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「俺、、、進級できるって!!」 なんとまあ、うれしそうなメールだろう。字が躍っている様に見えた。
自宅学習という名の自宅待機中、毎日毎日びくびくして暮らしていた次男。
ついにしびれを切らして担任の先生に電話したらしく、外出中の私に送ってきたPCメールがこれだ。
高3になれる!
よ、よかったね・・・。
すっかり元気になった次男に、つい、笑ってしまう。
お父さんが「留年したらまた修学旅行に行けるのか?」って言ってたよといっても、
「それはない。そうだとしても、俺、辞退するから・・・・」
「母さん、一年間の学費って、いくら・・・?」「そ、そんなに高いの・・?」
(そうじゃ!だから、休んだり遅刻したりしたら、もったいないんだよ!!)
進級できるとわかって、とたんに気が軽くなったらしい次男。
数日たって「進級できたら携帯」という言葉を思い出したらしい。
「いいんだよね?」「別に、だめっていうなら、いいけど」「でも、そろそろいいかな」
「(三男への)防波堤を続けろっていうんなら、それでもいいけど」
「家に帰ってからPCでメールできるし・・・」「公衆電話さがすのプロだし」
「でも、移動中便利かなって」「ま、今まで困ったことないけど」
なんというか、とっても控えめな要求に笑ってしまう。
長男や三男に、拝ませたい低姿勢。
あまりにだらしなく、なくす落とす忘れるが多すぎて、携帯は持たせられなかった次男。
家のカギを橋の上で振り回していて河原に飛ばし、長男に拾ってきてもらったよね?
身分証明書無くしたの、何回?
自転車盗られたの、何回?(そのたびに誰かが見つけてくれたけど)
携帯を無くしたら、人に迷惑がかかるんだよ。
私の携帯をこっそり使って、迷惑電話・メールが来るようになったり、
使いっぱなしで電源が切れ、行方不明にしたり・・・・
欠点ばかりだと思っていた次男だったが、
クラスメートのお母さんから「電話の応対が立派」と言われるほどに「礼儀」を身につけ、
公衆電話を見つけて使いこなし、三男への防波堤の役割も果たし、
「携帯なしの利点」を全うした次男。
「大学生まで待て、っていうんなら、別にいいけど・・・」
あいつが物をほしがるなんて、滅多にない、とお父さんも言い・・・・
(この間は半年近く前のお誕生日にペンダント、1300円也)
(あっ、でも食べ物は我慢できないけどね)
携帯を買いに親子3人で出かけた。道々、どんなメールアドレスにしようかと、ウキウキ。
「学生証を忘れた」
パンフレットだけもらって帰る。これで、ここ数日、幸せな気分でいられることだろう。
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新宿のラボセンターで行われたリュドミラ・バルフールwsに参加した。新版アリスの絵を描かれた方だ。
現在はパリ在住でスコットランドに夏の別荘をもち、アリスの仕事は主にその別荘でしたそうで、
絵にも別荘の建物や周りの景色が出てくる。
バルフールさんのお話はフランスなまりの英語で。
ご本人の生い立ちからお話が始まり、スコットランド人のお母さんから伝説や昔話をたくさんきかされ、
デンマーク人の画家のお父さんから自由に絵を描く環境をもらったという。
学校のこうでなければならないや、大人の常識にしばられない生き方。
小さいとき、自分が描いた絵にタイトルをつけ、それについて物語ったという話を聞くと、
私たちがラボっ子の絵を「なになに、教えて。そうなの~」と聞きながら見入っていることが
とてもいいことなんだと再認識する。
国連の仕事をしていたご主人と中央アフリカに4年間住んだとき、
料理の本に挿絵を描くという仕事を続けていたそうだが、
何しろその国に郵便局がなく、隣の国の郵便局留めで仕事のやりとりをしたという。
できあがった本に何が書いてあるのか怪しまれ、
ヨーロッパ人はものを料理するのに、本を見ないとできないのかと、哀れに思われたという、
なんだか文明国の矛盾に救われたような体験に会場が湧いた。
わあ、バルフールさんって、おもしろい人なんだなあ。なんというか話芸がある。
アリスの原画を投影しながら解説、質疑応答。
このアリスの絵は、金髪で水色のワンピースに白いエプロンと、なんか定番かなと思いきや、
