講座「中近東の美」最終回 小林登志子「円筒印章にみる図柄」
中近東センター
今日は11回の最終回 私は9回出席、2回欠席
古代メソポタミアの歴史に沿って
円筒印章をたどる
ギルガメッシュのときに学んだ円筒印章です
メソポタミアは沖積平野にあり、木もなく、石もない
ウルク文化期(前3500-3100年頃)後期に円筒印章が出現
その前にはスタンプ印章が使われていた
壺や扉の【封泥】に所有権を表すため押されていた
経済規模の拡大などから【封泥】全体に印章を押す必要ができ
小さな印面のスタンプ印章から、無限に印面が作れる円筒印章に
石は輸入された
凍石、水晶、閃緑岩、石灰岩、大理石、雪花石膏(アラバスター)ラピスラズリなど・・・・
媒介や契約文書の署名に円筒印章が転がされることは
ウル第三王朝時代(前2112-2004年頃)になって慣習となった
前2000年頃のこと
紛失した場合 不正に使われることがないように
街角で角笛を吹き鳴らし、印章の紛失が告知される
届け出によって紛失した日時が正確に記録されるようになった
円筒印章の終焉は粘土板が使われなくなった頃
アッカド語を粘土板に書くことから
アラム語アラム文字をパピルスや羊皮紙に書くことに転換してゆく
ヘロドトスの『歴史』巻1、195
『また各人が印章と手作りの杖を持っている
『旧約聖書』『創世記』38-18
「どのような保障がいいか」というと彼女は答えた
「あなたのひもの付いた印章と、持っていらっしゃるその杖です」
参考図書 小林登志子著『シュメルー人類最古の文明』(中公新書)
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