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母子手帳 |
04月23日 (土) |
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「保護者の方が付き添わない場合は、所定の問診表の提出が必要です」 その問診表は、わざわざ保健センターまで取りに行かねばならない。 よって、私は都合をつけて息子に付き添うことにした。はしかの予防接種のことだ。 こういうとき、母子手帳が必要になる。
あまり出番がないのに、これは重要かつ思い出が詰まった一冊だ。
たんすの引き出しから探してもって行く。 高3になった息子と、近所の医院まで歩いた。ひさしぶりだ。 目の前の公園では、小学生が歓声をあげて元気に遊び、帰宅途中の中学生らは道の真ん中でたむろっている。 その中を堂々と抜けてゆく。 今となっては、近所でラボっ子仲間に声をかけられて愛想を言ったりするが、 以前は、母親と並んで歩くことすら絶対に考えられなかった。 家族で出かけるとき、目的の駅まで自分だけ別の車両にのって行くほど。 それほど「家族」と一緒にいるところをたとえば友人ら見られることを拒んだ。 それもある意味成長過程のひとつと、昔の自分を思い起こしてやり過ごした。 そんな時期をすぎて、今はしこりが取れたようにフツウな彼だ。
医院に着いてほどなくして、看護士さんがやってきた。 お母さんコレ、違うみたいです。 なんと娘のと間違えて持ってきてしまった。 ごめん、ここでまってて。 あほだ、ぼけだ、と言われるかもと思ったら、ただうなずいている息子。 全速力で取りに戻る途中、おっちょこちょいにもほどがある自分に笑いがこみあげる。 「これっていつまで使うの?」息子が聞く。 思えばこれが受けなさいといわれて受ける最後の予防接種? ずうっと母子手帳にはさんだままになっている「生命誕生」直後のエコー写真。 生後50日で全身麻酔で手術を受けた子が元気に育った。 「おかあさんも入ってください」と促され診察室へ。 大きくなった背中を眺めながら、親としての役目を、こうしてひとつひとつ終えていくのだな、とつくづく思った。
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