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ちゃこの童話(3) |
07月25日 (日) |
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高原のテラス
金色の光が窓を明るくしたので、私は目が覚めました。リキさんはまだ寝ています。
私は小屋のテラスに出ました。さわやかな高原の朝です。木々の高いところで、小鳥がさえずっています。近くの小川のせせらぎが涼しく聞こえます。何度来ても、気持ちよく、このテラスの椅子に坐ってすごす時間は、至福のときなのです。街の日常の我が家とは気温が、10℃は低いので、真夏でも快適に過ごせる場所なのです。
「あぁ、今日もいい天気だ。静かな朝だなぁ」
リキさんが起きてきました。
テラスの私の足元に大きなありが三匹のぼってきました。手すりの下を、とかげがするするっと走りました。少しはなれた木の枝がゆれました。リスが枝から枝へうつって、すぐにすがたが見えなくなりました。
いつまでもテラスでぼんやりしているわけにもいきません。朝食の用意をしなければ。・・・でも、
「やっぱり、テラスのほうがいいわねぇ」
と、言いながら、外に朝食を運んで、朝の風を感じながら、コーヒーをのみました。
下の道路から車がのぼってきました。うちの小屋の前を通りすぎ、もっと奥のほうへ上っていきました。そうです。今日は土曜日。別荘地の人口が増える日です。うちも同じようにチコちゃん一家が来る日です。
「今日、彼らはいつくるんだ」
「高速が順調ならば、お昼頃には来るでしょう」
日差しが強くなってきました。・・・来た来た。チコの車がのぼってきました。
「やっと着いた。・・・こんにちは」
「いらっしゃい。よくきたね。」
テラスの足音が急ににぎやかになりました。
昼はバーベキュー。そのあと、スイカわり。虫をとったり、花や葉っぱを押し花にしたり。
テラスの上は、十本の足が、サンダル、スリッパ、靴の音などを立てながら行ったり来たり、とんだり、ころんだり。やかましくて、楽しいこと。
一日がすぎて、電灯のついた小屋の中が話し声と笑いでいっぱいになったころ、テラスには月の光が、さまざまに木の葉で模様を作っています。真っ黒い木立の姿、濃紺の空には星がいっぱい。静かなテラスは、また明日の楽しさを待っていてくれるでしょう。
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