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北欧の旅は、天気に恵まれ、出来上がった写真も、一段と美しい。心に残るのは、新緑の緑といえるやわらかい木のみどり、バジタブルーの空、フィヨルドの神秘的な青や深緑り、どこも満足の旅であったが、もし、心残りがあるとすれば、アンデルセンの故郷、オディンセへ行かなかったことだ。
世界的な童話作家であるアンデルセンが、なんといってもデンマーク人だということで、コペンハーゲンでは、アンデルセンの名前をよく聞くことになる。
「人魚姫」に因んだ人魚の像は、観光の場所にはなっているが、なんとも物語からは、離れた感じがする。私は、その後ろの風景のほうに、興味を持ってしまった。スマートに、きれいに並んだ風車の列が、バルト海の風を受けてまわっていた。
歩行者道ストロイエを歩いて、市庁舎広場まで来ると、市庁舎の横に、アンデルセンの像がある。その姿は21年前に来て、この脇に立って写真を撮ったときと、変わってはいない筈なのだが、周りの様子が変わったのだろう。騒々しく忙しくなった。像も表情が硬くなったような気さえする。
古い建物が並ぶニュウハウンをクルーズしていくと、アンデルセンがコペンハーゲンにいたときに住んでいたといわれる家を紹介する。
コペンハーゲンは古いお城も多い。そして、どこへ行っても水辺に建物の姿を映すような風景が多い。すると、ごく自然な状態で静かに白鳥が浮かんでいる。郊外の宮殿へ行ったとき、水辺の木の下に、白鳥の親子がいた。近くにいた若い日本人観光客が「あ、ほんとに白鳥の子は、みにくい子なんだ。」と叫んだ。
―――小さいころからよく聞いた物語です。いつも、みにくいあひるの子ってかわいそうだな、と思っていました。やっぱり、人間も同じように、少し、他人と違うところがあると、意地悪なことを言いたがるのですね。親から直接言われるより、話しているところを、聞いてしまったほうが、どんなに悲しかったかと思います。生きる力がなくなってしまうと思います。
それでもみにくいあひるのこは、立派です。ちゃんとひとりで、自立していくことが出来たのだから。最後には、美しい立派な白鳥になり、本当によかった。と、この物語から、いやなことがあるとき、「そのうち、きっと、それはもっといいことがあるための今なのだ。」と思うようになりました。―――S子(高2) |
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