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ケン・ローチ2006年 『麦の穂をゆらす風』2008/09/25の日記 |
09月25日 (木) |
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麦の穂をゆらす風
前に2度見ているが、アイルランドへ行ってきた後
ケーブルテレビのプログラムに見つけたので今日見直した
アイルランド1920年
イギリスからの独立戦争が始まる
過酷であった弾圧と激しい抵抗
イギリスとの停戦にこぎつける
条約締結をめぐる分裂、内戦を描いた
ケン・ローチの作品 2006年
ケン・ローチはイギリス人
イギリス人として、
イギリス政府のおこなった過酷な圧政を断罪している
それへのアイルランド人の武装闘争をやむにやまれぬものとして認めている
しかし反英闘争の中での、スパイの粛正
武装闘争を闘ったものどうしの中でおこった分裂、内戦を描く中で
武装闘争そのものがもたらした、更なる闘争の悲惨へと目を向け
どのような武装闘争であれ、落ち込んでゆく、軋轢を描く
ケン・ローチは闘争の内部の軋轢を、議論の展開を丁寧にたどっている
討論劇のように・・・
そこでは監督も観客も当事者として難しい判断を問われてゆく
そこで闘争する者たちが出会う課題は
アイルランドの問題でありながら
世界各国で闘ってきた者たちに普遍的な問題でもある
今も同じ問題が闘うものたちには、繰り返し発生するしている
ひりひりと胸の痛む映画だ
英国と闘争中の共和国政府は町で法廷を開き
裁判官は高利貸を断罪する「500%の利子は法外だ 今まで取った金を返すように」
高利貸「正当な契約だった 正当な利益を剥脱するのか」
武装闘争のリーダーは、「彼の金がなければ武器は買えない」と放免しようとする
法廷支持者「これは共和国の法廷で初めて下った判決だ 守ってほしい」
武装闘争のリーダー「この町の四隅を武器で守っている 武器がなければ法廷も守れないんだぞ」
理想と現実との対立
条約
北アイルランド6県は共和国に入れない、イギリスに残る
アイルランド共和国は自治領としてイギリス連邦に残り、国王に忠誠を誓う
自治政府を作る
条約賛成派
「共和軍の銃は3000しかない これ以上闘っても勝てない」
「これはいいチャンスだ」「条約は将来、変えてゆける」
「アイルランドはイギリスにとって小さな国だ
イギリスは第一次世界大戦で1700万人の死を見てきている 我々の死など気にしていない」
「イギリスの保守派がインドや南アフリカを今回のように手放すと思うか」
教会、地主、資本家も支持
総選挙の結果は条約賛成が多数となり、アイルランド共和国が発足した
条約反対派
「北アイルランド6県のアイルランド人ははどうなる」
「国王に忠誠を誓えるか」
「後ほんの少しで我々の共和国になる なぜここで妥協する
あと少し頑張ろう」
「これでは貧乏人には、なにも変わらない」
社会変革、社会主義革命への希望がなくなる
「教会はまたも地主や富裕層の味方なのか」
「総選挙は公正なものではなかった」
ここにも理想と現実の対立がある
武装組織の70%は条約反対派であったので内戦勃発時は優勢であった
共和国政府は残りの30%と左右を問わず、かき集めた兵士で対抗
イギリス軍から引き継いだ火力を使用して、およそ一年で勝利した
イギリス政府は内乱に手を焼き
「アイルランド人に鎮圧させた方がいい」
「そのために自治政府を作らせた方がいい」と考えたという証言もある
その後アイルランドはイギリス連邦からは離脱
第二次世界大戦にも加わらなかった
北アイルランド紛争は長く続き、今は休戦状態
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