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「かわいい」と思えばいい。「かわいい」といってくれればいい。これ「なにのため」とか、「何にするの」とか言いたくない。
私は今こそ暇があるといえば、ある。忙しいというのは義務とか、責任とかで、やらねばならぬことがありすぎるときだろう。でもそのように忙しいときから、ゆとり、余裕、という言葉を大切に、そのときどきに余裕を持って過ごしてきた。その余裕、ゆとりが今、私を忙しく支配しているようだ。
布、糸、何かになるかもと、捨てないでとっておいた廃物に、私のひらめきが走り、何かをイメージできると、どんどん作りたくなる。一週間ほどで、この刺繍のぬいぐるみを作った。手が込んでいれば、それだけ見ていてもうれしい。「かわいい」とおもうことは体を元気にもする。
また次の仕事に精がでる。
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「春近し」 30号 1997
今年は、なんだかいつまでも寒い。
春間近の漁港。3月。新潟県佐渡のホテルから。
まだ真っ白の佐渡連山。
「造船所」 30号 1996
松島から船に乗って塩釜へ。
一度目に訪れてこの絵を描く。
二度目に同じところを訪れて、今度は対岸を歩いた。この絵を懐かしく確認するかのように。
三度目、行きたいと思っている。ここはどうなっているだろうか。
「みずばしょう」 サムホール 2006
5月の連休の頃、岐阜から高山へ行く途中、ひるがの高原にみずばしょうの群生地がある。
みごとな群生の状態を30号にあらわそうと思ったが、やはり少々退屈なように思った。
サムホールにやさしく、かわいくおさめた。
「ザゼンソウ」 サムホール 2007
みずばしょうと同じ頃、ザゼンソウをみつける。多分、枯れ草交じりの湿地帯、余り綺麗でないところに、ぽつんと咲く。「あ、ザゼンソウ」と見つけた喜びがある。
どうしても絵にしたい。地味な色の座禅僧に因んだ名前の花。みずばしょうの仲間に入れて、綺麗に仕上げた。
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「ひなまつり」という言葉の響きは、私は、温かい、明るい幸せなものを感じる。年々、いろんな飾り方をして、3日にはなんとなくかわいらしくて、春を感じるご馳走を作って喜んできたように思う。
最近のひな祭りは、また面白くなってきた。一口に言って、「ラボルームにラボっ子100人」と集っていたのが、「そのラボルームに人形100個」といえようか。 元ラボルームに、人形を飾るようになって数年、毎年楽しみにして見に来てくださるようになってきた。
新しく作った木目込み人形、古布で作った創作人形、それに、毎年、何か小さいアイデア物を工夫してたくさん作り、プレゼントできるようにしている。
今年のうけているもの、みんなが「かわいい!」とよろこぶものは、「蛤の中に作ったちいさなおひなさま」だ。・・・頭は「ふうせんかづら」の種。9月ごろ薄緑色のほおずきのような袋を風に揺らせている。その中に、小さい種があり、その種にはちょうど「富士額」といえるような模様がついている。その薄緑色がだんだん乾くと、茶色になって、黒くなってくる。この種がかわいくて、私は毎年なにかにしたくなる。
ラボルームは、いつまでも人が集るいい場所だ。・・・笑い声。おしゃべり。感嘆!。・・・すべて健康と幸せの源。
かいのおひなさま
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神社に行くと「狛犬」がいる。日本で見ていたときはそれほど気にも留めなかったが、中国を旅行したとき、それらが非常に主張していて、改めて取り上げてみたくなった。神社などは勿論、酒店、飯店などの前にも大きなのを備えている。私が興味をもった中国の狛犬と沖縄のシーサーの中からいくつかを絵にしてみた。
「守護神―Ⅰ」 4号 2002
沖縄。石垣島の八重山民俗館にたっているシーサー。色の感覚がいいと思った。
「守護神―Ⅱ」 4号 2002
沖縄民族村にたっていた一対のシーサー。バックは力強さを表した。
「守護神―Ⅲ」 4号 2002
沖縄民族村の入り口の両側を守って立っていた。私の背の高さぐらいあって、間延びした感じ。ガジュマルの木をバックにして描いてみた。
「守護神―Ⅳ」 4号 2002
中国。有名な碑林の中庭にいた一対。非常にたくさん、いろいろな形のがいて興味深かった。
