だいたいで、いいじゃない。
大塚 英志、吉本 隆明
文藝春秋 2000年7月
あまでうすさんのレビューでこの本の存在を知った
吉本 隆明と大塚 英志の対談4回をまとめた本
吉本 隆明は 1924年生まれ
大塚 英志は 1958年生まれ
4回の対談の日時と後からつけられたであろう まとめのタイトル
1997年11月28日 エヴァンゲリオン・アンバウンド その記号性と身体・倫理
1997年12月16日 精神的エイズの世紀
(1999年 7月21日 江藤淳自死)
1999年 9月30日 天皇制の現在と江藤淳の死 「焦立ち」の根源にあるもの
2000年 1月17日 オウムと格闘技と糖尿
対話であるので比較的読みやすかった
そうはいっても四分の一ほどはよく分からなかった
吉本隆明と大塚英志それぞれが自分の詳しい分野を説明し解説する
二人が同意するシーンが多かった
吉本隆明と渡り合う大塚英志の柔軟な思考と明解な語り口に感心した
吉本隆明が自分自身の変化をはっきり認めているところに注目した
吉本隆明が「だいたいで、いいじゃない。」と思うようになったという
「理屈では割り切っても、無意識にせよ何かもやもやしたものを感じるような気がする」と・・・
これは吉本の個人的な変化でもあり
社会の変化によって吉本がそういう変化に至ったということでもある・・・
より若い大塚英志も
「曖昧なことの中に次に展開する何かがあるんじゃないかという思考が
僕らより下の世代から上手く出来なくなっている気がする」
「きっと曖昧さが怖いんだと思います」
「曖昧さと向き合うのがしんどいというのは心の体力のなさだはないでしょうか」
と同意している・・・
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