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気楽なお付き合い |
08月10日 (水) |
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私の家の東側はまだ畑地が残っている。ほとんどが農地だったところに、家が建ち始め、私の家が建った頃は、50軒ほどだった町内会は今は120軒にもなっている。
ところどころに残る畑は、昔からの農家の方が土地を持ち続けて、作物を作っておられるのだが、「もう、こんなところで農業をやっていても税金のほうが高いよ。引き合わないよ」と言われる。
東の畑も、東、南、西と家に囲まれては、日照時間も短くなってしまった。
それでも、90歳を超えた「となりのおばちゃん」(昔からうちではこう呼んでいるから)は、「畑仕事が、好きだから」と、90度にまがった腰に、昔の籐の乳母車を押して、500メートルほど離れた家から元気にやってきて、上手に野菜を作っている。
20年くらい前からは、耳が遠くなり、最近では挨拶しても反応がなく、用があるときは、そばまで行って、肩をたたいて話しかけるようにしている。
そんな「おばちゃん」とは、暗黙の了解事があるというか、面白い、ありがたいお付き合いがある。
作ったお野菜は、農協へ持っていかれるのだが、なかなか野菜つくりも今はむつかしいようで、形、大きさなども大切で、「おばちゃん」の作業では、「くず」と言われるものも少なくないようだ。けれども、食べる側にしては味はかわらない。
「おばちゃん」はよく野菜をくれるが、だまって、知らぬ間に置いてあるのだ。
その場所は、決まっていて、畑からブロックを越えて私のうちに入り、普通は、私が居間からすぐ見えるところに置いていく。
ところが、少し控えめに、私が庭に出ないとわからないところにも、時々置いてある。
私には「おばちゃん」の心の声がきこえてくる。
「どうぞ、たべてくださいね」
「よかったら、たべてね」
さらに、形が悪かったり、傷があったりするものが
ブロックの上に置いてあることがある。
「いいところだけ食べてね」、
今年の夏はとっても面白いことになっていた。
畑にはかぼちゃが植えられた。
蔓が伸びることを予定して、2メートルくらい間をとって植えられたのだが、蔓は、元気にのびる、のびる。
うちの庭木の下にものびてきた。
私は「別に気にしなくていいよ」と、「おばちゃん」にいっていた。
8月はじめ、「おばちゃん」は、暑いし、疲れたのか、しばらく畑に来なかった。
そのうちに、うちの庭に伸びた蔓に大きなかぼちゃがごろごろついていた。
私は、落語を思い出した。
「うちの庭にできたから、うちのもの。」「いや、根っこは隣の畑だから」
いえいえ、そんな心配は少しもありません!
「おばちゃん」はたくさん、かぼちゃをくれました。
例のごとく。
いいかぼちゃは、居間のそば。
二級品は離れた位置。
傷物はブロックのわきに。
「おばちゃん」!そんなにたべられないよ!
「おばちゃん」にお礼を言うと「くずばっかりだから」と恐縮する。
いえいえ、私はとってもうれしいのです。
私は、いただくたびには、お礼を言わない。お礼もいいようだと思う。
普段は、もらいっぱなし。
ときに、余分なもの、いただきもの、お土産などのおいしいものがあった時、
「おばちゃん」の肩をたたいて、
「いつもありがとう。!」
ほうずき・ちりめん細工
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