アリスのThimble
私のポケットにはよく指貫がはいっている。針を持つ仕事をするとき、私は指貫をはめないと出来ない。それで、針仕事をしながら、ほかの仕事に移り,手を洗ったりするとき指貫をとってポケットに入れる。
「ポケットに手を入れたら、ゆびぬきがあった。」
私はアリスを思い出した。ドードー鳥が、「お嬢さん、ポケットになにかまだもっていませんか」というと、Let me see, only a thimble.と答えている。この場面では、その自分の指貫を賞品として、ばかげてるわ、といいながらもらうことになるのだが、私はこの指貫がどんなのだったか、見てみたくなった。そしてアリスのような小さい女の子が、ポケットに指貫を持っていたというのは、当時、針を持つ仕事が家庭で日常的になされていたのだろう。
そして、どんなのかしら。と思うのは、thimbleと日本の裁縫用の指貫とは形も違うと思うから。
日本でも、私の想像では、今裁縫の指貫を使う人は、少なくなっていると思う。針仕事をするとき、右手の中指の第一関節と第二関節の間に指貫をはめ、針の頭をその指貫で押しながら縫い進める。だから日本の指貫は輪のかたちをしている。
thimbleは、指の先にかぶせるキャップ型だ。私は、30年ほど前、イギリスへ行ったとき、初めてthimbleを見た。それは、お土産用で、かわいい絵が描いてあった。その頃私は、その使い方が分からず、ただ、かわいいのでいくつか買ってきて、飾っていた。そのうちパッチワークをやるとき、針の使い方が違うことを知って、thimbleの使い方も分かった。左手にはめて、針の先を当てて、布をすくうのだ。といっても、わたしはthimble は使えない。糸と針でなにかをつくるには、すぐ指貫が必要になる。和服のリメイク、パッチワーク、バッグ、小物つくり、・・・・。
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