしたもので、簡単にいうと、西洋版のカンジキです。近年は雪の森歩き専用のツールとして、どんどん改良が加えられています。 スノーシューの良さは、まったくと言っていいほど技術を必要としない点で、初心者でも少し歩けばすぐに慣れてしまいます。ウインターキャンプの時には雪が少なかったり、スプリングキャンプの時には、雪が締まってきて、長靴でも十分歩けるかと思いますが、ラボランドくろひめには、スノーシューのセットも多数用意があるので、スノーシューを使ったプログラムも楽しんでみてください。

最後に、雪の森での楽しみ方をご紹介しましょう!

〔スノー・テーブル〕
 雪の森遊びに欠かせないのが、スノー・テーブル。携帯用のスコップで、好みの形に足を入れるスペースを掘りこみます。ひと汗かいたら、お茶とお菓子でティータイム!

〔スノー・エンジェル〕
 欧米の子どもたち定番の雪遊びです。白い雪面をキャンバスに、大の字に倒れて人型をつけ、手を上下に動かして天使の羽を、足を左右に開閉して服のすそを作ります。オプションは、頭の位置に顔を押しつけ、顔型も残しておきます。実は、この遊びを教えてくれたのは、私が携わったスプリングキャンプのプログラムに参加してくれたテューターとラボっ子たちでした。

 以上、黒姫高原の雪の森の魅力について述べてきましたが、雪の森を歩くことの楽しさや、その癒し効果は、やはり実際に歩いて体感して頂かないと分かりづらいと思います。ラボランドくろひめの広大な敷地は、12月になると純白の雪に覆われ、敷地に続く広い森も利用することが可能となります。この次のウインターキャンプや、スプリングキャンプは、ぜひラボランドくろひめのキャンプに参加して、自身で雪の森の素晴らしさを実感してみてください!

おはなしをうかがった方
秋山恵生
秋山恵生(あきやま・よしお)
森林セラピスト・著述家。1963年神戸市生まれ。東京の広告代理店勤務を経て、1989年より信越高原に移住。健康茶製造会社の研究室にて薬草の研究、栽培、新商品の開発等に携わる。1997年にフリーとなり、ライターとして各種雑誌に寄稿。著書に田舎暮らしをエッセイにつづった「花静かなる山里より」・自然観察ハンドブック「SNOW FOREST 雪の森へ」(ほおずき書籍)がある。

 ネイチャーガイドの草分けとして活動し、信越高原をフィールドに、トレッキング、スノーシュー、自然観察などのプログラムを行なう。2002年より2年間、広域行政の地域づくりプラン「妙高四季彩博物園」の自然系クリエーターを務める。

C.W.ニコル・アファンの森財団の「アファン心の森プロジェクト」で、児童養護施設のこどもたちと職員、視覚障害者と保護者に対する森林療法を担当(2004〜2009年)。

現在は、森林セラピストとして、森林セラピーの研究・実践・啓蒙活動・執筆 をメインに取組む。

第3回オーライ!ニッポン大賞・ライフスタイル賞受賞〔農林水産省〕
(社)日本産業カウンセラー協会認定カウンセラー 
信州・信濃町 森林メディカルトレーナー
長野県薬草指導員 ・ 長野県自然観察インストラクター

オフィス花静庵
http://www3.plala.or.jp/kaseian/
ラボキャンプとの関わり
ラボキャンプに最初に関わらせていただいたのは、サマーキャンプの黒姫登山の引率でした。もう10年以上も前のことです。以前のコースは現在のコースよりもハードなルートだったのですが、黒姫山の山頂直下にある七ッ池という矮小化した笹原が広がるとても気持ちの良いエリアがあり、そこに、ほんの数分でもラボっ子たちを寝転がらせてあげたくて、早朝から頑張って皆で山に登っていました。その後、スプリングキャンプで、雪の森をスノーシューを使った雪上ハイキングのプログラムを行ない、少し期間をおいて、昨年のサマーキャンプで、久しぶりに森のさまざまな不思議をクイズ形式で解いていく小学生の低学年向けのプログラムを担当させていただきました。

 森に囲まれたラボランドくろひめのキャンプで、森の不思議や、森が持つ癒しの力などを、野外活動を通じて感じてもらえればいいなと思っています。
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