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ここに1メートル四方くらいの大きさのタペストリーがある。モチーフは「空のかけらをいれてやいたパイ」。お話を聞いて幼児たちがきれいな絵を描いてくれるので、私も一生懸命作ったものだ。みどりと紫とピンクのグラデーションがとてもきれいなインド綿の古いワンピースが、このパイの浮かぶ空のイメージにあっていた。それを小さなパーツに切って、縫い合わせていく。下の方は暗く、上に行くにしたがって淡く夢のある空になっている。そこに黒い布のアップリケでパイのシルエットが浮かんでいる。ラボっ子の小さい妹がついてきてお昼寝をしてしまい、これをかけて寝ていたこともあった。
ある年の3月、There's some Sky in this Pieのテーマ活動をやっていた。そこへ、私立中学受験のためしばらく休んでいたY君がやってきた。みんなで「よかった、よかった」と迎えて、楽しくテーマ活動をやったにもかかわらず、Y君の態度は沈んでいる。[どうした?]「うん、なんか作り話でつまらない」というのである。
なるほど、学校、受験という現実にあっては「目に見える世界」しか信じられないかもしれない。しかし、「目に見えない世界」を感じる能力も大切である。知識は必要だ、しかし知識だけで本当の人間の可能性は伸ばせるのだろうか。どんな科学者でも何かを発明し、創造するとき、そこに「ひらめき」が必要だ。空想できない人、夢のない人に何が作れるだろう。と話し合っていき、[空想すること、また、空想できることはすばらしいこと、必要なこと]と言い切れる雰囲気になったことを覚えている。それからずいぶん私もそれが裏づけできるように、ファンタジーについての本を読み研究したものである。
There's some Sky in this Pie はジョーン・エイキンのファンタジー短編集 A Necklace of Raindrops and other stories の中の一編である。小さい子達はこのラボの本とは違う表装の本に同じピアンコフスキーの挿絵を見つけてびっくりするのである。
これの訳本、岩波の「しずくの首飾り」(猪熊葉子訳)も何回読んだことだろう。この中の「しずくの首飾り」や「魔法のかけぶとん」はスケールが大きく、みんな大好きだった。手元の本は歴史を感じさせるほどになっている。次に読んでやるのは、孫のためだろうか。
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