東中野駅前ポレポレ中野に、ドキュメンタリー映画『台湾人生』を見に行く
酒井充子(あつこ)監督は30代後半の若い監督である
98年、初めて訪れた台湾で日本語世代の老人と出会い、映画製作を思い立ち
02年から7年かけドキュメンタリー映画を完成させた
日本統治下(1895~1945年)に青春期を送った「日本語世代」のお年寄り5人へのインタビューが
つなぎあわされ、まとめられている
インタビューの積み重ねの中で、
日本の統治から戦後の国民党独裁を経て現代に至る激動の人生をどのように生きてきたか
5人5様の人生から、台湾と日本の歴史、その中での台湾の人々の思いが浮かび上がってくる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本人として生きた青年期、懐かしさ
同窓会のはじまりに歌う校歌斉唱は当然日本語
敗戦の中で軍国少年としてして皇軍に志願したこと、
軍国少女としてまなじりを決していたこと
悔しかった差別 たとえば日本人として志願してきているのに軍曹からチャンコロ(中国人をさす差別語)と蔑まれたこと
成績はよかったのに優等賞は日本人に授けられたこと
お茶や生け花もちゃんと習っている、今の日本人の若い人より日本人よ
敗戦により日本人であった自分たちが日本から見捨てられたこと
国民党独裁政権下での弾圧、軍隊による戒厳令、投獄、
逃亡した叔父の居所を吐けと拷問を受けたこと
白色テロによる暗殺で弟を亡くしたこと
日本人の友達はたくさんいる
だが日本政府には戦争中の働きについて「ごくろうさまでした」と一言だけは言ってもらいたい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
青春時代と日本統治時代が重なっていることによる懐かしさもある
国民党独裁政権下の過酷な体験の記憶によって、日本統治時代の記憶がより美しくなっていることもある
それでも
台湾と日本、国家と国民、国家と言語、国家と生活、国家と教育について
様々のことを深く考えさせる優れたドキュメンタリーであった
|