テオ・アンゲロプロス 『永遠と一日』 (1998)
ETERNITY AND A DAY(MIA EONIOTITA KE MIA MERA)
【ギリシア・仏・伊】 上映時間:134分
監督 テオ・アンゲロプロス
キャスト ブルーノ・ガンツ ( アレクサンドレ )
脚本 テオ・アンゲロプロス
ペトロス・マルカリス (脚本協力)
トニーノ・グエッラ (脚本協力)
ジョルジオ・シルヴァーニ (脚本協力)
音楽 エレニ・カラインドロウ
撮影 ヨルゴス・アルヴァニティス、アンドレアス・シナノス
製作 テオ・アンゲロプロス,ジョルジオ・シルヴァーニ
編集 ヤニス・チッチョプロス
美術 ヨルゴス・パッツァス
不治の病で病院に入るのか、それとも死ぬ決意をしたのだろうか
詩人、小説家アレクサンドレの最後の一日がはじまる
まばゆい光の中によみがえる海、そして海岸の家
生まれた娘のお披露目の日のこと
「今日は私の日、一緒にいて」
「あの崖まで登ってくる ほんのちょっとだ」
詩人としての孤独、孤独の中にいる詩人、
どこに行っても、そこで受け入れられないという感覚
どこででも、よそ者という感覚
切り離されている妻の淋しさ、悲しみ・・・・
「詩や小説を書いたがどれも未完成だ ただ書き散らしたにすぎない」
交差点で車が止まると一斉に走り出て窓を洗う少年たち
隣国のアルバニアから国境を越え、不法に滞在しているこどもたちだ
警官が現れて少年たちを捕まえはじめる
彼はとっさに扉を開け少年を中に入れて助ける
成人した娘のところへゆく
「旅に出る、犬を預かってほしい」
妻からきた手紙の束を渡す
娘の夫が起き出してくる
「お義父さん話がある 海の家は売ったよ 今日ブルドーザーが入る」
「あの家を売ったのか」
娘「お父さんわかって あの家は広すぎるし とても持っていられない」
少年があやしい男たちに襲われ、連れ去られてているところを見てしまう
その車を追いかけ・・・何とか潜り込みお金も払って少年を救い出す
雪の降る中、彼は少年を村へ帰そうと努力する
だが国境に近づくにつれ、少年が口を開く
村には誰もいない
家族はみな殺されてしまって今は誰もいない
街に戻って少年と別れ、病院にいる母に別れを告げに行く
少年の兄のように慕う少年が殺されてしまう
警察の遺体置き場に忍び込んでお別れをし、遺品のジャンパーを取り戻す
ジャンパーに火がつけられる
少年たちによる弔いのたき火・・・
少年が旅立つからと別れを言いに来る
「もう少し一緒にいてくれ」と詩人が頼む
少年と仲間たちは外国へと密航船で旅だって行く
船を見送るのは詩人ただひとり
折にふれ光に包まれた昔の記憶がよみがえり、交錯する・・・
痛みが刺すごとに薬を飲む
何も食べない
明日の時間の長さとは
「永遠と一日」というのが妻の答えだった
海辺の家の前で海を、昔の日々を見ている詩人を
後ろから撮って映画が静かに終わる
|