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イングマール・ベルイマン『野いちご』 |
10月22日 (土) |
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1957年【スウェーデン】 上映時間:91分
野いちご( ドラマ・モノクロ映画)
監督 イングマール・ベルイマン
キャスト
ヴィクトル・シェストレム (男優) イサク 78歳
ビビ・アンデルセン (女優)従妹 結婚する予定だったが弟の妻となった
イングリッド・チューリン (女優)息子の妻
グンナール・ビョルンストランド (男優)
グンネル・リンドブロム (女優)
マックス・フォン・シドー (男優)ガソリンスタンドの男
レナ・ベルイマン (女優)
脚本 イングマール・ベルイマン
音楽 エリク・ノルドグレン
撮影 グンナール・フィッシェル
製作 アラン・エーケルンド
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日本では1962年に公開された
この年のキネマ旬報のベストテンの1位である
1961年の1位は同監督の『処女の泉』
老教授イサクの一日を描く
朝の夢
迷い込んだ街、誰もいない、街路の時計には針がない
取り出した懐中時計にも時計がない
背中を見せていた男の肩を叩くと身体が崩れ落ちてしまう
馬蹄の音を立ててやってきた葬儀馬車の車輪が街路灯に引っかかり、
車輪は壊れて、はずれ車体が傾く
棺が落ちてきて、ふたが開き、手首が見える
その手首がイサクの手首をつかみ放さない
イサクの手首をつかんでいる棺の中の人物の顔が見えてくる
その顔はイサク自身である・・・
今日はトレド大学での名誉学士称号がが授与される日だ
予定していた飛行機ではなく、車で出かけることにした
妻はずいぶん前に亡くなってしまい、
40年働いてきた家政婦が身の回りの世話をしている
トレドには同じく医師である息子がいる
息子と別居して一月ほど家にいた息子の妻が同行して帰ることになる
途中「見せたい場所がある」と、
想い出の場所である伯父の家があった場所に立ち寄る
そこに甦る、なつかしき日々の記憶、ほろ苦い想い出・・・
野いちごを摘む従妹(婚約者)に弟が言い寄っている・・・
(その後彼女は弟と結婚してしまった)
恋人同士とお目付役の青年の3人が
「イタリアに行くところだ」と、同行することになる
夫婦げんかで危うく事故を起こした若夫婦が乗り込む・・・
初めて見たのは高校生のときだった
死を前にした老人が過去を振り返る映画であった
改めて見てみると全体の印象として、驚くほど明るい映画であった
回想シーンには老人が老人のままで出てくる
窓から、戸口から、若かった頃の伯父の家での夏を見ている・・・・
森の中で、野いちごを摘んでいる従妹、弟がやってくる
二人ともこちらには気がつかない・・・・
昔医師として初めて開業した土地のガソリンスタンドの若夫婦は
「先生からお金は受け取れない」とガソリンやオイルのお金を受け取らない
「生まれてくるこどもが、男だったら先生の名前を付けさせてください」
90を超えて暮らしている母のところにも寄る・・・・
息子の妻との会話・・・
トレドへ向かう車の旅、この映画はロードムービーでもある
トレドへの旅の中で、いろいろな人と出会い
自分の生きてきた過去と向き合って
一人で世捨て人のように暮らしてきた自分を
もう一度新たに見いだすことになる
最後に授与式も終わって、
眠りにつく前に、窓の下に若者たちが来て歌を歌ってくれる
「これからイタリアに出発します」「式では素敵でしたよ」
去ってゆく若者たちへ「また会いましょう」とつぶやいている・・・
イサクに穏やかな微笑が浮かぶ・・・・
安らかな眠り・・・・・
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