グロテスクともいえる登場人物が続々・・・・
バルフールさんは一つ一つのエピソードを語ってくれた。
前日に訪ねたKパーティのラボっ子も大いに質問したというから、私たちも、どんどん伺い、
思いもかけないお答えに感心したり、驚いたり。
ウサギのしっぽがどうも長いような気がします、というと、そうね、ちょっと長いかしらという。
きっとデニッシュなんですね、といったらこのジョークが気に入ったらしく、後々まで
変わった動物や生き物というと、デニッシュということになっていた。
(ウサギには、オランダ種、デンマーク種、垂れ耳種など、いろいろな品種がある)
キャタピラーが、芋虫(かわいい)というより毛虫(気持ち悪い)で、その点を聞いたら、
「かわいいかわいいしたものは描きたくない」とのこと。
芋虫は毒がないけど、毛虫は毒があってかぶれたりする。キノコ(毒もある)と関連があるのかしら。
そんなことを聞いてみたら、子どもの頃、毛虫の大群に出くわし、自分たちがよければいいものを
毛虫の行列の進路を変えようという大それた計画を実行し、
手や腕、首から顔までかぶれて大ごとだったという思い出話に発展して、おもしろかった。
バルフールさんは子どもの頃の体験や物語、伝説を今の自分の芸術に全てつぎ込んでいるんだ。
「だから楽しくてたまらないのよ」
じゃあ、公爵夫人の頭にはえてる鹿の角は、ギリシャ神話? そう伺ってみたら、
なにかの伝説や神話が根底にあるからいろいろなおもしろい生き物を創造して描いているといい、
また公爵夫人については、フランスの早口言葉「公爵夫人の靴下」というのがあって、
それで頭に鹿の角を生やして靴下をぶら下げたんだそうだ。
すごい収穫!
きちがい帽子屋についてだが、
帽子を作る過程でビーバー皮をなめすのに毒性の強い物を使うということが紹介され、
as mad as hatter というイディオム、
帽子屋があたまがおかしいのは毒性のある帽子をかぶっているからに他ならない、という。
なるほど・・・・
帽子屋のぼうしからチョウチョが飛んでて、隣にいる三月ウサギはくるくるの針金が飛び出している。
完全に壊れちゃってる状態?
昔あったよね、おもちゃやぬいぐるみ、壊れて針金やバネがとびだしてるの。
こうなるともう、ポンコツ状態。懐かしいなあ。
他にもいろいろ絵の解説や、皆さんから出た質問から楽しい解説を引き出すことになり、
ラボっ子たちと、もっと絵をじっくり見て楽しまなくちゃと思った。
あちこちにちりばめられた楽しいしかけ。
西欧世界の根底にある伝説、NR、神話、ご自身の文学体験、人生観・・・
そういったものが全てちりばめられているんですって。
ご一緒にいらした画廊の横島さんからも補足していただきながら、楽しい2時間があっという間に終わり、
購入した日本語の絵本にサインをしていただいた。
この日本語版の絵本は、うたのところが手書きになったり、
日本語だけで読み聞かせすることを念頭に置いた作りになっているそうだ。
サインは、リクエストした動物のイラストを入れてくださるというおまけつき!
私は「愛犬のゴールデンレトリーバーにして下さい」とお願いした。
むずかしいわ、といいながら、ティムが出現。
(アメリカゴールデンは毛が長くふさふさして大きくみえるが、イギリスゴールデンは比較的毛が短く、
スマートにみえる。バルフールさんのゴールデンはやはりイギリスゴールデンだった!)
早口言葉「公爵夫人の靴下」を書いていただけませんか?とお願いしたら、さらさらっと
書いてくださった。
やった! フランス語の早口言葉なんて、今日聞かないと一生お目にかかれないかも。
Les chaussets de l'Archiduchesse sont-elles seches ou archi-seches??
(seches の e は、` があります)
午後、日本橋の画廊に、原画展を見に行った。
うわあ、やっぱり、原画はいいなあ。テキストだと紙質が違うし、やはり息吹が・・・。
三月ウサギのくるくる・・・これ、気に入ったなあ。
それに、行列している絵、他にもキングやクイーンがいる・・・ということで、
キングフィッシャー(カワセミ)やクイーンビー(女王蜂)、アフリカの王さまや、
あっ!ゴールデンレトリーバー?の王様もいるよ。
バルフールさんのご主人(本人曰く)もいるそうだし、じゃあ、バルフールさんはどれ?
