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If only we poor mortals could escape the hand of the god Cronos. |
10月23日 (木) |
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「あはれ一切の衆生、神クロノスの手を逃れること能わず」
この場合のクロノスは、時間を神格化したクロノスΧρoνοc で、
ゼウスの父神クロノス Κρoνοc とは別の神。
限りあるいのちを持つものは、老いから逃れられない、という意味であろうと思う。
同時に、世の中の無常観をも表していると思う。
そう、「無常観」 これを英語で表すには、どういったらいいのだろう?
無常を辞書でひくと、mutability とあり、the sence of mutability?なんじゃこりゃ。
「移り気な感覚」となってしまい、元の意味とはほど遠い。
しかし、このクロノスの一節を唱えれば、たちどころに心情が伝わる。
そこから連想して、盛者必衰も、一切の衆生・・・・能わずだろう。
What goes up must come down というのも、直接的だが、頷ける。
物語のことばには、深い心情が横たわっているので、直訳でない意味を伝えることができる。
日本語の似た心情、英語の同様のシチュエーションで、物語を連想して出てくることばが、
いかにもぴったりと言いたいことを言い表すことができ、
期待以上の効果を持って相手に伝えることができる。
また、そうしたいときは、ことばを選ぶ。
「青草で編んだ・・・・」
旅の準備も整わず、追放されたスサノオの哀しさを表すことば。
史実とは別に、若者の成長途上の苦しみ、迷い、寂しさを思う。
こんな時に、川を流れてきた箸。一体どんな気持ちがしたことだろう。
今、昔より切なく感じるのは、息子がいるから。
One closed door leads the other that is open!
頑張れと言いたいとき。
Daughter, what's the matter?
老人と違って若さあふれる(はずの)おまえが、一体どうしたんだい?
本当に心配しているんだよ・・・
ピーターやフックや、シェイクスピア、トム、ジョー、ハック、幸福の王子やつばめ、
たくさんの物語が、私を支えてくれている。
息子たちも、ラボっ子たちも、
物語とことばに、支えられているはずだ。
(そういう活動をしているか、自問自答する)
物語、ことばに出会う活動をしなければね・・・・
クロノスから逃れられないならば、せめて醜悪でない老いでありたい。
それが簡単じゃないから、永遠のテーマなんだろう。
時間神クロノスとギリシャ神話のクロノスとは、よく混同されるらしい。
だって、老いを侮れば、自分もまた侮られる運命だから。
先日、電車の中で、品のいい年輩の婦人がいて、なりゆきから席を譲った。
その人は私を「おくさま」と呼んだ。
103歳で亡くなられた飯田深雪先生を思い出した。
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