「守護神―Ⅴ」 4号 2002
碑林の社に登る階段の下に、堂々と立っていた一対。普通、雄と雌。雄のほうは「玉」を、雌は「子」を足で押さえている。
絵としては、相手をシルエットにして、バックを雰囲気にあわせてそれぞれ楽しんだ。
「ガジュマルの木とシーサー」 30号 2002
石垣島。華やかな色の唐人の墓。海を見る方向に大きなガジュマルの木。その木は見る側によって象に見えたり、キリンに見えたりする。沖縄の印象を描くつもりで、シーサーを配置して構成する。砂の白さに海の青、ハイビスカス、ブーゲンビリア、沖縄の色・色・色・・・を感じながら。
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「今年のお正月はどうする?」 日頃、離れて暮す私たち家族は、毎年こんな話し合いから始まり、孫の年齢や、仕事の出張の日程などを考えて、その年に一番いい過ごし方をしてきた。
今年は、仕事の日程に余裕があり、我が家へ来ることになった。お客のメインは、4年生の男坊主である。彼は最近、囲碁にはまっていて、おじいちゃんと対局するのがひとつの目的でもあるし、ゲームも楽しく、のりのりになる年齢である。 何でも吸収のはやいこの年齢はもっとも大切なときであると私は思う。この正月の印象が大人になっても残っているといっても大げさではなかろう。
「おせち」
そこで、私の一番の役割は「お正月のご馳走」を考えることである。こんな機会に、おばあちゃんの手料理を十分に食べてもらおうと、かにすき、すきやき、手巻き寿司と好みのものを用意する一方、心をつくしたのは「おせち」である。今までも、毎年、手作りで、家族の口に合う御節を作ってきた私であるが、今年は特に伝来の縁起にこだわり、昔から言い伝えられてきたものを作り、食べて、話題性があるように、そして、お重に入れた中から、子供用にお皿に飾った「物語おせち」を作って楽しんだ。
「雲に乗った龍が、七福神の乗った宝船を従えてやってきた。門松を飾った家に入ると、黒豆、たつくり、かずのこ・・・・・とご馳走がどっさり、そして、金銀財宝が、ざっくざく!」
「1」 辰・・・だてまきをのばし、顔を細工してかまぼことのりの目玉をつけ、ごぼうの角と昆布のひげをつける。とろろ昆布の雲にのせる。
「2」 宝船・・・ちくわを半分に切り、輪を途中まで切って上の部分を上にそらせて爪楊枝で帆を作る。いくらを七粒のせる。
「3」 門松・・・ごぼうを竹に見立ててその三本の下のほうだけ牛肉を巻きつける。
「4」 松竹梅・・・かまぼこに松竹梅を描いたものもある。お重の中に は、梅にんじん(にんじんを梅に模る。)竹はたけのこ。松(高野豆腐を松型にくりぬき焼き火箸で松葉の感じを描く)
「5」 黒豆・・・まめ(豆)で暮せるようにと。かち(勝ち)栗をめんどうでもいれる。
「6」 たつくり・・・(田作り)胡桃をいれると若い人好み
「7」 数の子・・・子孫繁栄
「8」 錦玉子・・・黄身と白身に分かれていて色的にも引き立つので、欠かせないし、家族の好みのもの
「9」 金柑・・・庭になった金柑の甘露煮。土鍋で氷砂糖を入れて4時間くらい煮る。汁は咳の薬に。
「10」宝箱・・・かぶの種をまいたが、大きく育たない。ピンポン球くらい のかぶ。丁度いいや、と、抜いて上を少し切り、スプーンでくり抜いて甘酢漬けにし た。そこにイクラをいれる。
「11」金団・・・サツマイモのきんとん。少し固めに作り、小さい茶巾しぼりふうにして栗をのせる。8,9、10、11、は金銀財宝。
「12」利休えび・・・海老は腰が曲がるまで(曲がってはいけないけれど)長生きするようにという。是非、御節には入れたいが、どのように調理しようかと、 毎年悩む。今年はこれ。塩と酒をふったえびに小麦粉、卵をつけ、ゴマをまぶし、揚げる。
「13」昆布巻き・・・こんぶ(喜ぶ)
「14」つる・・・うずら卵と肉団子
「15」かめ・・・かぼちゃを六角形に切り、面を取りながら皮を残し、亀の甲に見立てる。鶴は千年亀は万年。おめでたい鶴亀は、毎年何かで工夫してつくり楽しんでいる。
これらを南天(難を転ずる)の葉を敷いた大皿に飾った。
100%の心遣い、どれだけ通じたものやら。でも大丈夫。これが、いつか必ず形を変えて生きてくるときがある。
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「ねことたつ」 6号 2000
辰年に「たつ」のぬいぐるみを作る。帯と振袖の模様のたつのイメージに合うところを利用して作る。まったくのオリジナル・リメイク品。
