ドストエフスキーと古井由吉を読む月一回の読書会に参加している
ドストエフスキーと古井由吉をほぼ一回交代で読んでいる
ドストエフスキーと古井由吉は当然全然違うのだがそこが面白い読書会だ
今日はドストエフスキー『虐げられた人々』
『虐げられた人々』はドストエフスキーが
1849年に逮捕され死刑判決の後、特赦
シベリアへの流刑と軍務から1860年に帰ることができてすぐの作品
1861年に兄と作った雑誌創刊号から7号に連載された
大衆からは熱狂的に受け入れられたため雑誌は軌道に乗ったという
人物が通俗的、類型的などの指摘は当時からあった
私には初めて読む作品であったが、大変面白く
小笠原豊樹訳新潮文庫版680ページを一気に読んでしまった
推理小説のようにも読めるし、風俗小説としても読める
●黒澤明『赤ひげ』に出てくる女郎屋から救い出されるが
心を開けない少女二木てるみの役は
『虐げられた人々』の少女ネリーをほとんどそのまま持ってきている
黒澤明へのドストエフスキーの大きな影響を見ることができる
●以降の作品に出てくる登場人物の原型がもう出てきている
例えばアリョーシャは『白痴』のムイシュキン公爵
●ワルコフスキー公爵といういう悪者は
近年続発する 金銭への欲や恨みではなく
人を支配すること、人を不幸にすることそのものを楽しむ
恐ろしい犯罪者を描き出している
しかもそれを人に語らずにいられないと言う人非人である
●物語構成の面白さ
作家である語り手が篠前の一年にあった自分の経験を死の床で書いている
だんだん真相が解明されてゆく面白さ
人物関係がずれて重なっている
スミス老人の死ーーーースミスの娘家出ーーーーワルコフスキー公爵が13年前に捨てた
イフメーネフ老人ーーーナターシャ家出ーーーーアリョーシャの心変わり
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