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青山真治『Helpless』『EUREKAユウレカ』を見に行く |
11月30日 (金) |
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高田馬場 早稲田松竹
青山真治『Helpless』(1996年 日本 80分)
開映時間 10:40 / 16:20
■監督・脚本・音楽 青山真治
■出演 浅野忠信/光石研/辻香緒里/斉藤陽一郎/伊佐山ひろ子/永沢俊矢
青山真治 1964年生まれ 福岡県北九州市出身
『Helpless』は商業映画デビュー作
浅野忠信主演第一作
夏の日
門司の空撮から映画が始まる
撮影は田村正毅
しっかりした構図によって日本の地方都市を描き出している
高校生の浅野忠信が父親の入院している病院から出てくる
ヘルメットをつけ、一瞬空を見て、オートバイのエンジンをかけ
走り出す・・・カメラはずっとその姿を追ってゆく
ヤクザの光石研が出所してくる
出迎えの二人に迎えられて車に乗る・・・
「親分は死んだ」「組は解散した」と聞いて
「そんなはずはない なぜ嘘を言う」と怒り出す光石研
親分の居場所を聞き出そうとする
その怒りは「親分は死んだ 葬式にも出た」という人間にたいして
「それがおかしい お前みたいなチンピラが葬式に出たんか
なぜ嘘を言うんだ」と殺してしまうまでに煮詰まってゆく
光石から鞄と知恵おくれの妹を預かる浅野
待ち合わせた食堂でのトラブル
(多分狂気の)父親の自殺をきっかけに浅野が狂ってゆく
ナポリタンを食べる浅野、コカコーラを飲む浅野
チョコレートパフェを注文するがきれいだからと食べない妹
食堂の夫婦
郊外にひろがる
退屈な田舎の風景のなかでの惨劇
門司であるが、門司というよりも
日本の地方都市の倦怠、日本の倦怠が描き出されている
豊かな自然環境でありながら窮屈な空気に包まれた閉塞感・・・
惨劇は
カミュ『異邦人』におけるアルジェリア人の殺害を思い起こさせる
『EUREKA ユリイカ』
(2000年 日本 217分)
開映時間 12:25 / 18:05
■監督・脚本・編集・音楽 青山真治
■出演 役所広司/宮崎あおい/宮崎将/斉藤陽一郎/国生さゆり/光石研/利重剛/松重豊/塩見三省
ユリイカとは「我発見せり」という意味のギリシャ語とのこと
モノクローム セピア色の映画
3時間37分という長い映画でありながら全く長さを感じない映画であった
なぜかというと
ある事件が起りその事件に遭遇したことによって、今までの人生が続けられなくなり
次の一歩を踏み出すことができない人びとの物語であるから・・・・
ほんのわずかな動きのためにもにたくさんの時間が必要なのです
バスジャック事件があって、乗客何人もが殺され、3人が生き残った
(この映画の完成後バスハイジャック事件が起きた)
運転手(役所広司)とローティーンの兄妹(宮崎将/宮崎あおい)である
失踪して2年後に実家に戻ってきた運転手 妻は家を出ている 土木作業員として働きはじめる
母が家を出てしまい、父親が事故死 今は二人で住んでいる兄妹 二人とも引きこもり、全く話さない
運転手と兄妹、訪ねてきた兄妹のいとことの生活が始まる・・・・
妻から離婚届に著名する依頼の手紙が届く
妻と会い離婚届を渡す
後半は運転手が買って改造したバスで4人が旅に出てゆく・・・・
「ここから始めたい」と事件のあった場所から出発する
九州を旅するロードムービーでもある
運転手は悪い咳をしていて癌にでもかかっているようだ
長い時間のあと、事件があり、やっと兄がことばを発する
運転手が兄に言う「生きろとは言わない せめて 死なないでくれ」「ずっと待っている」
それからも長い時間のあと、やっと妹が山の上からことばを叫ぶ
この子もほんの少しだけ動けそうだという予感の中で映画が終わる・・・
見終わってから浅田彰が 「映画の21世紀は『EUREKA』をもって始まる」と絶賛していることを知った
新潮社『波』2001年2月号手帖14:映画の21世紀は『EUREKA』をもって始まる
http://www.kojinkaratani.com/criticalspace/old/special/asada/techo14.html
早稲田松竹のホームページによる紹介
http://www.h4.dion.ne.jp/~wsdsck/contents/eureka.html
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