津村節子『紅梅』読了のあと
吉村昭の遺作小説集『死顔』が本棚にあったのを見つけ、読み終わった。
5編の小説や小説の材料が収録されている。
絶筆となった『死顔』は最後まで校正を重ねていて、まだ終わってないことを気にしていた作品。
次兄の死のことを書いている。
疲れるのでお見舞いを早く切り上げること。
亡くなった後、自分は弟であるがあえて駆けつけず、家族だけで別れを惜しむ時間ににしてあげたこと。
死者の顔を見るのは家族にまかせ自分は遠慮したこと。
これらのことは吉村昭自身の遺書にも反映されている。
いかなる延命処置をしないこと、家族だけでの別れ、遺体を焼いてから身内のみの家族葬、死後三日間公表しないこと、弔問、弔花は断り、電話も「取り込んでおりますので失礼します」と取り次の人に答えてもらうことと残った家族への気遣いにあふれている。
弔電、書簡にもいっさい返事を出さぬこと、
死顔を家族以外の第三者には見せぬことも明記されている。
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