80を過ぎた男は最近ひまさえあれば横になっている。
女はそんな男の体を気にして
「散歩にでも行ったら」 というが
男はあまり動きたくないらしい。
また横になっている
「疲れたの?」
「いや・・・疲れたというか・・・・・・」
「というか ? なに? 上手に表現してよ。
自分の体なんだから」
医者の前でいつもいい恰好をしてしまう男を
女はじれったく思いながら・・・・。
今日も元気がない。
「体がだるいの?」
「・・・う~ん・・だるいというか・・・
うん、少しだるいかな」
「少し?・・・私なんかすっごくだるい。でも掃除も洗濯も
しなくてはならないのよ。
あなたは少しだるいのではなくて、横にならなきゃ
いられないくらいだるくてつらいのでしょ。」
やっぱし、男は横になった。
朝からぐったりしすぎ。
おかしい、と思った女はちょっと額に手をのせた。
「熱があるんじゃない?」
「そうかなぁ~」
体温計は38.4度。…大変
病院へ急行。
内科医は男の膨れたお腹に丁寧に聴診器をあてた。
すぐに入院。 検査。 イレウス!
「あぁ、やっぱしそうだったのか。・・・
でも、きょう病院へ入ってよかった。」
女は、子供のように自分の体の具合を上手に話せない男に、イライラして十分に疲れた。
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