昨日の地方紙の16面に、昨年ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏の特集記事を偶然見つけた。彼が始めたグラミン銀行で融資を受けている人は、現在全人口の5%に当る約700万人という。家族を含めると、実に総人口の3割以上が恩恵を受けているのだそうだ。類似のマイクロクレジットも花盛りなので、多分国民の半数以上にとって「マイクロクレジット」に何らかの関わりを持っているに違いない。
それを裏付けるように、私達が教育支援をしている子供達の家族デ―タに「〇〇のマイクロクレジットから6,000TK(約12,000円)借りて屋根の修理をした。」とか「△△のマイクロクレジットから3,000TK借りて家族の食料をまかなった。」という記述が見える。グラミン銀行ではないが・・。父親は日雇いの家庭が多い。月収1,000~2,000TK(約2,000~4,000円)でアップアップしている。今でも食に事欠いている。屋根の修理に回すお金はないので、当座は助かったと思うかもしれない。しかし、収入のアテがなくて本当に返済ができるのだろうか・・他人事ながらとても心配である。
記事によると、グラミン銀行の回収率は99%だという。年利は20%。決して安くはない。「バングラデシュの2005年の経済は5%を超える成長率で、グラミン銀行は国全体の成長に貢献している」と新聞記事は伝えている。これをどう読んだら良いのだろう・・。貧困者数が減って全体の成長を押し上げているのか・・?それとも、20%の金利が順調に回って企業利益を生んでいるのか・・?
見出しに「貧者主役のビジネス」と大きな文字で書かれてあった。多分、記者さんの意としているのは「貧者の自立に寄与している」という事なんだろう・・が(そういう地域もありのかもしれないが・・)、私達が関わっている北部では、それによっての豊かさは全く実感できない。子供達の置かれている厳しいデータを読むにつけ「無数に近い貧者を対象として伸び行くビジネス」のような気すらしてくる。
|