沖縄の色 |
05月19日 (水) |
|
このところ天気がはっきりしなくて、やがて梅雨に入るようだ。沖縄はすでに梅雨に入っていて、当然、こちらより早く梅雨明けとなる。そうするとからりとした暑い夏がやってくる。
沖縄といえば「鮫どんとキジムナー」について書きたいところだけれど、私が沖縄へ行って、強く印象に残っているのは、「沖縄の色」である。
私が沖縄に旅行したのは2度。最初はそれこそキジムナーの背景を求めて、テューター仲間と春に。つぎは、ぜひ沖縄に行ってみたいという主人と一緒に夏に出かけた。
旅行に行くことは、私にとっては油絵を描く画材の収集でもある。沖縄に画題を求めて描いた絵は、首里城公園内の城壁が作る曲線と、いくつかの門、その建物がかさなって見えるアングルに魅せられて、絵にしたもの。それから、石垣島に多く見られるシーサーのさまざまな形や表情をたくさん集め幾枚かの絵を構成した。
さて、夏の沖縄、天気は上々、暑さも相当なものだった。その暑さの中、宮古島から始まって、来間、伊良部、下地、池間、石垣、由布、竹富島と、それぞれの島の特徴を楽しんだ。
島に着いた旅のはじめから、感激しっぱなしだったのは、色の美しさだった。
海。一口に青いといって片つけられない。真っ白い海岸線を作るよく乾いた砂浜。その白にやさしくかぶさる色は、さんご礁が作る明るいブルー、油絵の具のコンポーズブルーとでも言おうか。中ほどに白い波が立つところがある。その向こうは濃いブルー、コバルトブルーディープだ。海の表は、太陽の光を受けて、細かい波のしまを作る。それに感激して車で2,3分走れば、その色はまた微妙に変化し、次の感激に浸る。私は車の中から息を呑んで海のもてなしを見続けた。
朝焼け。朝日の昇る10分間は、刻々と海と空の色、あたりの様子が変わる。どちらが東かもわからぬほど、空一面が多彩な暖色に彩られる。雲はピンク、オレンジ、イエローなど、変幻に染まり、あたかも大円舞場で華麗に踊っているようだ。でもその踊りは短く、まもなく鮮やかな青空が現れ、雲は白さと厚みを増してくる。暑い沖縄の夏の空となる。
日中、訪れる先々でわれわれを迎えてくれた色は、ハイビスカスの赤、アリアケカズラの黄、ブーゲンビリアのピンク、そしてガジュマルの木の威厳に満ちた深い緑、などなどだった。
そして毎日夕日の沈む時刻にあわせ、その一刻一刻を楽しんだ。一日働いた雲たちが「お休み」と告げられたご褒美のように、やさしく彩られる。絵の具の名前は、思い浮かばない。この色は私には出せない。貴い物語の色である。一日の幸せに感謝して見つめる私たちの前に、黄金の光を放ち続ける太陽。そして明日への希望を乗せて、水平線が瞭然と残り、鷹揚にわれわれを包む。雲たちは残照に染まりながら、それぞれお気に入りの姿を見せてくれる。
私たち二人は、おもちゃで遊ぶ子供のように、カメラのシャッターを何回も押した。船をシルエットに入れたり、自分たちの姿を入れたりして。この色と、刻々と移りゆく様、その神秘的ともいえる自然の美しさは、絵でも写真でもなく、私の心のシャッターが捉えた、雄大なパノラマである。
|
|
|
さとみさん (2004年05月20日 17時03分)
ちゃこさんへ
沖縄へはまだ行った事がないのに、まるでちゃこさんの描写に引きこまれ、
360度パノラマで景色の中に身をおけたような気がしました。
本物の沖縄の海の色を見て、あのラボの『キジムナー』の絵本を見たら、また
感激ひとしおなんでしょうね。
ちゃこさんの沖縄の絵、また拝見したいです。デジカメで撮った作品を掲載し
いつかHPにギャラリーを増設していただけますよう…いつかお手伝いにうか
がいます^^
|
|
|
がのさん (2004年05月24日 21時07分)
ま~,ちゃこさん,きれいな文章を書かれるから,すっかりボーッとしてしま
いました。人が本当に,シンから感動したときにはことばはないと云われま
す。荘厳な夕照,神々しいその光を前にしたら,「ブラボー!」を叫ぶものは
いない,手をたたいて喝采をするようなものもいない。…そんな気分に酔わせ
てもらいました。(クースの味もこんなだったかな?)
わたしも沖縄にはつごう4度いきました。「鮫どんとキジムナー」制作のため
の取材と沖縄のことばでの現地吹込み,それに私的にキジムナーをたずねて山
原(やんばる)のひとり歩き。島へは一度も渡ったことがなく,ぜひ機会を得
たいものと願っています。
|
|
|
サンサンさん (2004年06月26日 12時44分)
お久しぶりです。
いろいろなことでバタバタと過ごしていた間に、ちゃこさんは、優雅な
北欧旅行などをなさっておいでだったのですね。
日記をず~っとここまで読ませていただきました。
どの日記にも書き込みたい気分ですが、今日はここで。。。
私が生まれたのは沖縄の羽地村、しかし、幼少期のほとんどを過ごした
のは石垣島でした。小1から中2まで。
ちゃこさんがおっしゃっている色は、私の心の色でもあります。
ちゃこさんの日記を読みながら、いろいろな景色が蘇ってきてきて、胸
がいっぱいになり、いつの間にか涙がほおをつたっているのに気が付き
ました。
もう、しばらく、何年も帰っていませんね、沖縄。
帰りたい。。。
そんな気持ちにかられました。
なにかあるとあのコバルト色の海、蒼い空、小さな島ではありますが、
ゆったりとしたたたずまい。。。などなどを思いだしています。
それが私にとってのの癒し。
大自然のなかでは、人の悩みなどと言う物は取るに足りないことのよう
に感じられたりします。
もう、いっぺんにいろんな事が思い出されてしまいました。
お写真、ぜひ、アップしていただきたいです。
よろしくお願いします。
|
|
|
ちゃこさん (2004年06月26日 14時15分)
サンサンさんへ
「私が生まれたのは沖縄の羽地村、しかし、幼少期のほとんどを過ごし
た
のは石垣島でした。小1から中2まで。」
なんとまあ、沖縄が故郷でいらっしゃるのですか。しかも、石垣。私の
30号の油絵、石垣の海と、ガジュマルの木、それにシーサーを構成して
描いたものがあります。先回の個展に出しましたが、私の好きな作品の
ひとつです。何とかそのうち、見ていただくことを考えたいと思いま
す。
|
|
Re:Re:Re:沖縄の色(05月19日)
|
返事を書く |
|
サンサンさん (2004年06月27日 09時17分)
ちゃこさん
私の30号の油絵、石垣の海と、ガジュマルの木、それにシーサーを構成
して描いたものがあります。先回の個展に出しましたが、私の好きな作
品のひとつです。何とかそのうち、見ていただくことを考えたいと思い
ます。
→石垣の海とガジュマルの油絵、見せていただけたら嬉しいのですが。
石垣島を離れてから、長いものですから。
でも、楽しい想い出は今もあざやかに蘇ってきます。
ちゃこさんの日記で、さらにあざやかに。。。
ありがとうございました。
|
|