中村雄二郎「魔女ランダ考」1983年 岩波書店 1700円
学生のときに買った本を読み返す
P11
バリの伝統的な住居
人間たちの住居というよりは〈カミ〉の住居としてつくられている
金持ちの家も貧乏人の家も、敷地の広さ(2235坪位)が変わらない
コスモロジカルにおなじ構造あるいは配置を持っている
違うのは材料や手入れの良し悪しだけにすぎない
一定の敷地のうちに、多くの分棟式の建物と庭を土塀で囲んだもの
島の聖なる極であるアグン山の方向に
(バリ島南部の地域でいうと北東の一角)
低い土塀で仕切られたいくつかの小さなカミの住居とお供え小屋がある
中心に祖先の霊を祀った高棟式の小堂がある
主人夫婦の寝所の棟 屋敷の北側
中庭を囲んで西側に客間の棟
東側と南側に家族たちの寝所と仕事部屋の棟
敷地の南側(海側)は負の価値を帯びたところとされ
台所の棟と穀物小屋が置かれる
建物の種類と配置は基本的にどの家でもほとんどかわりがない
P58
バリ島の人々にとって、死者の火葬の儀式は愉しい祭りであって、悲しい行事ではない
火葬を行うことが彼らの最も神聖な義務の遂行になるからである
火葬によって死者の魂は解放され天上の世界に達して
よりよい存在として生まれ変わることができるようになる
p64
悪霊たちは食べることにがつがつしていると考えられていて
実際には毎日ちょっとしたお供えがなされている
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