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「連獅子」 4号 2001
高山市、荘川では、毎年秋祭りに連獅子の舞が奉納される。近隣の三つの神社から集った30騎余りの獅子が連なって、広場いっぱいに集った村人や観光客の前で獅子舞を披露する。あたりの紅葉の景色と共に壮観な行事だ。
「高山の店先ーⅠ」 30号 1993
すこし古いが高山の店先を描いたシリーズ。
高山を描きたいとスニーカーをはいて、一人で歩き回った。
高山市、陣屋前といえば、高山祭りなどでテレビに映るところだ。そこをまっすぐ進むと大きな土産物屋がある。「大彦」さん。
「高山の店先ーⅡ」 30号
高山の観光と言えばかならず通るであろう町筋。上三之町の中ほど。店の前には、面白いものがいっぱいあった。大きなお面や下駄など。看板も面白い。道幅が狭くて。前の家の玄関ぎりぎりまでさがって構図をとった。
「高山の店先―Ⅲ」 30号
市街地を少し外れたところに面白い骨董品屋をみつけた。このような店にも、きっと、外国人が訪れるのだろう。看板には ANTIQUE SHOP と。
少し違ったイメージをうけるのだが。
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スペイン
「セゴビアの街角」 8号 1998
マドリッドから、どうしても行きたいと思っていたセゴビアへタクシーをとばす。高台から町を見る。
「古城」 サムホール 1998
美しいアルカサール。長い狭い螺旋階段をあえぎながら上った。その眺めは360度、すべて絵画。この城もディズニーランドのモデルとも言われる。
「崖上の古都」 20号 2000
スペイン、アンダルシアの旅。最後の夜は、アルコス・デ・ラ・フロンテーラ。断崖に立つ古都。そこのパラドールに泊まる。アンダルシアの広野を一望でき、その景色が夕日をうけて、刻々と変わる。
「アーチと塔」 4号 2002
アルコス・デ・ラ・フロンテーラのパラドールのテラスから、この塔のライトアップが美しい。塔の前の広場にあるアーチ。そのアーチを出ると展望台。アーチの中には塔、外の展望台からはアンダルシアの広野、忘れられぬ一夜であった。
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スペイン
ドンキホーテをテーマに村田英一氏といったスペインは、観光ツアーのコースとは違った経験が出来た。
「村の広場」 8号 1997
チンチョンの村の広場。村祭りには闘牛も行われ、ポールを立てたり、桟敷も出来るようになっていた。
「チンチョンの村」 10号 1997
高台から村全体の景色が眺められる。高台を下りて村中を歩く。静かな緩やかな坂道と家並みを楽しみながら。
「裏通り」 6号 2001
村中を歩いて広場へ行く途中。広場の塔が見える。
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ふしぎな結婚式
おばあさんが、たんすから振袖をだしてきました。
「私が着て、娘が着て、娘の友達が着て、こんどは孫娘が着るかな。いやいや、もう古い。柄のセンスも変わっている。思い切って何かに作り変えて、役に立てたいね。」
ひとり言を言いながら、柄を眺め考えています。
今までにもいろいろ作ってきました。着ることのなくなった羽織、着物、帯などのほとんどが絹や麻の天然素材で、肌にはとても気持ちがいいのです。おばあさんはそれらの古い布で作った服が大好きで、友達にも自慢して見せるのでした。でもこの振袖は服にするには柄も色も難しい。
おばあさんは思い切って振袖にはさみを入れました。
かわいい花柄のところ、綺麗なぼかし色のところ、など考えながらきり、巾着袋をいくつも作りました。ところが、はたとはさみが止まりました。
立派に羽を広げた鶴の柄、刺繍も手が込んでいます。この一羽の鶴を傷つけることは出来ません。おばあさんは考え込みました。
少し大きいけれど、一羽の鶴をていねいに切り取って、鶴の大きさに合わせた巾着型の袋を作りました。