「私は、このおかしな人、かしら」
この登場人物たちは、どれも目がすごく印象的で、何か言いたげ。
そうだ、吹き出しを付けてラボっ子にセリフを書かせたらおもしろいだろうなあ。
他のエッチングの作品も、印象深いものだった。
私が気に入ったのは、Lady bird
NRの古典本にあるようなクラシックなタッチに仕上がっているその絵(エッチング)は、
女の子がテントウムシを指に這わせて、まさに Lady bird, lady bird fly away home・・・・
だが、その前のテーブルにはサイダーの瓶があり、そこからふしぎな上昇気流がおこって、
テントウムシの斑点が舞いあがり、女の子のかみの毛がふわふわさかだっている。
今までに見たlady bird の絵で一番いいと思う。
ちょっと欲しかったが・・・・
バルフールさんの絵は目がとても印象的。それに太い眉毛も。
アリスの登場人物たちは、やっぱりご本人にそっくり。
ラボセンターに引き続き、画廊でもバルフールさんから直にお話を伺うことができた。
原画展は日本橋「三越前」のギャラリー砂翁・トモスにて、28日まで。
http://www.jpin.co.jp/saoh
住所、アクセスおよび原画展の様子が見られます。
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初めての合同を今週末に控えて、今日は小学生クラス。やっと役が決定した。
昨日の幼稚園クラスを休みにしたので、Ayちゃんが小学生クラスに来てくれた。卒園おめでとう!
さっそくNっちゃんがなにくれとなく面倒をみてくれる。
先週、小学生たちが「どの子に何の役?」という話し合いをして、それを中高生クラスに持って行き、
中高生クラスで既に出ていた案と合わせて、こんなのどう?というのができあがった。
今日はそれを小学生たちに承認してもらう。
やみくもに、あれがいい、これがいいといっていた低学年も、全体を考えるようになってきた。
小学生クラスから、おかあさんあひるを出したいんだけど。
「え~! じゃあ、Ikちゃん?Kiちゃん?」(3年生)
うん、それがいいよね。でもKiちゃん、発表に出られないんだって。だからNっちゃん、どう?
「え~!だって、私、小さいよ」(Nちゃん、1年生だが、身体は大きい)
じゃあ、Ikちゃん、ひとりでおかあさんやれる?
「むり!Nっちゃん、いっしょにやろう。」(前半後半わけることに)
みにくいあひるのこは、だれにする?
無謀な意見がいっぱい出る。
うちのパーティでいちばーん、小さい男の子、だれだっけ。
「Gちゃん!」
そうだね。Gちゃんにする?
「でも、Gちゃん、大丈夫かなあ。まだ小さいし」そうだね、まだプレイさんだものね。
じゃあ、次に小さいのは?
「Rくん!」ぴったりだね!
先週、きょうだいあひるは、キディさんがいいって言ってたよね。Ayちゃん、やってくれる?
「やる」うん、やろうね。みんなは他のあひる、どう?
「おとなのあひるでしょ?大きい子がやったら?」うん、小学生の意見はそうだったね。
でも中高大生は、大きすぎて、同じ鳥ってかんじじゃないじゃない?家畜小屋には他に、馬とか、牛とか・・・・・
「ぶた!」じゃあ、中高大生はそういう「どうぶつ」ね。(みんなげらげら笑う)
そうそう、長老アヒルはSoちゃん(中3)でいいかな。このクラスではKiちゃんがやって。
Kiちゃんは、小学生クラスではSoちゃんの役、全部かわりにやってね。
じゃあ、みんなが他のあひるになっていじわるするのね。そうするとRくんはちょっとかわいそうかな。
「かわいそう!かわいそう!」
このあいだね、キディクラスでやったら、Sakちゃんがホントに泣いちゃったんだよ。
「どうする?」
Rくんの次の男の子は・・・?
「Keだ!Keなら、大丈夫!」じゃ、Keに頼もう。(Keは年長)
Keよりちょっと大きくて、二羽の雁は・・・・・
「おれか!」「ははは、KaとIts!!」「ぴったり~」「え~!?おれ、やだあ」え~、やってよお。
小2のKaとItsのコンビは今年も快調。
じゃあ、次の場面は?少し大きくなってるよ。次のあひるのこはだれ?(みんな小3のYoを指さす)
Yoは、かわいそうな場面とかの表現力があるんだな。
めんどりは・・・?ふふふ、立候補がいたよ。Yzちゃん(小6)説教しがいがあるって。
「うわあ!」
じゃあ、猫は誰?おばあさんは?(猫はKenちゃん、おばあさんはSoちゃんか、Hookんもいたよね。)
Takeが小学生クラスでは猫をやってね。
じゃあ、Yoちゃんのあひるの子が苦しい冬をすごして大人になったら?
