『男たちの旅路』第4部1『流氷』再放送」
山田太一作
行方不明の元上司(鶴田浩二)がいると思われる根室に
彼の戦友であった警備会社社長(池部良)に頼まれて
仕事として(水谷豊)が探しにやってくる
二言めには『仕事だからやっている』といいながら必死に探している
病による女の死を受け止めての失踪であった
とうとう飲み屋の下働き、皿洗いをしている鶴田浩二を見つける
『こんな仕事しなくてもいいじゃないですか』
『こんな仕事で悪いか』『悪かないけれど』
『これだって頼み込んで、ようやく日給で働いてるんだ』
『あれから1年半、もういいじゃないですか
東京へ帰りましょう』
『1年半で忘れるのか。そんなに簡単に忘れられるものか』
『俺は人を愛すると言うのは能力の問題、人格の問題だと思っている。
俺だって忘れているときがある。忘れないようにしているんだ』
『のこのこ帰るくらいなら、はじめから消えたりしない。』
『根室からはがき出したじゃないですか。見つけてほしかったんでしょう』
『はがきを出すのは最低の礼儀だと思った。
根室から出る金がなかったんだ。』
『東京には帰えらない。ほっておいてくれ。』
という鶴田浩二を水谷豊が
夜アパートにやってきて必死に説得する。
その説得の内容が素晴らしく良かった。
『今の若いものと違っておれたちは純粋だった。
国のために死ぬ気でいたとか、
あんたはたくさんかっこいいことをいったじゃないですか。
いいこといって消えちまっていいんですか。
でもおれたちにはもっと聞きたいことがある。
何でみんなあんな風に国中がいつのまにか戦う気になっていったのか。
おれたちもいつの間にか気がついたら
戦争に向かってやる気になっていったりするんじゃないかとか
あんたにはそれについて話してくれる責任がある』
いいたいことだけ言うと帰ってしまう水谷豊
黙って酒を飲む鶴田浩二・・・・・
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