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衣替え |
04月18日 (金) |
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「ころもがえ」と言う言葉は、好きな言葉だ。季節感があり、寒さから暖かさへ、暑さから涼しさへの、その時々のうれしさがある。私には、幼き日の消えぬ思い出としても、残る言葉だ。
今は、季節の変わり目も、不順が多く、だんだんはっきりしなくなってきているようだ。服の素材も、化学繊維が多く、新しいものが増え多様化してきた。それに、暖房、冷房の設備が整いすぎて、おしゃれや、流行を考えれば、好きなものを着て、すごすことも出来る。はっきりしているのは、制服の夏服、冬服の着替えだけかもしれない。
幼い頃、衣替えの時期、季節の変わり目には、母親が衣服を丁寧に入れ替えていた。特に夏に向かう季節には、衣類の虫がつかないように普段着ていない着物なども全部出して(虫干し)いた。私はその、部屋いっぱいに広がった服や着物の間を、飛び回って遊んだ。母や姉の着物、自分の七五三の着物やお正月くらいに着るような着物を見たり、触ったり、・・・樟脳の臭いも好きだった。
そんなときに、綺麗だなあ、とか、やわらかいなあと思いながら、縮緬、御召、綸子、一越。平絹、羽二重、銘仙、八端。紬、大島つむぎ、結城紬。黄八丈、繻子、緞子。夏物の絽、麻、上布、冬物のセル、サージ、モス、ネル、〔これらは虫がつきやすく、今は化学繊維がこれに取って代わっている〕という織物の名前や、市松、亀甲、絣、矢絣、青海波、輪ちがい、宝尽くし、辻が花、更紗、など紋様の名前、絞り、友禅、ろうけつ、など染物の名前を耳にしていて、こうして思い出すと、懐かしく出てくる。
今、人形を作りながら、平安のお姫様や殿の着物にそれらを思い出しながら、日本古来の織物や柄の文化の豊かさを考える。そして、もっとその頃の衣装を調べ知りたいと思っている。小袖とか、唐衣とか、時代劇を見ていても思うが、十二単衣のお姫様を作っていても、もっと調べなければと思っている。
衣替えにもどると、平安時代は、4月は薄衣袷、5月捻り重、6月、単衣がさね、8月1日から15日は捻りがさね、8月16日から9月8日は生織の衣、9月9日からは生織衣の綿入れ、10月から3月は練り絹の綿入れ、と細かく書いてある。〔この日にちは旧暦だろうが〕
江戸時代は4月1日、10月1日もって、春夏の衣をかえる日としていた。
とにかく、近頃は、暑かったり、子寒かったりするが、春物から初夏へ、さわやかな季節を楽しみ、冬物は片付けよう。片付けながら、もうお払い箱にしようと思うものを整理する。これが私にとっては大変で楽しみでもある。簡単に廃品回収に出すことにはならない。木綿ものは、細かく切ってウエスに。ウール物は、時には、クッションや小物類に。セーターからは、部屋履きなどになる。この頃は、布ぞうりも作ることになる。
さらに、今、毛糸あみのセーターは、解いて糸にとることにした。昔、母親がやっていたように、解いて、かせにとり、湯を通して、ちちじれをのばし、それをまた、玉にとる、と言う面倒なことをやっている。それは、この冬、私は、残り毛糸の整理のため、靴下を編んだ。あたたかいソックスが安く買える昨今、こんな手間のかかるものは、笑われモノかと思いながら、孫や、友人に差し上げると、孫は、「あたたか~い!」と喜んで履くし、友人は「編み方を教えてほしい。子どもの誕生日のプレゼントに編んでやりたい。」と言うことになり、編み物教室をやることになるほどだった。古い毛糸でも、きちんと編んだ靴下は、人にプレゼントも出来るのだと思って、またまた、リホームに精を出すことになったのだ。
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