かわいい袋は、友達がよろこんでもらっていきましたが、大きい袋は、「こんなのどうするのよ」「鶴の柄なんかよくないわ」と、笑うので、そのまま家においておくより仕方ありません。
ある夜、おばあさんは夢を見ました。結婚式の夢です。誰の結婚式かはわかりませんが、ただ花嫁さんの着物の柄に大きな鶴があることだけは、はっきりわかりました。
朝、おばあさんは鶴の袋が大きく膨らんでいるのに気がつきました。袋の中にはケーキとかわいい食器がはいっていました。
二、三日後、また結婚式の夢を見たのです。花嫁のウエディングドレスの周りには鶴の柄が見えました。朝起きると、巾着袋が丸く膨らんでいます。外国製の置時計やチョコレートがでてきました。
その後も度々、おばあさんは結婚式の夢を見ました。花嫁の着物には必ず鶴の柄があり、次の朝には巾着袋の中になにかがはいっているのです。おいしいお菓子や高価な装飾品、外国の珍しい品もありました。
不思議なことの起きる袋だこと。おばあさんは、袋を持ち上げて眺めました。鶴の羽が力強く、袋がおなかのように温かく感じました。
「おや、鶴の目が動いたかな。」
と、思いましたが、そんなはずありませんね、ししゅうの目ですもの、とおばさんは思い返すのでした。
ある日、おばあさん宛に結婚式の招待状がとどきました。送り主の名前はおばあさんには覚えがありません。巾着袋を見ると大きく膨らみ、まるで心臓の鼓動が聞こえるように袋は温かくふかふかしています。
何が起きるのか、ただ事ではない袋の様子におばあさんはびっくりし、もう袋ではなく鶴を必死に抱きしめました。
結婚式の当日、おばあさんは晴れ着に着替え、お祝いを包み、普通に出かけようとしました。すると急に空が何かに覆われたように暗くなり、庭に黒い塊が落ちてきました。大きな鶴が翼を広げ、背中におばあさんを乗せるというのです。
鶴はおばあさんを乗せると、大空に舞い上がりました。ずいぶん飛んで、おばあさんが降ろされたところは、鶴が幾羽もいる湿原の側の結婚式場でした。
白髪の男性がおばあさんの側にやって来ていいました。
「私は長年染物に携わり、反物をつくってまいりました。着物を大切にしてくださって、ありがとうございます。」
この言葉をうれしく聴いたおばあさんは鶴の袋をにぎりしめて目を覚ましました。ふりそでは袋になってよく働いてくれたなと、鶴を眺めていました。
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「スペイン」
ドンキホーテ回想 サムホール 1999
ドンキホーテをテーマにスペインを旅行する。
マドリッドではドンキホーテにサンチョパンサ、田舎娘まで従えた物語りそのままの像を見る。
ラマンチャ地方。コンセグラの風車を描く。2月と言えばまだ冷たい風。
確かに風車には風がいる。風車の回る風を感じながら、飛ばされそうなコートのすそやマフラーを手で押さえて歩く。
風車の絵にはやはりドンキホーテが欲しい。土産物屋の前にあったドンキホーテの像を持ってきた。
白い壁の家 サムホール 1999
ラマンチャの風景。この家が土産物屋。ドンキホーテ・グッズがたくさんあった。
この家の前にあったドンキホーテを風車と組み合わせたのだ。
風車のある町 サムホール 1999
カンポ・デ・クリプターナ。
民家の近くに風車群が残っている。昔は風車の中でも生活をしていた。その生活感を残した風車だった。今は観光のためでもある。
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「広場前」 4号 2003
イタリア・シエナ。カンポ広場。
シエナの町は、道がすべてこのカンポ(広場)に通じている。道に迷ったら、カンポといってここにもどればいい。
伝統行事、パリオ(裸馬競馬)が行われる広場だが、一部を切り取って描いたのでその感じがわからない。でもこの絵を見たとたん、「シエナ!」といった人がいて驚いた。
「ピノッキオ」 サムホール 2003
ピノッキオをテーマに村田英一氏といったイタリアは、フィレンツェを中心に周辺の町を旅行した。
コッローディ(町の名前)のピノッキオ公園を訪れる。
入り口にあったピノッキオのモニュメントをシルエットにして、お土産に買った木製のピノキオを配置した。
