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誰でも知っている話だろう。そして絵本もたくさん出ていて、雑誌などにも簡単に載せられている。「わたしの知っている話は、二匹のコブタのいえがこわされて、レンガの家へにげていきます。」という子も少なくない。
幼稚園でもよくやった。はじめは、みんな、「こぶた!」という。しかも3番目のコブタが一番人気がある。おおかみのやり手がなくて、テューターがおおかみをやる。すると、2回目からは、オオカミの人気も出てきて、「フフーのフー」がもう最高に面白くてのめりこんでしまう。
―――3番目のコブタはあたまがいいな
レンガのがんじょうな家を作って。
おおかみは、自分は強いと思っていても
レンガの家まではふきとばせない。
3番目のコブタはあたまがいいな
6時に約束したら、5時にとりにいくなんて。
おおかみは、くやしくて また約束したけれど
またまたやられて、なんて まぬけな おおかみ!―――M子(小6)
―――この話も、昔話のはじめの決まり文句、「ワンサ ポンナ タイム」ということばが最初に出てきます。「むかしむかしといえば、ぶたがうたうようにはなしたり、サルがかみたばこをくちゃくちゃかんだり・・・」というはじめの歌うようにいうのがおもしろいです。おもしろいことばがいっぱいあります。「ノウノウ・・・・マイチニチンチン」というところです。
一番目のブタも、二番目のブタもたべられてしまう。三番目のブタはあたまがいい。おおかみも最後にはなべに落っこちて死んでしまいます。三番目のコブタはなべでにたおおかみを食べました。一番目のコブタと二番目のコブタをたべたオオカミをです。なんだかへんですね。―――A子(小6)
ジェイコブズの昔話は、後味がいい。「ぐつぐつ煮て食べてしまいました。」といっているのに、楽しいお話として、心に残る。これが昔話のいいところなのだろう。だからこそ、変に道徳的に考えて、「三匹がなかよくくらしました」などと書き換えられては、間の抜けた話になってしまう。
物語とは全然関係がない話になるが、「3びきのこぶた」(安野光雅・絵=森 毅・文=童話屋)という絵本がある。私はこの絵本を買うとき、安野さんの絵本が好きということと、物語に何か関係してるかな、と思ったのだ。実はこれは数学を扱っている。しかも[順列と組み合わせ]高校の確立・統計の科目に入る。しかし、この絵本を、小学校の高学年が喜んで一生懸命見ていたのだった。
私は、この作者二人の言葉が気に入っている。
「安野さんの絵は、若い女性に人気があるらしい。数学というのは、若い女性に人気がないらしい。小人が出てきたりしないからかも知れぬ。でも、数学の世界にだって、小人が出てきたり、虹がかかったりしてもよい。数学の世界は、いたずらをしたり、夢を描いたりする世界でもある。」―――森毅
「自然が美しいように、数学も美しい。そのはずなのにこの頃は、入学試験と、それに適応しようとする教育のためか、数学は誤解されて、ひどい嫌われものになってしまった。でも本当は、美しい。昔は女神にたとえられたくらいだった。その姿を除き見るためにこんな絵本があってもいいだろう。」―――安野光雅
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