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ラボ・パーティでは、物語を劇表現する活動
(テーマ活動)をしています。
なぜ、テーマ活動なのか…
以下は山梨でラボ・テューターをされている
まじょまじょさんに許可をいただいて、
転載させていただいた日記です。
【なぜ、英会話でなくて、テーマ活動をするの?】
ラボを始めて、20年になりますが、
3年目あたりで、楽しいのはいいのだけれど、
「本当にテーマ活動で言語が習得できるんだろうか?」と、
ふと不安になったことがありました。
今日は、ちょっと長くなりますが、ラボではなんで英会話じゃなくて、
テーマ活動をしているのか、少しでも参考になればと思い、
私の体験を書いてみます。
私がラボを始めたばかりの頃は、ただ楽しくて楽しくて、
毎週のラボの日が待ち遠しかったし、最初の5人のラボっ子と
1回のパーティで2つのテーマ活動をしていたほどでした。
でもはたから見ると、どうみても「遊んでいる」としか
映らないのです。保護者の方々もきっとあまりにラボが
未知数(そのころ山梨には、ほかにパーティがなく、
モデルとなる大きな子も知らなかったの)で、
「ラボって何ぞや?」っていう不安から、
「忍耐」もしくは「期間限定」でおられたかと思います。
私も考えました。このままラボを続けようか、どうしようか。
そこで、私はアメリカに行くことにしました。アメリカの教育現場に
興味がありましたし、なによりアメリカの子が実際にどうやって
英語(母国語)を学ぶのか、どのような言語教育が施されているのか。
また、もしアメリカの小学生が日本語を学ぶとするなら、
どのような手段が有効か、自分の目と耳と身体で
絶対に体験したいと思いました。
それからあらゆるツテを頼ってなんとか、
公立の小学校の教壇に立てることになり、
その頃いたラボっ子は新しくできたパーティに
一年間だけ代講をお願いして出発しました。
赴任先はアメリカ東海岸、ヴァ―モント州(ニューイングランド地方)の
2つの公立学校でした。前半は、1年生から9年生の日本の小学校と
中学校をあわせたセントラルスクールです。
そこではイマ―ジョン教育の前段階、今でいう総合教育が実施されていて、
それは第二外国語を選ぶ前に世界の主だった国について、
その国の先生からその国について学ぶというものでした。
また、日本では教科ごとにやっていることが違いますが、
ここでは教科横断が見事に実践されていました。
例えば半年間は日本の社会・歴史・言語・美術・音楽・クラフト・ダンス・・などを
トータルに学ぶことができます。その後に、第二言語を選択できるので、
その国の言語を学ぶ子ども達のモチベーションがしっかりしている、
というのが印象的でした。
私はそこで、教科:日本語を担当しました。
私は日本語のネイティブです。
しかし、どうやって教えたらいいのか悩みました。
いかに楽しく興味を持って学んでもらえるか、そして、
いかにやさしく日本語を習得してもらえるか・・・
すでにラボ・テューターとして日本で「テーマ活動」を
していましたので、ラボの「テーマ活動」が果たして、
アメリカのこども達にもできるのか、そして、それが
言語習得の道として有効か、実践してみることにしました。
教科のほうは、学年に応じて会話を中心に教えることに
なりましたが、その他5~6年生の選択科目で、2クラスの
「日本語会話」(どんなカイワをするんでしょうね!
日本語会話を習うって、なんか変な感じでしょう?
アメリカ人からすると日本人が『「英会話」を習う』というのも
同じように違和感があるようです。)も担当することになりましたので、
ひとつは、「テーマ活動」を、もう一つのクラスは、まさしく
ダイレクト・メソッド、(まあいわゆる、英会話学校で
外国人の先生から英語のみで学ぶのと同じスタイル)で
各3ヶ月間実践しました。
テーマ活動のほうは、「ももたろう」です。英語と日本語の
バイリンガルテープを学年主任の先生と私で作り、4月から取り組み、
夏休み前に全校生徒と保護者の前で発表することを目標にしました。
もう一つの会話クラスは、ある日常の状況を設定して、
その状況に応じた会話を覚えていくというものです。
会話はひながたを、担任の先生と設定して、ワークシートを使って
(ますます英語学校のような日本語クラス)、書くこと、読むことも
いれました。もちろん全部日本語です。
さて「ももたろう」。なんで、おばあさんは川で洗濯なのか、
なぜこんなに大きい桃が流れてくるのか、なぜ、だんごほしさに
鬼たいじに行くのか、いちいちおかしいわけです。
いつも教室には笑いが広がりました。で、疑問を解決するために、
日本について調べてきて発表する。着物の着方も習ったり、
そのうち音楽を用意してくる子もでてきて、BGMと効果音もでき、
衣装を作る子が出てきたり、皆で桃太郎の桃マークのはいった
「のぼり」を作ったりしながら、ずっとテープをかけて聞いていました。
そうするとそのなかで、セリフが自然と口から出てくるように
なったのです。そしてそのことばは、日本語ネイティヴの私を
唸らせるほど美しい発音なのです。少しできるようになると、