「Shちゃん!!」うん、Shちゃんね、すごいジャンプの練習してるよ~。(中1)
じゃあ、3羽の白鳥は、大きい子がいいか。
子どもたちは、だれにする~?つんつん・・・と隣のMっちをつつく。
「どうして、ぼく!?」だって、Mっちがいちばん声が大きいんだもの。(うれしそうに輝く小1のMっち)
ナレーションもやりたかったよね。(わ~わ~)(一番はじめのナレーションが人気)
この中でまだセリフ決まっていない人がいるよ・・・。誰だと思う?そう、Hちゃん。
Hちゃん、やってくれる?一番はじめのナレーション。(小2)
「うん」こっくりうなづく。(NR発表会のTwinkle, Twinkleもトリで歌えたし、最近輝いてきたね)
その後のナレーションは、大きい子が分担するグループの元に、それぞれあーだこーだと言い合って、
小学生以上はナレーションもやろうということで少しずつでも入ることにする。
ひととおり動いてみる。Kiちゃん、今日は、きょうだいアヒル手伝ってくれる?Ayちゃんと一緒にやってあげて。
運動神経抜群のKiも、しゃがんで歩くのが疲れるという。
「キディさんなら、立って歩いてもいいよね」そうだね。その方がいいね。
みんな結構、その気。Keの代わりの高校生Takkuをいじめまくる。こら~、わんぱく坊主は別れなさい!
ラストシーン、Mっちは子どものリーダーだからね、キディさんを率いて、やれる?
「うん」
女の子たちは、白鳥になるの?(白鳥の湖の4羽の白鳥みたいにやってみる)
(大いに盛り上がってるけど・・・練習必要)
最後にもう一度集まって、他のアヒルのいじわるセリフをわけた。
Hちゃんはもう、聞き込み表2枚目行ってるよ。(妹のShiちゃんもだって)
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ラボ機を復活させている。「みにくいあひるのこ」なら、テープで聞きたいような・・・・
15分で戻さなきゃならないとか、音がどうとか、いろいろ言うけど、聞かないよりゃまし。
息子たちが大きくなって、家族でライブラリーというより、個々人できいといてね、になってきて、
やっぱり聞き込みが足りてない!
もう一度、家族の真ん中にラボテープ!!
ま、真ん中じゃなくて、端っこだけどね、ご飯の時しか、しかも全員集まるわけでもなくなり、
それでも、2,3人いれば、テープをかけよう。
15分というのは、案外、いい時間。お茶碗や箸を出したりしながら、もうかけておけば、先行投資(?)
ご飯の途中で「ニュースだ」「天気予報だ」「好きな番組だ」になるとしても、15分なら割り込める。
後になって、さっきの続きをというのも、はじめからじゃないから、手が出やすい。
そうやって、せっせと聞いておかなくっちゃ。
「ここ、あんたのナレーションじゃない?」「え、そうだっけ」そんな発見が一週間先になるよりいい。
ふっと飛び込んできた言葉に、笑ったり、感心したり、連想が連想を呼んだり・・・
おもえば、中高生時代、こうやってラボ機の15分が支配していた私の一日。
朝起きるときから、寝るまで、一日で10チャンネルから12チャンネル、聞いていた。
英語の勉強をするときは多言語。漢字の書き取り練習にはソングバードがぴったりだった。
そうやって聞き込んだ物語と言葉(音)が私の中にたくさんしまい込まれて、
後になって、わ~~~っとわいて出てきたよ。
ホームステイに行ったとき、日本でふと話すとき、大人になってからのアメリカ暮らし・・・。
知っているはずもない言葉が自然に出てくる不思議さ。(じつは知ってたとはね~)
それはまた、言葉だけではなかった。
そういう感動を息子たちにもあげるつもりが、いつの間にか、疎かになっていたな。
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Can I help you? って、「いらっしゃませ」だよね?と、中1の三男が部活の先輩に聞かれたそうだ。
「うん、店ではね。場合によって違うけど。」
それだけ言って、あとは自分の考えが正しいかどうか、夕食の時に私に聞いてきた。
「うん、店ではね。場合によって違うけど。家なら、てつだおっか?になるでしょ」
先輩とのいきさつは知らず、答える私。何でそんなこと、わかんないのよって思って。
さんざん、経験があるはずじゃないか!
