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管啓次郎さんの『野生哲学』おすすめです |
06月08日 (水) |
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明治大学大学院教授で詩人、比較文学者でラボ・ライブラリー『太陽へとぶ矢』の制作にも携わってくださった管啓次郎さん(第一回ラボ国際交流参加の元ラボっ子)の最新刊『野生の哲学―アメリカ・インディアンに学ぶ』(講談社現代新書、マンガ家小池桂一氏とのコラボレーション)を読みました。
お薦めです。
「自分が暮らす土地についてよく知り、愛し、そこに生きる全ての生命に敬意を持って暮らすアメリカ・インディアン(ネイティブ・アメリカンと書かないのも筆者のこだわり)の生き方に学ぶこと」の意味を、透き通る風のような美しい文章で綴っています。
1989年、筆者がニュー・メキシコ大学の大学院生だったころから人類学者に学んだノートの蓄積や、2008年秋に漫画家の小池桂一氏とプエブロやナバホの土地をまわり、「土地の光につらぬかれ、風に吹き飛ばされる思いをした」記憶によって書かれた、詩的でスリリングな哲学の本です。
3月11日の東日本大震災と原発事故を受けて「千年後にヒトの社会が存続し、そのときヒトと自称しているわれわれが大地の美しさと生命に対する尊敬を保つためには、われわれは自然に対するばかげた戦いをやめ、手に負えない(そして確実にすべての生命を予測不可能なかたちで傷つける)巨大技術をみずから封印しなくてはならない」
そして、「そんな態度の転換のために、アメリカ・インディアンの伝統から学ぶべきことは、まだまだ無限にある。そしていわゆる「先進国」の中では、土地の聖性に対する感覚を最近まで比較的よく残していた日本は、『人類の自己収縮』という世界史的な課題のために、大きな貢献を果たす可能性をもっていると思う」と語りかけています。
先日書店で、やはり元ラボっ子の藻谷浩介氏の『デフレの正体』とこの管啓次郎氏の『野生哲学』が並んで平積みになっていて、なんだかうれしくなりました。
ドン・キハーラ
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