セリフを言うのが楽しくなり、さらに、「川の水は冷たいと思うから、
そのときはなんといえばいいか」とか、「帰ってきた桃太郎を
褒める時には、日本語ではどういうのか」といっぱい聞いてくるようになり、
それをどんどん日常会話に入れていくのです。
一方、会話クラスの方は、お勉強スタイルで、
まさにrepeat after me の世界!「教える・習う」授業です。
また、日本語のダイレクトなので、簡単なことばを伝えるのに
時間がかかりました。それでもたとえばレストラン編として、
動きをつけて、メニューもつくり、お客とウェイトレスなどに
設定してあげると、とたんに楽しくなるのです。
でもそれも1回制のものなので、すぐ忘れてしまうのです。
結局、一年後私が帰国する時に、日本語が定着していたのは、
「ももたろう」に取り組んだ子ども達でした。一つのことを
同じ目標を持って取り組んだメンバーは、私にとっても
特別近しく感じられ、お互いに心が通じ合えたような
気がしましたし、今でもあたたかい気持ちで
思い起こすことができます。
「ことば」を学ぶということは、まず、心が開放された時に
まなべるのだと、強く思いました。
もしあの時、会話中心のクラスが成功したら、私はラボを
選ばなかったと思います。でも、今もラボを続けているということは、
【物語】がどんなに大きな力をもつか、それを表現する
【テーマ活動】に取り組むことによって、こどもたちの心の
深いところにまで到達することばが獲得できるということ。
また物語まるごとは、より多くのことば、洗練されたことばに
たくさんふれることができ、ストーリーが深く刻み込まれるため、
時間が経っても忘れない・・・つまり、うわべだけの
「英会話」では太刀打ちできない。ということがわかったからです。
「ももたろう」をしていた子が、なぜ、次々にことばを
覚えていったかというと、それは自分たちが主体的に
作り出していくときに必要だったからです。それに、
たくさんの発見があったからです。ひとつのことを
目標を持って仲間と取り組むことによって、やる気も起き、
いろんなことを調べて、また、新しい発見をする。
どきどきわくわくしますよね。新しいことばをおぼえるということは、
どきどきわくわくするほど刺激的なことなのです。
repeat after me では、発見も喜びも限界があるのではないでしょうか。
日本にはたくさんの英語教室があります。私もラボを始める前に
たくさん見て歩きました。
大切なのは、こどもたち自身の主体的な活動になっているかと
いうことだと思いました。
私達親は、お金を出しているんから、その分、教えて欲しいと
つい思ってしまいますね。でも、教え、教えられる関係は、
いつまでもそこから脱しえないので、いつかこどもは
つまらなくなってしまうのです。
言語習得は、そんなに簡単なことではありません。ちょっとやったからと
いって、「ぺらぺら」にもなりませんし、すぐに結果がでるものでも
ありません。また、そんなに短いスパンでは、とても
「こころの表現としてのことば」は身につきません。長い時間を
かけて大切に大切に、心とともに育んでいくものだと思います。
もし、今、迷われている若いテューター(私もまだまだ若いつもりですが・・)、
保護者の皆様がこの日記を読まれていたら、
「迷っていたらもったいないですよ!」って、申し上げたいです。
どうぞ自信を持って続けてください。日米のこどもの差はありますが、
「ラボの言語習得方法は、間違っていないな!」って、
アメリカでも実感できましたもの!!
ラボは30年以上の実績があり、多くのこども達が実際に育っています。
このひろば@でも、それぞれのパーティの様子を知ることができますね。
(それでも、まだ、「う~ん」って唸ってらっしゃる方は、
私のHPのラボ高校留学のページをご覧ください。
3才から15年間ラボ活動をした子の英語のスコアーです。
ラボでは、英語を点数ではかったりしないので、
ラボっ子にとっても留学試験が始めて遭遇する点数化ですね。
モチロンそれだけがすべてではありませんが、
一般にはわかりやすいかと思い紹介します。
中3の9月と12月の留学試験、留学出発前5月(高1)と帰国直前のものです。
最後のほうにTOEFLのスコアに換算してあります。
TOEFL600点はネイティブでもなかなか取れません。
モチロン、みんながこうなるわけではありません。
本人の努力があってこそ、です。
でもその努力できる原動力は、どこから?って考えると、
机の上だけでは絶対に足りないってわかりますよね。)
ほとんど宣伝していないラボに出会えたのも、
きっとなにかのご縁ですし、
どこか惹かれるものがあったからではないでしょうか?
(私は、できたらラボっ子として出会いたかったほどです。)
どうぞ、ご自分の直感を信じてお進みください。
きっと、「ああ、ラボを続けてきてよかった!!」っていえる日がきます。
私達、テューターも、こども達やご父母の皆様にそういってもらえるように、日々鍛錬です! |
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