浮世絵木版画摺り実演見学
三鷹市美術ギャラリーのプログラムで
浮世絵木版画摺り実演の会があったので三鷹文化センターへ
目白にあるアダチ版画研究所から摺り師の親方が来ている
http://www.adachi-hanga.com/process.htm#suri
今日摺るのは葛飾北斎の富岳三十六景『神奈川沖浪裏』である
摺り師が5枚の版木から8回の摺りで浮世絵木版画を完成するまでを
解説付きで見ることができた
今日は6枚だけなのでほぼ一時間ほどでできあがった
江戸の庶民が鑑賞したように刷り上がったものを実際に手に取って
その距離で鑑賞する
摺ったばかりだが乾いている
絵の具がバレンで強く和紙に摺り込まれたため
凹凸ができていることも手で触って確かめることができた
江戸の庶民はこの素晴らしい浮世絵木版画一枚を
当時の『かけそば一杯』の値段!!!で買って楽しんだという
気に入ったものをたくさん買えたわけだ
北斎の描いた原画(復刻したもの)
原画を摺ったものを何枚か摺って色を指定している
彫り師が彫った版木 (復刻したもの)山桜の木は堅いのでこの木に彫る
色を変える分の版木も彫る
顔料を水でとき、少し糊をまぜ、馬のしっぽで作ったブラシで色をのせる
「揉み込む」という
赤青黄の濃い薄い6色をまぜて色を調整している
白は和紙の色で出すので顔料は使わない
色の少なさにびっくり
しかも単位としては200枚を同じ色に刷り上げるので色は摺り師の分担である
色を指定するのは北斎だったであろうが・・・
藍とべろ藍(江戸時代にヨーロッパから輸入された明るい青)
和紙をのせてバレンで水平に強くこする
白川竹で作ったバレンも摺り師の親方が作ったもの
いいバレンは買うと10万円を超えるという
神奈川沖浪裏はぼかしが入っているので摺数が8回だが
多くは6回の摺りでできている
『赤富士』は7回摺り
和紙と木版を使って、熟練の技によって
芸術性高い作品がつくられたこと
しかも量産され庶民によって大量に消費されたこと
印象派への影響までも考えると
この貴重な技、文化を後世に残してゆきたいと切に願う
この研究所ではリプロダクトの浮世絵を販売もしている
浮世絵の大きさは一定しているので値段はどれも同じ一万円を超えるほど
退色していない色で作品を楽しめるのでお買得だ
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