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心洗われるパンフルートの音色、そして久米明さんの語り |
10月19日 (火) |
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先日、音楽物語『とうすけさん笛をふいて!』というコンサートを聞きにいった。
香山彬子さん原作の『とうすけさん笛をふいて』(講談社)というお話を久米明さんが朗読し、その傍らで、パンフルート奏者の岩田英憲さんが「パンの音」を奏でるという、語りと音楽のコンサートだった。
このお話は、ワシの仲間のチョウゲンボウという鳥ととうすけ少年との心の交流のお話。話のあらすじを久米明さんのコラムから紹介します。
≪春がくると、岩田の里にチョウゲンボウのつがいがやってきて、卵を産み雛を育てる。小学校5年生の東助は、ルーマニアの民族楽器、ナイという笛を吹く、鳥たちが巣を作るつつじ山に登って、鳥にも空にも、森や川にも話しかけるように笛を吹く。そして「鳥と話ができたらどんなにいいだろう」と、巣の中にいる鳥たちを眺めるのだった。
こうして東助とチョウゲンボウの交流がはじまる。
しかし、不幸にも、狐に襲われ、大怪我をしたチョウゲンボウの父鳥は、東助に助けられ、命拾いをしたものの、北アルプスに巣立つ家族と別れ別れになった。保護鳥であることから動物公園に引き取られた父鳥は、落ち葉を踏んで、会いに来る東助の足音を聞くと、「東助さん笛を吹いて」とせがむのだった。 やがて冬、雪の中で、父鳥は死んだ。つつじ山の頂に東助はかじかんだ手で穴を掘って、墓を作った。大雪の夜、男の子の姿になって、死んダチョウゲンボウが会いにくる。東助は「友との別れの曲」、ドナイを吹くのだった。
この終章には、読むたびに涙が出る。胸の奥が洗われるような感動がある。≫
ここに出てくるナイとはギリシャ神話に出てくるパンの笛のことである。
この世の中で、一番最初の演奏家は「風」であるといわれる由縁の楽器。
牧神パンが、水の妖精のシュリンクスが葦に姿を変えてしまったのを悲しみ、葦を手折り、息を吹きかけると物悲しい音を奏でた。その葦からパンフルートは生まれていった。
パンの笛の奏でる音は、時には風の音であり、時には鳥のさえずりである。澄み切ったその音は、心の琴線にふれ、止め処もなく、涙が流れてしまった。久米明さんの語りも素晴らしかった。自ら感動し涙を流しながら語る久米さんの姿に、会場もまた揺れた。
ラボのCDそのままなってもいいようなお話だった。
久米明さんには、たくさんのラボCDの吹き込みをしていただいている。
まほうの馬シフカブールカ、かぶ、猫の王、ジャックと豆の木、たぬき、ブレーメンの音楽隊・・・他にもあったら教えてください。・・・ラボは本当に巣晴らしい方に物語を語っていただいているということを心から感じた。
久米明さんがお元気な間に、ラボのお話を生で語り聞かせていただきたいものだ。
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