山岳民族の女性の自立へ向けて 谷口恭子82歳現役 |
11月05日 (日) |
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「小学校の卒業式の会場に、買春婦の斡旋業者が来てるんです。私は、これは絶対に許せないと思いました。」会場に凛とした声が響き渡る。話しているのは、谷口恭子氏82歳。谷口巳三郎氏(85歳)夫人である。
今夏、タイ北部チェンライで出会いのあった谷口巳三郎氏(8/8のフェニックスの日記参照)の25年間の活動と熱意を紹介したくて、熊本在住の恭子夫人に連絡を取った。高齢なので、来て頂けるかどうかは定かではなかったが、ふたつ返事で引き受けて下さり、今日の講演会「熱帯に生きる 在タイ25年農村開発に命を捧ぐ 谷口巳三郎85歳を語る」が実現した。(10/6のフェニックスの日記参照) 思い立って開催までに1ヶ月ちょっとだったので、100人の会場がどの程度埋るのかとても不安だったが、約60名の方が聴きに来てくれた。
「谷口巳三郎は、私の夫です。」と口を開かれ、巳三郎氏が県職を定年退職した後、アジアで農業指導をしたい!と、夢と希望と熱意を持って渡泰した当時からの様子を話し始められた。恭子夫人は、夫巳三郎氏の決断には賛成したものの、当時、彼女自身は体が弱かったので、とても熱帯で暮らせるような状態ではなかった。それに、彼女には自分には自分のやりたい事「人作り」があった。そこで、子育ての義務から解放された二人は、それぞれの生き方をしようと話合い、巳三郎氏は単身でタイへ渡った。巳三郎氏当時60歳の決断である。
ところが、転機が訪れたのは、巳三郎氏渡泰から7年ほどたったある日の事である。恭子夫人は、タイ北部の山岳民族の子供達が貧しさ故に、売春婦として売買されている事実を知る。無知と教育の欠如によりエイズが蔓延。自分と同じ女性が、しかも小学校を出たばかりの子供が売春婦として売られていく事に対して、学校の教師を経験した事のある恭子氏は我慢ができなかった。巳三郎氏渡泰から8年目、初めてタイの土を踏んだ彼女は、小学校の卒業式の会場に人買いが来ているという信じられない光景を見た。
「買われなかった女の子が、泣くんです。買われた女の子ではないんですよ。どうしてだと思います?子供は純粋なので、お金が入るとお母さんが喜ぶ。お母さんが喜ぶ事は良い事だと信じているんです。」
恭子氏は貧困解消と女性の自立支援のために「ミシンプロジェクト」を立ち上げた。日本で不要になった足踏みミシンをタイ国へ送り、指導を開始した。しかし、ミシンは1台で一人の女性しか救うことができない。もっと多くの女性を救いたい!彼女は教育奨学金制度を思いつき、中学校進学を促進する活動を始めた。
現在、山岳民族の子供で、幼くして売買の対象となって売春婦となる子は0になった。HIV感染率も激減した。
巳三郎氏は有機無農薬循環型農業で、恭子夫人は教育とミシンプロジェクトで、夫婦力を合わせてタイ山岳(高地)民族の自立のために働いている。
85歳と82歳の年齢を全く感じさせないすばらしいご夫婦である。
<谷口21世紀農場スローガン>
希望があれば瞳は輝く
希望は自ら作るもの
今、君の瞳は輝いているか
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Re:山岳民族の女性の自立へ向けて 谷口恭子82歳現役(11月05日)
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みかん(でこぽん)さん (2006年11月06日 20時23分)
素敵なお話ですね。谷口農場のスローガンがまた、いい。涙がにじんで
きました。昔、新聞で読んだ記憶と、フェニックスさんの報告、しっか
りリンクしました。私の生まれ育った隣の町にこんなすごい御夫婦がい
らしたなんて・・・。
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Re:Re:山岳民族の女性の自立へ向けて 谷口恭子82歳現役(11月05日)
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フェニックスさん (2006年11月07日 08時11分)
みかんさん
熊本の誇りですね!
しかも、信念を持って活動する事に定年はない!というすばらしい見本でもあ
ります。
お二人の活動実績はタイ政府をも動かし、以前は小学校だけが義務教育だった
のに中学も義務教育にしてくれたそうです。今年からは、大学進学を希望する
貧しい人には、政府が奨学金を出すというシステムも確立したそうです。谷口
さん夫妻は、ず---と訴え続けてきたことが、ひとつひとつ理解されてきて
嬉しいと言っていました。最近は、メイジョー大学が単位修得の一環として学
生を派遣したりもしてくれるようになったそうです。化学肥料を使わない有機
循環農業は、しっかり根付いて、山岳民族の人達の食を支えているようです。
夏休みに1週間くらい、日本の子ども達を連れて行って、命の洗濯と生きる気
力を胸一杯吸って来させたいな~・・・と思ったりしている今日この頃で
す・・。(^^)♪
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