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進化していた、A Pinch of Salt |
10月12日 (月) |
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ーーー昔々、王様のいらっしゃる国が大はやりだったころ・・・・
この国にも王様やお姫様、隣の国にも王様や王子様がいらして、
お仕えする下々の者たちは大忙し・・・そんなころの物語です。
あるところに、King Lyreという名前の王様がいました。
王様には3人のお姫様がいました。
King Lyreは、お姫様たちが自分をどれくらい大事に思っているか、気が気ではありませんでした。
もし、あなたのお父さんが、「お父さんのことをどれくらい愛しているか、言いなさい」
と言ったら、あなたはなんと答えますか?
(What a silly question! なんちゅうばかげた質問じゃ)
Silly? Am I silly, You mean? なんじゃと?余がばかじゃというのか!
しーっ!
上のお姉さんたちは、いっぱいいっぱい、お世辞を言ったのですが、
King Lyreの末娘コーディリアは、こう答えました。
I love you・・・・as fresh meat loves salt.
「肉が塩を求めるように、お父様を愛しています」と。
肉? 塩? King Lyreは、この答えが気に入らず、すっかり怒ってしまいました。
城を追い出されてしまったコーディリアは、一人で生きていかねばなりません。
Pat Flatcapと名をかえ、なんとか、とある城の台所でやとってもらえることになりました。
そこには・・・・人はいいけれど、ちょっと怠け者のLettyと、
こわいこわいMrs. Sourdoughがいたのです。
ミセス・サワドゥーは、「おしおき」パニッシュメントが大好き。
今日はどんな「おしおき」をしてやろうかしらねえ!?
パニッシュメント!パニッシュメント!パニッシュメント!
ところで、ここの王子様は、とってもロマンチックな方で、
ソーセージロールとマッフィンが大のお気に入りなんです。
さあ、昔話のはじまりはじまり。
A Pinch of Salt ひとつまみの塩って、一体どんな意味なんでしょう。ーーーー
ホワイトホースシアターの A Pinch of Salt は、8月に来日して、北野、つくば、町田、
そしてオリンピックセンターなどをへて、全国へたびだっていったものが、
昨日の羽村に帰ってきたのだが、送り出したときから「進化」していて、なんだか、わくわくした。
ラボの公演のお世話をする関係から、まず初めに下見をして、
これは、2年前のとは違って、ただ見ていておもしろいというより、
内容をわかるおもしろさを要求されていると感じた。
ラボっ子たちは、一般の人よりテーマ活動などで慣れており、
わからないことでも全体から把握する力があるので、
言葉の意味がわかるかどうかだけに振り回されることは少ないかもしれないが、どうだろう。
ラボの初日、つくば公演の日は、実際に見ていないが、
(私たちはピーター・グリフィス氏のワークショップを行っていたので)
つくばの主催者Nテューターから詳細な報告をもらっていて、
劇の推移と観客・こどもたちの様子を聞き、ピーターたちと話し合い、過不足点、
よりよくするためには、準備する側としてはどんなことをしたらいいかを練り直しつつ、
オリンピックセンターの公演にあたった。
オリンピックセンターでは、あえて、あらすじを紹介するという挙に出た。
ぶっつけで、初めて体験するわくわく感を持ってもらいたいのはやまやまだったが、
言葉がわかる手がかりがあれば、もっとおもしろいだろう、と。
準備があるという心持ちがあれば、もっと落ち着いて自分の理解力を引き出すことができる。
(事前活動をやってきたという意識が国際交流の力を発揮するのに繋がるのと同じだね)
この日は、比較的遠隔地から来ている人が多かったので、平均年齢も少し上がり、
わかるおもしろさを満喫しているらしいようすもあった。
全国へ、この様子を配信して、各地で工夫がこらされたようだ。
そして、WHTの方でも、進化していた。
8月の公演でも、動作や表現力がおもしろくて理解を助けていたが、
羽村に帰ってきたのを見たら、さらに工夫が。
ミシェルとカイアスの身長差をもっと利用して、くすっ!から、げらげら笑える表現まで、いろいろな笑いで、会場がどよめいている。
がらがらどんを発表する関係で、ラボっ子たちは最前列に一列に座っていたのだが、
その子たちが、幼児もにこにこ、くすくす、げらげら。
この言葉のやりとりはわかるのかなあ、というところでは、身を乗り出し、
俳優たちから客席に問う場面では、「ちがうちがう!」とか、大仰な"手話”で答えている。
(こんなふうにやれるんだ~)
レティ役が、リボンをつけて恋人に会いに行くところでは、リボンが口紅にかわっていて、
やり過ぎの口紅に、他の登場人物の反応も「ぎょっ!」 会場も共感して大笑い。
そのレティから「恋人」として連れて行かれてしまったラボっ子は、
始めにやにやしているように見えたが、そのうちこらえきれずに泣き出してしまい、
その表情の移り変わる様をみて、
ああ、ホームステイの子たちの感情もこんなにいっぱいいっぱいなんだろうなーと思った。
カイアスのキング・リアや、ミセス・サワードウは、本当に滑稽で、表情、動作の細部にまで
ますますその滑稽さに磨きがかかっていた。
ただ、私(と、たぶん長男)は、一番お気に入りだったミセス・サワードウのセリフ、
「またパーティだって!? またソーセージロール百個!マッフィン百個!
いったい人をなんだと思ってるの!!」
それまで強面だったミセス・サワードウが、感情を爆発させるのだが、
他にたくさん笑える表現をいれたことで、少し薄まってしまったような気がした。
ラボ力とも言える、その力は、一朝一夕に身に付くものではない。
去年の今頃、Yzに今のような力はなかった。
けれど、長い間育ててきた胎内の力が、今の力を生み出したのだ。
その大きな登り坂曲線を描いたのが、国際交流に向かう力とホームステイだ。
そして、慎重な下り道を、ご両親が見守ってくださり、彼女の自信を引き出し、
次に繋がる力を生み出している。
中2のSh、高1のSoaは、かつての国際交流で頂点に達した力を、今年もう一度振り返り、
自分の力にして発揮する夏の国内交流体験を持つことができた。
高大生が、テーマ活動の声も大きく、はっきりと会を主催する力があるように見えるのは、
そういうことを繰り返してきたからだ。
まだまだ、彼らにも、登るべき山がたくさんあるけどね。
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