余談だが、ピノキオの物語の作者、コッローディは、幼年時代を過ごした町の名前を自分のペンネームにしたのだ。(本名はカルロ・ロレンツィーニ)
「月と太陽」 6号 2003
イタリア・ヴェネチア。
サンマルコ界隈をくまなく歩いて、店を楽しんでみて回る。ヴェネチアグラス、レース作品、などと並んで、さまざまのお面が並ぶ。形、ペインティングも実に楽しい。ロミオとジュリエットの仮面舞踏会を思い出す。
仮面をイメージして、サンマルコの塔をシルエットに、「月と太陽の語らい」とした。
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いちご畑からの出発
里子は本を読むことが大好き。そして物語に出てくるいろんな国にいってみたいな、あんなお城に住みたいな、などと夢を描いている少女です。
里子のおばあさんは農家です。広い畑を持っています。今は、イチゴの収穫期ですが、少し気弱になっています。腰が痛くて仕事がうまく出来ないからです。
「もう、農業はだめだわ。やめようかなあ。」
といいます。
里子はおばあさんに代わってかごを持って畑にやってきました。
赤いつやつやしたイチゴがいっぱいです。
一生懸命とりました。するとありの一群がきていました。
「あら、あなたたち、他人の畑で勝手に食べてるの。」
「はい。 だって甘くておいしいです。生きていかなくてはならないし。」
「そうね。いいわよ。たくさん食べなさい。その代わり、手伝ってちょうだいね。イチゴを採ってかごにいれるのよ。」
そうして一緒に働いていると、うさぎの親子がやってきました。
「大好きなイチゴ、少し食べさせてください。」
「いいわよ。食べたら手伝ってね。」
その日の収穫が終わって、明日もみんなで採ろうと約束して帰りました。
その夜、おばあさんはイチゴをより分け、形のよいものは市場に売り、残りでジャムを作りました。余りたくさん採れたので、おばあさんは隣のうちの夫婦に手伝ってもらいました。
次の日、里子は畑に行き
「みなさん、イチゴ狩りを始めますよ。」
と呼びかけました。昨日のありやうさぎのほかに、いたちや、アライグマ、アヒルにヤギ、いのししもきました。
里子はいいました。
「みなさん、よく来てくれました。私のいる間は、いっぱい食べていいですよ。でも夜は畑を荒らしたりしないでください。作物が成長できませんからね。では赤いイチゴを上手にとってかごに入れてください。」
みんなは、わいわいがやがや、食べて、とってかごに入れて、一生懸命働きました。収穫が終わると、おばあさんがびっくりするほどたくさんのイチゴがありました。
「もっと、人手が要るね。」
前のうちのおばあさんも、後ろの家のおかみさんも呼んできてジャムを作りました。
次に里子が畑に行くと、不思議です。イチゴ畑が広くなっている気がします。
さあ、イチゴ狩りの始まりです。どこからともなく、大勢がやってきて、楽しそうに手伝ってくれます。
ジャムつくりの仕事場もひろくし、働く人も増やさなければなりません。地域の人たちも仕事が出来て大喜びです。腰の痛かったおばあさんも、すっかり元気になりました。
里子がさらに驚いたのは、イチゴ畑に行くたびに畑が広くなり、そのかなたに里子が夢に描いていたようなお城が見えるのです。そしてイチゴ畑の続きには緑の畑が広がっています。トウモロコシ畑のようです。一体、誰が作っているのでしょう。その日もどっさり収穫して帰りました。
次に里子が畑に行くと、今度はお城ではなく、男の人がいました。里子は「あっ!この人だ。」と思いましたが、それが誰なのか、どこであった人なのか、思い出せません。ただ、懐かしい、前から知っている人、私の大切な人という感じしかしないのです。
「里ちゃん、ありがとう。よく働いてくれたね。もう、ここは大丈夫だよ。ぼくらの使命はもっと他にある。つぎにぼくたちの力を必要としている土地へ行って一緒に働こう。」
里子は、夢を見ているような気持ちになって家に帰りました。まるで王子様といっしょにお城へ帰るような気分でした。
里子はおばあさんを連れて、イチゴ畑を見に来ました。イチゴの時期はもう終わりです。