詳しく聞いてみる。
三男は、Can I help you? は、その通りの意味なのに、
どうして授業では「=いらっしゃいませ」にしちゃうんだろうと思ったんだそうだ。
たしかに、日本では、その通りの目的でもその通りのことは言わない。
そう思えば、訳は「いらっしゃいませ」になる。
「でもさ、アメリカのホストにCan I help you? って言われて、
何で今『いらっしゃいませ』?って思っちゃうよね。日本の教え方だと。」
(きっと「場合によっては」っていう先生の言葉を聞き落としているんじゃない?)
中1の英語という限られた環境の中で出てくる英語は、三男にとって新しいものはないそうだ。
「全部知ってる、ていうか、聞いたことある。」
先輩が中1の三男に聞いてきたのは、「こいつ、英語の点、いいんだって」ということかららしい。
バイリンガル幼児だった三男は、帰国後日本語が急激に上達し、それと同時に英語はしまい込まれた。
もちろん、ラボで聞き、話しして、受け入れ体験も多数。
だが自覚しておらず、自信もなかったらしい。
そのしまい込まれた英語が、昨夏のホームステイで出てきたらしい。
自分は「わかってるってことがわかった」経験をしたのだそうだ。
言葉が、ごく自然にわーっとわいてでてきたんだって。
今、言葉に対する観念が磨かれてきたのかなあ。そんな会話が増えた。
いま、取り組んでいる「みにくいあひるのこ」は、ことばがすごい、と思う。
日本語も英語も、ただの訳語ではなく、味があるのだ。
始まりの言葉も「そのみにくいあひるのこがうまれてきた時のようすは、こんなふうでした」
と、一気にその情景に引き込んでいる。
音楽もそうで、だからキディさんたちのきょうだいあひるは、タイトルの音楽でもう生まれてしまうんだね。
ラボのライブラリーの良さは、その題材によって、あらゆる言葉を吟味したところにもある。
「=なになに」のような訳語でなく、この気持ちのときはこんな日本語、その時の英語はこんな英語、
その同じ英語がこの物語のときはこういう日本語と共に使われていて、こういう気持ちを表す。
そういう往還があるので、2倍、4倍・・・の精神性やバックグラウンドを持つ言葉に出会う。
みにくいあひるのこをききながら、
The ugly duckling had never been a duckling at all. という英語に、夫も私もウケている。
「もともとあひるのこではまったくなくて」
原作にはない言葉のようだが、あまりに正直な言い方で、
どうしてそんなことになってしまったんだろうという想像をかき立てる。
そこに、ラストの He could be himself. が生きてくる。
そうなると、あひるだ、白鳥だは、問題ではなくて、本質が問われているということになる。
あひると白鳥と、どちらがいいと思う?と、小学生に聞いたら、白鳥!という。きれいだから。
家禽と野生は、どちらが幸せなの?
食料が与えられ、住む場所があり、危険がない家禽の生活(でも食べられちゃう)と、
いつ死ぬかわからない野生の生活(でも、自由?本当に自由なのかな。自由ってなんだろう)
どちらがいいの? 自分なら、飛び出していく勇気はあるのかな?
テーマ活動をするときに、まだまだ言葉や暴力の押収になってしまいがちな中で、
自分の中に物語が育っている子は、きらきらの笑顔で本質に近づいている。
いじめはいけません、ではない高みに登っていくことができるのだろうか。
どの子も、自分の素晴らしい姿を自信を持って表現するところまで、行けるかなあ。
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プレイルームのGちゃんが「ハロー」と言ってやってくる。
ゴキゲンはいい。楽しくGood morning。気持ちよく飛んでいる。
これなら、「みにくいあひるのこ」をやってみようかな、と思っていると、
あらあら、初めのHi!で、「ママに抱っこがいいの」とぐずりだした。おやおや。
そのまま抱っこでHello、Open, shut themも機嫌がいいんだか、悪いんだか・・・・
おはなしの読み聞かせにする。Three Little Chicksは、後ろから指を入れてひよこを動かしながら読む本。
Gちゃん、気になって、お母さんの膝を降りて、本の後ろにやってきた。
そのままじっと、自分の指を入れたり、私の指を戻したり、ストーリーとは関係なく遊ぶ。
そのあと、Farm Animalの豆絵本をみて、あひる、やぎ、うし、ぶた、ひつじ、にわとりの親子と鳴き声。
