|
|
|
|
|
[一覧] << 前の日記 |
次の日記 >>
|
「加藤健一事務所『木の皿』下北沢本多劇場」 |
06月07日 (土) |
|
「加藤健一事務所『木の皿』下北沢本多劇場」
舞台は1953年のアメリカ ラジオがあり、冷蔵庫がある
(1ドル360円の頃、そば一杯が10円の頃だという)
アメリカの小さな町に住む78歳のロンは、若い頃は腕相撲が自慢で、酒やたばこを愛し、自由に生きてきた
しかしいまでは老いが重なり、視力も衰えている
いろいろと壊してしまうので、食事のときの皿は木の皿になっており誇りを傷つけられている
『まともな皿で食べさせてくれ』
『今花瓶を割ったばかりなのにそんなことおっしゃるんですか』
次男の家族と住んで来たが、次男の妻クララは老人の世話をすることに疲れ果てて来ている
『パイプを知らないか』
『タバコの火が心配です この間は火事になるところだったじゃありませんか』『吸い過ぎですよ』
『何年もダンスにもいってない』『私の生活を取り戻したい』と とうとう老人ホームに入ってほしいと言い出す
夫妻は1500キロはなれたシカゴに住む長男を電報で呼ぶ
また老人ホームの営業マンを契約のために呼ぶ
十数年訪ねてこず、父を次男任せにしてきた長男は、負い目があり心を痛めるが
自分の生活を守るのに手いっぱいで、ホーム一か月分の小切手を次男に預けることぐらいしかできない
『まだお前のこどもたちにあったことがない 一度会いたい』
『俺のうちは本当にに小さいんだ 一緒には住めない
それにシカゴは寒い 父さんには暮らせないよ』
『今度はいつくるんだ』『来年 かな』
『手紙を書いてくれ スーザンが読んでくれる』『書くよ』
『帰ったら俺のかわりに孫にキスしてやってくれ』『そうする』
『帰っちまった もう会えないだろう』『会えるわ』『いやもう会えない』
次男は老人ホームを見にいっていて、
『侘びしいところだ 芝生だって生えてない 本当はあんなところに入れたくない』と思っているが妻の訴えを聞かなければ、妻は家を出てゆくという
家庭崩壊の危機
『今までうまくいってたじゃないか もう少し我慢してくれ』
『いったいいつまで我慢しろっていうの?1年?2年?それとも残りの人生全て?』
ほかに2人いる弟は手紙を出しても葉書1枚戻ってこない
おじいちゃんが大好きな孫娘スーザン
チェッカーをしにくる古くからの友人
ホテルにひとりで暮らしていて夜警の仕事がある
離れて暮らす3人の息子からは
『会ったことのない他人である孫の写真で財布がいっぱいだ』
『誕生日祝いのプレゼントが時には送られてくる』
二人で農場を買おうと夢を語るが、お金はない
次男の家の下宿人はクララに魅力を感じている
クララはこの男に連れ出してもらってもいいとさえ思いはじめている
二人のやり取りを聞いてしまったスーザンが泣く
とうとうと老人ホームを説明し写真を見せる老人ホームの営業マン
老人と老人を取り巻く人々のひと事ではないドラマ
一緒に二人で暮らそうと行ってくれるスーザンの申し出を断り
『ちょっと待ってくれ 少し考えさせてくれ 俺の人生だ 俺に決めさせてくれ』
とうとう自ら老人フォームに入ることを決意するロン
『もうすぐ黒い穴の中に吸い込まれてゆく 俺は恐い』と友人の前では泣く
だが家族の前ではまるで戦いに出かけるかのように元気に行ってしまう
木の皿が残されている
スーザン『私これ貰っていい』
クララ 『そんなもの貰ってどうするの』
スーザン『いつか 母さんだって老いてゆくのよ』
|
|
|
<< 前の日記 |
次の日記 >>
|
|
|
|