「よく働いてくれたね。みんなの力を借りることも必要だ。みんなのおかげで、私も元気になれたよ。町の人たちも喜んでいる。私も次の野菜をみんなと一緒につくっていくよ。里子も大きく成長した。おばあさんと一緒でなく、広い世界にはばたきなさい。」
里子の夢は大きくふくらみました。おばあさんに祝福されて、みんなに励まされて、広い世界で自分の力をためそう。人のためになる仕事をしよう。楽しい日々を信じて。
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イタリア
「ヴェネチア」 4号 1998
4号 2001
水の都、ヴェネチア。水上タクシー、ゴンドラ、どこの眺めも印象に残る。サンマルコ広場から海側を見て、対岸にサン・ジョルジョ・マッジョーレ島を見る。教会の塔が眺めを引き締める。足元には、ゴンドラが夜のお客を待っている。三度訪れたヴェネチアは魅力あるところ。描きたいところがいっぱいある。
「運河」 10号 2000
ゴンドラは旅行者を楽しませる。水上からの眺めは格別。サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の塔のアングルがどんどん変わる楽しさ。細い運河に入るとまた感じが変わる。古い建物。日常の移動、運搬の手段であるボートがほとんどの家にある。
「海岸通り」 20号 2004
ヴェネチアの街中も海岸もよく歩いた。サンマルコ広場近くのホテルへもどる途中、ちょっと趣を変えて描く。遠くにサンマルコの尖塔だけが見える。
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店先
外国を旅行していて楽しいのは、お店を見て歩くことだ。店先は、その国の文化を表す。
街を歩く。店先を楽しむ。店に入る。様々なものが、時代、生活、美意識、国民性など、豊かに語りかけてくれる。
外国の店先を集めてみた。
「店先」 30号 1999
トレドの街中。
通行人を楽しませる楽しい飾りつけ。様々なものがあるクラフトの店だ。
「皿」 10号 2000
店先に道路まで張り出して飾ってある。何に使うのだろうか。鮮やかな色、なんとなく手に入れたくなるような、伝統の絵柄。
「店先」 30号 2002
スペイン。ロンダ。
サラ、さら、皿。
楽しい店。皿は重ねない。店の奥までびっしり。所狭しと絵柄を見せて飾ってある。
「店先」 10号 1998
スペイン。セゴビア。
マドリッドから半日でセゴビアに行ってきた。アルカサールまでの道を急ぎながら、街並み、街角、店先に気を配る。
「かわいい店先」 3号 2002
イタリア。オルビエート。
ローマからトスカーナ地方、アッシジ、フィレンチェへの途中立ち寄った城塞都市。静かの町を歩く。
目に留めた、かわいい店先。
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「古都遠望―Ⅰ」 30号 1998
スペインの古都トレド。パラドールの展望台に立つ。「う~ン。古都の全景、トレドか~」。夕方、明るいうちにどうしてもここまで・・・と、途中を急いでここまで来た甲斐があった。ただ、ただ感激だった。古い歴史を静かにたたみ込む落ち着いた都、目の前に広がるのが、すでに色を凝らした大パノラマ、この100号にも、200号にも耐えうるテーマを、30号に収める。エネルギーを要した絵だ。
「古都遠望―Ⅱ」 30号 2003
ベルギーのブルージュ。大好きな都市。マルクト広場に近いホテルに滞在したので、何度この広場に来て品格ある鐘楼の姿を眺めたことか。6号の絵の「鐘楼」の47の鐘からなるカリヨンは、15分ごとに澄んだ音色を響かせる。
最上階まで、螺旋階段をのぼり、ブルージュの町を見る。その感動を30号、2枚の絵にする。
階段状の切妻屋根がかわいい。広場にはギルド(中世の同業者組合)の建物が多く、建物に飾りをつけて、職業を区別した。その名残が今も残る。
「古都遠望―Ⅲ」 30号 2004
「鐘楼」 6号 2004
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