おはなしが聞けるようになり、リチャード・スカーリーのNRブックへ。Three Little Kittensをやる。
どのMittenがいい?ムートンの大人用ミトン、毛糸で編んだ黄色いミトン、小さなウサギのついた赤いミトン。
黄色がいいの? なかなかはめにくい。赤い、小さいのにしてみると、ぴったり。
手袋をはめたまま、Mitten つながりで、The Mitten を読む。じっと聞いているGちゃん。
「じゃあ、やってみようか?」
登場する動物の札を首にかける。Gちゃんは、カエルと灰色オオカミとクマをとった。
お母さんはネズミとウサギとキツネをとる。私はいのしし。
おじいさんは私。ムートンの手袋をはめて森の中へ。お母さんがぬいぐるみの犬を持ってついてくる。
Gちゃんもついてくる。
おじいさんは、歩いているうちに(暖かくなって、手袋を取り、ポケットに入れ)
片方落として、そのままいってしまいました。
落とした手袋のところに、敷き毛布をしいて、動物たちが入っていく。
入り口は、パジャマゴムをひろげて。
Gちゃんがカエルになって入ってくる。
灰色オオカミ、という前に、Gちゃんは気がついて、既に乗っていた毛布から降り、また新たにやってきた。
「よく、わかったね~」
最後にGちゃんのクマが入って、ぎゅうぎゅう詰め、毛布でくるむ。
そこへおじいさんが(寒くなってきたな。おや、手袋が片方ない・・・)もどってきて、
Gちゃんが這いだし、私が手袋を拾った。
おはなし、お絵かきしてみる?「する!」
お母さんに手袋の絵を描かせて、その上にクレヨンをどんどん載せている。たくさんだね。
その内にクレーン車遊びになって、畳にクレヨンがついたと、恐縮するお母さん。
今日のおやつは、紫芋のスティック。(いもけんぴ)
気に入ったらしく、どんどんほしいようだ。
Would you like some more? にっこりうなづき、Thank you 。
お母さんとおはなししていると、私のお皿から自分のお皿に自分でさっと。
あら、Gちゃん、おひげがついているよ。おやまあ、紫いもで、口がまっくろ。
ティムにビーフジャーキーをあげて、今日もゴキゲンで帰って行った。See you!
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ひと雨毎に春の気配?三寒四温というけど、確実に春はやってきている。
こうしょっちゅう、雨が降るんじゃ、庭が乾かず、ティムの足はいつもどろどろ。
猫の額ほどの庭だが、犬走りとはよく言ったもので、ティムが行ったり来たりするくらいのスペースはある。
おまけにその狭いスペースを全速力で走るので、雑草などは生えない。
芝生?日当たり良くないもん。
以前は何種類かの蔦がはびこっていたけれど、ティムが走り回り、かみ切ったり、じゃれたりするので、
地面の蔦はみな後退して壁のみを覆うようになっている。
リビングの前のデッキはティムのおざしき。
雨がかからないよう、ビニールシートでひさしをつくってやってある。
十分とは言えず、シートが及ばないところは雨じゃあじゃあで、地面はどろどろ。
そして、なかなか地面は乾かない。雨が降っていなくても、ティムの足はどろどろ。
ティムが、そのどろどろの足で、デッキにのってくるので、デッキがどろどろ。
分厚く泥がこびりついている。
そのどろどろの足で、サッシを猛アタックするので(姿焼きと呼んでいる)ガラスがどろどろ。
雨の日は、廊下に古シーツなどをしいて、夜ティムを家の中にいれるが、
晴れの日には思い浮かばないらしい息子たちのおかげで、廊下もどろどろ。
玄関を入ってすぐ、階段下のティムの部屋で、ティムが寝ている。
すきまから鼻面をだし、「一部窓口営業」してくれると、とても癒される。
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キディさんの「みにくいあひるのこ」 部屋に入ってすぐ、絵を描き始めた。
今まではあまりこういう展開ができなかったのだが、ふむふむ。Rくんも描いているよ。
まだ小さいSakちゃんは、もう少しゆっくりおはなしするといいのかな。
Moeちゃん、Sakちゃんの姉妹はこの間のNRリサイタルの絵を描いてきてくれたから。
先週お休みのRくん、Moeちゃん、Sakちゃんのために、もう一度絵本を見ながらおはなしする。
じゃあ、やってみようか、ということで今日やりたい役を聞いてみると、Rくんがお母さんをやりたいって?
