国宝 風神雷神図屏風を見に行きました
桃山から江戸初期に、京都町衆出身の絵師・俵屋宗達が残した国宝「風神雷神図屏風」
(建仁寺蔵)
およそ七・八十年後に、宗達を慕い琳派の後継者を自負した京都の絵師・尾形光琳が模作
実際にトレースしたらしく画像はぴったり同じ
色遣いは変わっている
(東京国立博物館蔵)
さらに一世紀後、幕末に江戸で琳派を再興した酒井抱一が、光琳の画から模作
宗達の作品は知らなかったらしい
(出光美術館蔵)
私はやはり宗達に魅せられ、圧倒された
それぞれ好きとか、光琳や抱一がいいという人がいらっしゃるようだが
宗達の高さに及ばないと思う
光琳も抱一も引き立て役に引っ張り出されたようなものだ
光琳はトレースしておきながら
雷神、風神の高さを変えている
ほぼ同じ高さとし、お互いの目が見つめ合うように黒目の位置を変えている
これは意図的にしたことだ
宗達の絵では雷神が雷を打つ右下方に風神が到着している
時代感覚が変わったのであろう
神であり
今まさに雷を打ち放つ雷神、
千里を駆け今ここへ駆けつけた風神
その荒々しい息づかいへの畏怖・・・
まだ戦国の世の荒々しさを感ずる
江戸時代に入って
世の中が落ち着いたのだろうか
雷神風神の関係性は装飾的なものに変えられたのだ
それは時代精神の違いであり
光琳の美意識の宗達の美意識との大きな違いだ
風神の足はもはや千里を駆けてきた勢いと
それを止める急ブレーキというダイナミズムを失っている
雷神、風神という記号に平板化してしまった
国宝 風神雷神図屏風
―宗達・光琳・抱一 琳派芸術の継承と創造―
2006年9月9日(土)~10月1日(日)
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html
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