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6月5日(日)アバンセにて
鈴木孝夫講演会 (慶応大学名誉教授)
「どうする?これからの外国語教育」
~日本語・日本文化をたいせつにした英語教育を~
まず、松本さんから鈴木さんについて紹介。
① 現代国語などの教科書や受験用のテストに、鈴木さんの文章は良く使われている。
② 拾い物・もらい物・ごみ拾いの名人・生き方の名人(自然の中で生きる)
物は買わない主義。無駄なお金は使わない。もし物を買ったら、できるだけ長く使う。
地球環境を大事にする人。
昔から鳥が好きで、日本野鳥の会顧問をされている。鳥の鳴き声の名人
(実際に、きじ鳩やふくろうなどの鳴き声を披露された)
③ 話し方の名人
鈴木さんは、難しいことを具体的に分かりやすく説明できる人
鈴木さんは、色んな意味での名人である。
言語学は人間の生き方に直結したもの。
鈴木さんの著書「ことばと文化」「日本人はなぜ英語ができないか?」
「人にはどれだけのものが必要か」などを読むと良く分かる。
以下、鈴木さんの講演
ラボは、子供たちにとってすばらしい世界。学校や幼稚園など既存のものとは違う世界で、
学校などで欠けているものを、完全に埋める活動をしている。
今の子供たちが住んでいる世界は、一人や二人など少子化の時代。
家庭の中に社会がないので、けんかの経験がない子が増えてきている。だから実際にけんかするときどこまでやっていいかが分からない。
親と子が接触する時間が減っている。
ラボは、子供たちが育つ環境がある。自分でいられる場所。
子供たちが喜んで生き生きと活動している。子供たちが自発的に活動できる場所。
お母さんから怒られるからとか、強制されるからやっているわけではない。
なにより、39年続いているラボは、いかさまではなく本物である証拠。
親子3代で続いているラボ家庭が全国あちこちにたくさんいるということがすごい。
子供たちが自発的に、英語に取り組むならばいいけれど、
英語の早期教育で、発音が良くなり、表現力も良くなるという思い込みでスタートしている。
英語教育の専門家は、小学校で義務教育として英語を教え込むことには反対している人が多い。
日本だけが、日本語さえできれば、安心して生活できる国である。
だから英語が絶対必要であるというわけではない。
「小学校で英語教育が必要か?」というシンポジウムがあり、その後
「小学校で英語教育はいらない」という本が出たばかり。
子供の能力・体力にはばらつきがある。
(興味の対象が違う)野球が好きな子・ピアノが好きな子・絵が好きな子など
英語を選択科目として取り組むならいいけれど、共通項の基本知識に英語は必要ない。
英語嫌いを小学校で作らせたくない。
現に英語が嫌いで登校拒否や保健室登校などしている場合がある。
政治家や新聞記者・ビジネスマンなど、外国と日本の接点になって英語で交流しないといけない人が、英語ができなすぎる。そういう人こそintensive(集中的・徹底的)な教育をしないといけない。
英語だけを国民全部にできるようにする必要はない。
英語は、世界中に広がって土着化し、発音が違う英語がたくさんある。
70~80%くらいが、イギリスやアメリカとは違う国の人と、英語でコミュニケーションすることになる。
中国の人は中国なまりの英語、韓国の人は韓国なまりの英語、インド・アフリカ・フィリピン・オーストラリア・ドイツなどその国独特のイントネーションで話している。
イギリス・アメリカだけから学ぶ時代ではなくなった。
外国語は、ネイティブより、自分で苦労して習得した人から学んだ方が良く分かる。
ネイティブはなぜそういう言い方をするのかという説明をすることはできない。
(ラボ程度の英語であれば差し支えないということばを受けて)
→ラボの場合、英語・日本語を同時に聞くこと。日本語を大切にしている。
日本人の両親を持った普通の日本人であるラボっ子が、ヴァイリンガルになる心配はない。
言語にさらされる圧倒的な時間が違う。日本語の文法がぐらつくほどの時間ではない。
今の日本の英語教育のやり方だと英語が身につくわけがない。
ラボの場合、五感を使って声に出すこと。踊ったり歌ったり、劇で表現する中で全身的に英語を学んでいる。全身染み込み型の教育、ことばとの出会いをしている。
受験のために暗記するのではなく、好きなものは繰り返し声に出していっているうちに覚えてしまう。
外国に行くと、日本人がいかに自分の国のことを知らないかが良く分かる。
外国に行ったときに、相手の国の人が知りたいことは日本のこと。
それを説明することができる日本人が少ない。
鈴木さんは、昔からいつも英語と日本語をつきあわせる癖をつけていた。
これは英語でどういうのかいつも考えて辞書を使って調べる癖がついていた。
ニューズタイムで、日本のことを英語で読んでいたので、英語で苦労するということは全くなかった。
日本のこと、自分に興味があることを英語に置き換える癖をつけるといい。
日本人が良く使う「うそ」と英語の「lie」とはニュアンスが違う。
日本語の「うそ」は、騙すことばとして使われないことが多い。
でも英語の「lie」は道徳的・倫理的に良くない場合が多い。
ことばって面白い。日本人が考えるりんごの色は赤だが、フランスでは緑。
日本人は太陽は赤だが、ヨーロッパの方では黄色が使われる。
質疑応答
Q.
小学校で取り組んでいる授業を見て、英語の歌にあわせて体を動かしていたが、本当に言葉が分かって動いているのか、ただ真似をして動かしているだけなのかとても疑問に思ったけれど、そういうことで英語が身に付くのでしょうか?
A.
分かんないけど言っているうちに、ある時ハッと気がつくことがある。
言葉はその時理解できなくても、後々残っていく。リズムで覚えていくことは大事。
Q.
どうやったら英会話が身につくのか?
A,
英語が魔法の杖で、英語ができたら何でもできるという錯覚を止めること。
自分が伝えたいことを、英語で話せるようになることのほうが意味がある。
漠然と考えるのではなく、何をしたいのか?何を伝えたいのか?の方が大事。
英語ができないと、仕事ができないとかいう状況を作る方が手っ取り早い。
日本人は日本人らしい英語を使っていけばいい!!
なぜアメリカ人・イギリス人の真似をするのか?
日本人であるアイデンティティを大事にしよう!!
英語が上手く話せる人より、この人の話を聞いてみたいと思わせるような魅力のある人間になることの方が、どんな英語を話すかよりもはるかに大切なことである。
Q.
もし、英語が義務教育として小学校に入ったら、どう子供を評価してあげたらいいのでしょうか?
A.
あなたは、先生か何かですか?外国語は、評価するようなものではない。
一人一人成長が違うのだから、できたこと、できるようになった事を誉めるようにすれば良い。 |
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