Moeちゃん、Shiちゃんがきょうだいあひる、
Kaeちゃん、Kei、Sakちゃんがみにくいあひるのこをやりたいという。
並んでタイトルを言うとすぐ、あの転がすような音楽、そこでもうきょうだいあひるが生まれて、
ナレーションが始まったときにはもう、きょうだいあひるたちはそこらを歩き回っていた。
確かに!!そんな感じの音楽だものね。
後で中高生クラスに話すと、みんな感心! 小さい子たちって、すごい。
あひるのWaddle, waddle・・・・というテーマが音楽に確かに入っている。
さて、今日の3羽のみにくいあひるのこ。
いじめられるところでSakちゃんが本当にいじめられていると思って泣き出してしまった。
Kaeちゃんは、向こうっ気が強くて、言い返したり、にらんだり、やり返したりしている。
言葉遣いもすごくて、全然かわいそうじゃない。
ああ、こんな雰囲気じゃ、みにくいあひるのこの哀しさがぜんぜんだ~・・・・
KeiとMoeちゃんが笑っている。Shioちゃんが、これ、長いね~といいだした・・・・
だって、飛ぶところまでやりたいじゃん? と、なんとか最後までいきつき、
みんな、「子ども」になって、手をたたいて飛び回って喜び合い、もういいねと
テーブルクロスをラストの音楽に合わせて美しくひろげ、おやつタイムに。
ゴキゲンで終われた。
Yzちゃんが聞き込み表を作ってくれたからね、みんな、聞いてね。
Keiは、実は本命の一人。去年の発表では、仕立屋が巨人に向かって投げる大きめの石だった。
あの石は、圧巻だった。幼児だけど身体のがっちりしたKeiが飛んでくる。どすーんとおちて仁王立ち。
い、いたそ~。客席からどっと笑いが起こったものね。
Keiの成長がまぶしい。今年のNRでも長いのにつぎつぎ挑戦して、ライブラリーもよく聴いていて、
小さいながらラボ暦の長さを物語るようになっている。
今回、アイデアとしては、みにくいあひるのこは、だんだん大きくなる。
つまりキディさんから中学生まで成長するのだ。
中高大生の計画では、生まれてくるところはRくん。でも小さなRくんがいじめられたらかわいそう。
ということで、バトンタッチ。次は年長、たくましくなったKeiにやらせようというのだ。
それから、小3のYo・・・こうなると小学生クラスから移動したばかりのYzが、「私がめんどりやる!」
そうして最後の、大人になった場面では、中1のSh。昨夏、国際交流に参加し、背も高くなった。
大きい子のアクロバティックなダイナミックなラストシーンにしてほしいなあ。
知ってる?男ばかりの白鳥のみずうみのバレエがあるの・・・。すごいんだよ~。
そのスターの伝記の映画もあるの、知ってる?
イギリスの炭坑の男の子でね、お父さんは初め、ボクシングをやらせていて、ダンスなんか理解できなかった。
それが本当に好きなのはダンス!と自分の世界を極めていく・・・・そしてついに、ロンドンの大劇場で主役。
年をとったお父さんが見に来てくれるんだよね・・・・(なんだか「みにくいあひるのこ」そのもの)
さて、中高生クラスでは、
全部のストーリーを6つの場面にわけ、それぞれナレーションの責任者となる中高大生を決めた。
あとは、小学生やキディさんがどんなにナレーションに挑もうとも、彼らががっちり支えるという(予定)
あひるのこ以外の役でも、中高生たちの思惑がある。小学生たちがうまく乗ってくれるといいんだけど。
力をつけてきた元気な女の子たちをどうする?
英語のナレーションの子どもの声がすごくいい。あの雰囲気をだしたいよね。
さてさて・・・・うまくいくかどうか・・・。
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おなかがオレンジで、黒い羽に白い模様、頭がグレー・・・・そんな鳥がくる。こんな寒い日に。
その特徴だけでジョウビタキとわかる。セキレイも歩いている。メジロもくる。
この間は鴨が夜の用水を泳いでいた。ちょうどラボの帰りで、車に乗っていた子たちが大喜び。
ちょっと前には青サギがしゃがみ込んでて、実はゴミ袋が落ちているのかと思ったら飛ぶんだもの。
野鳥はとてもきれいだ。こんな美しくて、それぞれの個性があるのに、
どうして(みにくいあひるのこの)あひるやおばあさんは間違うのだろう。
今日はとても寒かった。雪が降り、今夜は積もるだろうと言われている。
寒い日に、ジョウビタキの声がしずかに響く、いかにも冬だなあ。
粉雪が舞う窓を眺めていたら、あらら、コープとうきょうのトラックが峠を登っていく・・・・
うちより先に山の上の住宅地へ行くのかな・・・・うわ!置いて行かれた。山と積んである。