その前に立つ「ねこ」。イギリス、ダービーシャー州にホームステイしていたとき、ダービーシャーの陶器が有名なことを知り、この猫を手に入れる。
独特の色付け、デザイン。ロシア的雰囲気のする貴婦人ねこ。この絵にしたい二つを並べて構図をとった。12年前のこと。
ねこもたつも絵も健在。12年。時のたつのは早い。
「千客万来」 30号 2001
滋賀県、信楽焼きの狸たち。信楽の里に降り立つと、かわいい狸の軍団に囲まれる。奥のほうに大将がいた。ウルトラマンから七福神までを従え、熊の耳にブタの鼻を持つ。まさに千客万来。私は絵にして、家に持ち帰ることにした。
「たぬき」 サムホール 2007
選ばれた一匹のたぬき。
夫の作った木彫りの額におさまる絵として描いた。
下(階下)で木彫り 上で(二階)絵を描く ひとつがい 時は流れる ゆるゆるゆると
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「木骨の家」 6号 2000
ドイツ・ローテンブルグ。
市庁舎広場附近。このマルクト広場には何回来たことだろう。朝の雰囲気、夜の様子、それぞれに楽しい。ここを中心に町を歩き回った。
「カールテオドール橋」 6号 2001
ドイツ・ハイデルベルグの高台を下りてきて渡った橋。おとぎの国の入り口みたい。
「ノイシュバンシュタイン城」
ドイツ。ノイシュバンシュタイン。
このお城は二度訪れたが、二度ともお天気がよくなかった。坂道をかわいい馬車で登っていく。春と秋。気がつくと、二度とも同じアングルで立ち止まり、お城を眺める。その姿が目に焼きついた。
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ドイツ
「塔のある町・ローテンブルグ」 30号
ドイツの古都、ローテンブルグ。
今は、ロマンチック街道などと銘うって大勢の旅行客が訪れるところとなっている。
実は、この絵と同じ構図の絵を展覧会で見たことがあった。そのときは、綺麗な町だなあ、と思ってみていた。その後ドイツに旅行して、ローテンブルグの町に入り、市庁舎広場からふと左を向くと、「あ、ここだ」と驚いたのだった。
昔の城壁を残す小さな町。歩くのが楽しい。おとぎの国のような楽しさ。昼も夜も歩いた・・・歩いた。いっぱい描きたいアングルがある。
なんと言っても、30号の絵は構図がいい。見たままが、構図として出来上がっている。
塔から遠ざかって描いたり、小さく描いたり、いろいろ描けるところだ。塔を潜り抜けて振り向くと、また違った雰囲気の絵が描けた。
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アメリカ
[晴れた日のサンフランシスコ] 6号 2000
夏、8月、サンフランシスコに一ヶ月ホームステイした。
サンフランシスコの都会は晴れた青い空が似合う。窓の多い四角い高いビルは、なかなか絵にはならない。
スクエア広場近くの街角。
赤い屋根に青い空は、私のサンフランシスコのイメージだ。
[船だまり] 8号 2000
サンフランシスコ・ベイの漁港、船だまり。
外国の漁船はやはり日本のとは形が違う。
船の奥に見える建物群は有名なフィッシャーズマンズワフだ。
えび、かにを食べさせる店がずらりと並んでいる。
このあたり一帯は、「ピア39」といって、大きな娯楽施設、すごいにぎやかなところだ。
[街角] 8号 1993
アメリカ・アナポリスの街角。暑い夏の日、ワシントンD.C.からの日帰り旅行をした。海軍のある町。
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イギリス・ダービーシャー州
[街並み] 10号 1992
ダービーシャーの町。散歩にいい静かな街並み。イギリス人はせかせかしない。 公園などでも、ゆっくりとベンチに坐っていることが多い。
町の一角にベンチや木などがあり、ほっとゆとりを感じる。
[表通り] 10号 1994
ホストの家は静かな通りにあったが、少し歩けば車の多い大通り。
[街角] サムホール 1992
ステイ中、ちょっとした街角を描く。
[イエムの町] 4号 1992
静かなイエムの村。 ナーサリーライム、リンガリンガロージズの発祥地。昔、チフスが流行し、村が全滅するほど。一人のテーラーが仕入れた服地に菌がついていたといい、そのテーラーの家、また教会にその当時の惨事の記録があった。
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