注文する量が多くて空き箱がたくさんになるので、いつも直接受け取るようにしているのだが、
今日はアナウンスが聞こえなかったな。
お兄さんも、雪が積もる前にさっさと配達したかったんだろう。
置いて行かれた発泡スチロールの箱を、その家の猫が爪研ぎする。
うちで引き取っておくか、ほとんどがうちの荷物。
今日は3月3日で、おひなさまなので、白身のお刺身にお吸い物に・・・・と思っていたが撤回。
何でも放り込み鍋に変更。ステンレスの大鍋にどんどん放り込む。
キムチ、豚肉、キノコ類を炒めて、水を足し、白菜、肉団子、豆腐、にんじん、納豆・・・・
真っ赤な鍋に、仕上げはタップリの大根おろし(辛さが緩和される)
ものすごくたくさんの量、のつもりだった。明日の分もあるかと思うくらい、だったのに。
みんな、うちのあひるどものおなかに収まった。(美味しいフォアグラとれるかも)
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4月の地区発表会で、「みにくいあひるのこ」
このグリム・アンデルセンのシリーズは、ことばが豊富で質が高く、必ず出会わせたい言葉の宝庫。
また「みにくいあひるのこ」と「ヘンゼルとグレーテル」は、英語の語りも子どもの声で、
ああ、同年代の子どもが読むと、こんなふうになるんだ・・・・と、聞くのも心地いい。
早口で澄んだ声のナレーションがとても素晴らしいと思う。
子どもたちにもこれとそっくりにやりたいと思って欲しい。
「みにくいあひるのこ」は、導入を慎重にしたいと思い、今まで軽々には取り上げてこなかった。
短絡的にいじめの話になったり、深く入り込めないでしまう。
私は、白鳥の群を抜く美しさにたどり着きたいと思う。
社会の底辺から、息をのむほど純白な気高い存在へ。
その美しさへの観念がないと、ただのお話たどりになってしまう。
今回、まず、ラボライブラリーの絵本を見ながら、いろいろ話し合うことにする。
この絵がまた、素晴らしいと思うから。
今の時点では、ストーリーとかけ離れていてもかまわないことにする。絵から感じることに集中する。
説明的な絵でないからできること。おもしろいよ。
「暖かい昼間」「水に映った月や星やお日様がいっぱい」
「温めたから、たまごがかえった」
「池が隠されている」「色がいっぱいあるってこと」
「前のページと同じなのに、色が暗いのは、いじめられたから」
「雁が死んで、血がいっぱい出た」
「おばあさんが(めがねをかけているのは)目が悪いから。だから見にくいあひるのこ。
だから、オス家鴨なのに間違えた」と言ったのは、年少のSiちゃん。
これには、中高生たちが参っていたね。
「家畜小屋とか家とか人間に関係するときはテーブルクロスみたいな模様がでてる。湖にはない。」
今日の幼児クラスは、雪の影響もあり、親子で疲れて、お休みが多かったが、
来ている子だけでなんだか深いところに近づいた気がする。絵がぐっと近づいたね。
副読本として、Farm Animalや、Animal on the farm、Old McDnald などをやり、
家畜って何?
飼っていると役に立つ動物?どんなのがいる?何をしてくれる?
めんどりは卵を産んだり、牛や山羊が乳をだしたり、羊は毛をくれたり・・・
雄鳥は?朝起こしてくれる・・・・馬は乗せてくれたり、荷物を運んでくれる、
そんな話し合いになった。
(お母さんの誕生日を今度読もう。お母さんの誕生日も農家の庭から飛び出していく)
じゃあ、猫はどう?猫は何の役に立つの? Siちゃんは、知ってると思うよ。
「ネズミを捕る!」
(Siちゃん、NRリサイタルで「おイスの下の子ネズミを殺してやったよ」と言ってしまった)
すかさずPussy catの大合唱。
白鳥は、人間が飼っていない。
遠くに飛んでいたり、泳いでいたりするのを見るかも知れないけど、
だれも雛や卵をみたことがないんだ。家畜家禽じゃないから。知らない。
自分の知らないことは、存在を認めないし、そんな自分を反省もしない。
そんな大衆から離れて、アンデルセンの芸術家たらんとする必死の叫び。
大衆に受け入れられない孤独と、大衆とは違う存在でいたいという矛盾。
どこまで迫れるのかなあ。
小学生クラスでは、危惧したとおり、言葉や暴力の押収になり、ああ・・・・そこも通るか。
自分の中の崇高さを大事にして欲しい。
高校受験が終わって戻ってきたSoちゃん、ずっと来ていたKenちゃんも進学先が決まり、
小6のYzちゃんも今日から中高大生クラスへ。
期待したい。
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